内定とは?採用との違いや流れ、承諾・辞退のマナー、注意点を解説
掲載日:2024年06月27日


記事まとめ(要約)
- 内定とは、会社と求職者の間で入社の合意が取れていて労働契約が成立した状態
- 内定の目的は、求職者と企業側が入社に向けての準備を整えること
- 内定を辞退する際は、なるべく早く連絡するのがマナー
転職活動において、内定が取れた・取れなかったと耳にする機会がありますが、内定の意味を十分に理解できていない人もいるのではないでしょうか。
内定の目的や承諾後の流れ、辞退する場合の注意点なども知り、転職活動をスムーズに進めましょう。
内定とは

内定とは、一般的に企業から求職者に採用の意思を伝えた状態と理解されていますが、法的には、企業が採用を伝え、求職者も入社の意思を示すことにより労働契約が成立した状態です。
内定時に成立する労働契約は「始期付解約権留保付労働契約」といわれ、以下のような意味を持ちます。
- 始期付:契約成立日とは別に入社日が定められている
- 解約権留保付:企業側に一定の合理的理由があれば内定を取り消す権利を留保している
企業側に急な経営状態の悪化のような合理的な理由がない限り、一方的に内定を取り消されることはありません。
入社日になると内定の状態ではなくなり、通常の労働契約に移行します。
内定承諾のマナーについては、以下の記事で紹介しているため、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
企業が内定を出す目的
内定の目的は、企業と求職者それぞれに、入社を前提とした準備期間を設けることです。
企業は、入社に向けた人員配置や事務手続きのスケジュールを立て、進めることができます。
求職者にとっても、入社が決まることで求職活動を終えることができ、退職や入社に向けた準備を始めることができます。また、新しい会社の一員になる自覚や心構えを早くから持つことができます。
求職者と企業がスムーズに入社に向けた準備をするためにも、内定は重要な役割を担っています。
内定と内々定の違い
内定と内々定には、以下のような違いがあります。
内定 |
|
---|---|
内々定 |
|
内定は承諾することで労働契約が成立するので、法的拘束力があります。
内々定は、一般的に新卒採用で出されるものです。新卒採用の場合、企業は卒業・修了年度の10月1日以降に内定を出すことが可能になりますが、その前段階として内々定を出し、採用の意向を示しています。目的は優秀な人材を早期に確保するためです。
また、内々定を承諾しても労働契約は成立しません。
転職の場合、内定を出す時期に決まりがなく、選考から入社までの期間も短いことから、内々定を出す企業は少ないです。
しかし、最終面接後も別の求職者の選考が継続している場合や、採用の決裁に時間がかかる状況では、内々定を出すこともあります。
内定と採用の違い
内定と採用の違いは以下のとおりです。
内定 |
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---|---|
採用 |
|
内定は、企業と求職者の間で入社することの合意が得られている状態です。
一方で、採用は企業側の一方的な意思表示にとどまるので、労働契約は成立していない点が特徴です。
ただし、採用と内定を厳密に区別せず「採用=内定」と捉えている企業もあります。
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内定・内々定の時期・スケジュール
内定・内々定の時期は、中途採用(転職)と新卒採用で異なります。
中途採用(転職)
基本的に、中途採用には内々定が少なく、内定を出す時期にも決まりはありません。
選考にかかる期間は、企業の採用方針や応募者数などによって異なりますが、短期間で選考を進める傾向にあります。
一般的には、応募から内定まで2週間~2カ月程度です。
新卒採用
一方で、一般的な新卒採用の場合のスケジュールは、内々定が3月〜9月、内定が卒業・修了年度の10月1日以降です。
ただ、企業によって採用スケジュールが異なるため、企業ホームページや就職情報サイトから日程を確認してみてください。
内定通知書とは
内定通知書とは、応募者に対して企業が内定を通知し、労働契約の成立を証明する書面です。
一般的には、採用通知書で採用を伝えた後、入社の意思確認が取れた応募者に対して発行されます。
内定通知書に記載されている内容は以下のとおりです。
- 内定の旨
- 内定取り消しに関する事項
- 入社予定日
- 雇用条件
- 問い合わせ先
基本的に、内定通知書は発行する時点で応募者の入社意思が確認されているので、送付された段階で労働契約が成立します。そのため、トラブル防止の観点で記録に残す目的としても使用されます。
ただし、内定通知書を採用通知書として扱う企業や、内定通知書を発行しない企業もあります。
内定通知書と採用通知書の違い
内定通知書と採用通知書には以下のような違いがあります。
内定通知書 |
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---|---|
採用通知書 |
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一般的に、採用通知書で選考の合否を知らせ、入社の意思確認が取れた応募者に対して内定通知書が送付されます。
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内定式とは
内定式とは、主に新卒採用の内定解禁日(10月1日以降)に、内定者に正式に内定を伝えるための式典のことです。
転職の場合、通年採用が多いため、内定式は実施しないのが一般的です。
内定式の代わりに、入社前に社員との面談が設けられたり、内定通知書の受理や内定承諾書の提出のために企業に出向いたりすることがあります。
新卒の内定式では、一般的に以下のようなことが行われます。
- 採用内定書の授与
- 社長・役員からのあいさつ・講話
- 先輩社員やほかの内定者との交流会
内定式での講話や交流などを通して、内定先の一員になる自覚が芽生え、入社に向けた心構えもできるでしょう。
内定から入社までの流れ6ステップ

一般的な内定から入社までの流れは以下のとおりです。
- 最終面接終了後に採用(内定)の連絡が届く
- 採用(内定)を承諾する
- 内定通知書など関連書類が届く
- 内定承諾書を提出する
- 在職中の場合は退職の手続きを行う
- 入社する
労働条件通知書以外の交付書類、例えば「内定通知書」や「承諾書」は、法律で定められているわけではないため、発行されない企業もあります。
また、採用と内定を分けて捉えない企業や口頭だけの内定通知の企業など、入社までのプロセスが企業により異なるため、しっかりと確認しておきましょう。
1.最終面接終了後に採用(内定)の連絡が届く
最終面接に合格すると、採用(内定)の連絡が届きます。採用通知書が送られてくる企業もありますが、電話やメールで伝えられることもあります。また採用通知だけで労働契約は成立しません。
口頭だけの場合、記録に残らないため内定を出していないなどのトラブルになる可能性があります。書面やメールであらためて内定通知をもらえるように依頼すべきです。
依頼しにくい場合は、内定のお礼をメールで送り、送信と返信記録を残しておく方法もあります。返信がない場合は、あらためて内定通知書を依頼してもいいでしょう。
2.採用(内定)を承諾する
採用(内定)通知を受け取ったら、企業に対して承諾する旨を伝えます。
承諾の方法は企業によって異なります。企業から案内された方法にしたがって承諾の連絡をしましょう。
内定を承諾しない場合は、回答期限までに辞退の連絡をしましょう。
3.内定通知書など関連書類が届く
内定を承諾すると、以下の書類が企業から送付されてきます。
- 内定通知書
- 内定承諾書
- 労働条件通知書
- 企業により、送付される書類が異なります
労働条件通知書には入社日や給与、労働時間などの労働条件が記載されているため、入社前に内容を確認し、必要に応じて給与や条件の交渉をします。
給与交渉については、以下の記事で紹介しているため、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
4.内定承諾書を提出する
内定承諾書の提出が必要な企業の場合は、期限ギリギリにならないように余裕を持って提出しましょう。転職では、入社までの期間が短いため、内定承諾書の提出を求めない企業もあります。
提出の際には、添え状を同封し、書類が折れたり破損したりしないように、クリアファイルに入れて返送すると良いです。三つ折りなどで送られてきた場合は、折った状態で送付して問題ありません。
添え状には、以下の項目を記載します。
- 日付
- 宛名
- 名前
- 連絡先
- 件名
- 本文
- 同封書類一覧

内定承諾書に必要事項を記入し押印したら、トラブル防止のためにコピーを取っておくのがおすすめです。
内定承諾書について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
企業によっては内定承諾書の提出が求められない場合もあるので、届いた書類にはしっかりと目を通し、必要な対応を把握しておきましょう。
5.在職中の場合は退職の手続きを行う
就業規則の退職規定に基づき、退職の手続きを行います。一般的に退職希望日の1〜3カ月前に意思を伝え、45〜15日前までに退職届を提出します。会社への手続きだけではなく、以下も進めておきましょう。
- 業務の引き継ぎ
- 取引先へのあいさつ
- 返却物や受け取る書類などの確認
転職先が決まったらスムーズに退職手続きを始められるように、手順や期限を確認しておくのが重要です。
退職日から逆算し、余裕を持ったスケジュールを立て準備を整えておきましょう。
退職手続きの流れについては、以下の記事で紹介しているため、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
6.入社する
入社日に必要な書類や持ち物を事前に確認しておきましょう。
社会保険や雇用保険の手続きは入社後に行われることが多いため、必要書類を把握し、あらかじめ準備します。
また、入社に関する不安や疑問点は、事前に採用担当者に相談し、解消しておきましょう。
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内定辞退 4つの注意点

内定を辞退するなら、以下4つの点に注意しましょう。
- なるべく早く連絡する
- 営業時間内に電話する
- 回答期限を延長したい場合も早めに相談する
- 内定承諾後の辞退にはリスクがある
辞退する場合は、マナーを守って丁寧に対応するのが重要です。
以下の記事で伝え方や例文も紹介しているので参考にしてください。
1.なるべく早く連絡する
採用(内定)の連絡を受け取った後は、回答期限内にできるだけ早く入社の意思表示や辞退の連絡をしましょう。
企業が設定する回答期限は2~3 日から1週間程度が一般的ですが、意思が決まっているのであれば、なるべく早く回答しましょう。
特に辞退する場合は、企業の採用計画にも影響があるため、なるべく早く連絡するのがマナーです。回答を保留したままにしていると、企業は新たな採用活動ができなくなってしまいます。
辞退の連絡は、採用担当者に伝えましょう。転職エージェントを介した場合は、担当のエージェントへ連絡します。
2.営業時間内に電話する
辞退の連絡は、電話で行うのが基本です。
メールには記録が文面として残り、担当者の時間を取らないというメリットがありますが、電話で連絡することで誠実な印象を与えられます。
また、電話は営業時間内に掛けるのが社会人としてのマナーです。
ただし、企業の営業時間内であっても以下の時間帯は避けましょう。
- 始業直後
- 終業間際
- 昼休憩
以下の時間帯は適切といわれています。比較的業務が落ち着いていると想定されるからです。
- 10時から11時半ごろ
- 14時から16時半ごろ
メールを送る場合でも、早朝や深夜は避けるのがマナーです。
基本的には電話での連絡が望ましいですが、早期に伝えることが重要であるため、企業の担当者が不在であれば、メールで伝えても問題ありません。
3.回答期限を延長したい場合も早めに相談する
内定辞退だけではなく、回答期限を延長(内定保留)したい場合も、早めに企業の担当者に相談しましょう。以下のような理由と、何日程度の延長を希望するのかを具体的に伝えます。
- 退職時期について上司と相談したい
- 転職活動を全うして決断したい
内定保留の理由について
内定保留の理由について、「他社の選考結果を見てから判断したい」というような理由は、自社が第一志望ではないと採用担当者が考えるため、避けるべきです。
ただし、ほかの理由がない場合、内定企業への入社意欲を示しながら転職活動を全うしたいと伝えれば、企業によっては、他社の選考待ちでも一定期間の内定保留を認めるケースがあります。
一般的に、数日から1週間程度の延長は認められる傾向にありますが、企業によっては認められない可能性があります。
回答期限の直前に延長を相談すると印象があまり良くないため、早めに連絡しましょう。
また、相談する際は企業への入社意欲をアピールしておくと、好印象につながります。
内定保留が難しい場合は、選考中の他社に事情を説明し相談をしてみるといった選択肢もあります。
内定保留のマナーや伝え方は、以下の記事を参考にしてください。
4.内定承諾後の辞退にはリスクがある
内定承諾後でも辞退は可能ですが、以下のようなリスクがあります。
- 入社直前の内定辞退は損害賠償を請求される可能性がある
- 関連会社からの内定を得にくくなる可能性がある
労働契約は内定承諾時に結ばれますが、2週間の解約申し入れ期間を経ることで辞退できると、民法627条に定められています。ただし、入社直前の内定辞退は、入社のために準備した備品などについて、一般的には少ないものの損害賠償を請求される可能性があります。
※参考:e-Gov法令検索|民法627条
内定承諾後に辞退しても、他社の選考に影響はありません。しかし、関連会社には応募者の情報を共有している可能性もあるため注意が必要です。
内定承諾後の辞退はリスクを伴うので、熟考したうえで返事をすべきです。
内定承諾書の提出後の辞退については、以下の記事で紹介しています。
内定取り消しとは
内定取り消しとは、何らかの理由で企業側から内定を取り消すことです。
内定後は労働契約が成立しているため、内定取り消しは解雇に当たります。また、企業側の一方的な理由で内定を取り消すことはできません。
万が一、一方的な理由で内定取り消しをされた場合は、不当解雇として一定期間の給与相当額や慰謝料を請求することができます。
ただし、合理的な理由があり、内定取り消し要件を満たしていれば認められる場合もあります。
内定取り消しができる要件
内定取り消しは解雇と同様(※1)であるため、客観的に合理的な理由、かつ社会通念上相当であると認められる必要があります(※2)。
客観的に合理的だと認められる事例について、求職者都合と企業都合に分けて解説します。
厚生労働省|採用内定取消は解雇?
厚生労働省|労働契約法第16条
【内定者都合】内定取り消し事例
以下の事例のように、内定者本人に何らかの問題があるとみなされると、内定取り消しが認められます。
- けがや病気で就労できない
- 必要な資格を取得できない
- 書類の記載内容や面接での回答に重大な虚偽があった
- 犯罪行為や社会的な問題行為が発覚した
業務に取り組むために特定の資格が必要な仕事では、入社までに資格取得ができないと、採用要件を満たせなくなるので内定が取り消しになってしまうことがあります。
また内定後の行動に限らず、これまでの逮捕歴や犯罪歴・問題行動が原因で、内定が取り消されることもあるようです。
SNS上での炎上やトラブル、不適切な発言も企業から採用のリスクが高いとみなされるおそれがあるので、よく考えてから発信しましょう。
【企業都合】内定取り消し事例
企業都合で内定を取り消す場合は、以下4つの整理解雇要件を満たす必要があります。
- 急激な経営状態の悪化や人員整理の必要性が認められる場合
- 解雇を回避する努力をしても避けられない場合
- 合理的かつ公平に解雇対象者を選んでいる場合
- 関係者に事情説明や協議が十分行われている場合
出典:厚生労働省「整理解雇の有効性」
大規模な災害や株価の暴落などによる予測不可能な経営状態の悪化のような、避けられないケースのみ企業都合の内定取り消しが認められます。
そのため、求職者の性格や能力が期待値を外れていたといった理由では、内定が取り消しとなることはありません。
内定の流れを理解してスムーズに転職を進めましょう
内定とは企業が応募者に採用を伝え、応募者からも承諾を得られている状態で、法的に労働契約が成立している状態を指します。
一方、採用は、企業が応募者に採用の意思を伝えただけの状態で、法的に労働契約が成立していない状態を指します。
内定の返答は、企業の採用計画にも影響があるので、なるべく早く採用担当者に連絡することが大切です。
内定の意味や流れについて把握した上で、マナーを押さえて転職活動を進めましょう。
監修者

谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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