会社とは?営利法人との違いは?種類と特徴、選び方のポイントも説明
更新日:2024年11月29日


記事まとめ(要約)
- 会社とは、会社法に基づいて法人登録を行った営利法人を指す
- 会社には、大きく分けて、会社法で定められた「株式会社」と「持分会社」の2つがある
- 持分会社には、合同会社、合資会社、合名会社の3つがある
- 会社は利益を構成員に分配する「営利法人」に該当する
- 営利法人に対して、NPO法人などの利益を構成員に分配しない「非営利法人」がある
- 会社と非営利法人での働き方には、それぞれメリットとデメリットがある
ひと口に「会社」といっても、株式会社や持分会社など、さまざまな種類があります。転職活動を行ううえで、会社の種類や特徴を理解しておくと、応募先選びにも役立つことでしょう。
会社について詳しく理解するために、会社の種類や特徴、会社選びのポイントについてお伝えします。
会社とは?
会社とは、2005年に成立した会社法に基づいて法人登録を行っている営利法人のことです。営利法人とは、利益を上げることを目的として設立された法人を指します。
会社法では、会社の設立条件や組織体制、運営などの規則や手続き方法が定められており、「株式会社」と「持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)」が該当します。
また、現在は設立できなくなった有限会社も営利法人に含まれます。
会社の種類については「会社の種類と特徴」の項で詳しく説明します。
「会社」と「法人」の違い
会社と法人は、異なる概念ではなく、法律で認められた営利法人である会社は、法人に含まれます。そもそも法人とは、民法上、一個人と同じような権利や義務を持つ組織(団体)のことを指します。
法人と認められた団体は、人と同様に権利や義務を持ち、モノを買うことや、契約をすることが可能です。
法人には、私法人と、公社、公団などの公法人があります。私法人には、会社をはじめとする「営利法人」と「非営利法人」が含まれます。公法人は地方公共団体等の公的機関が運営するもので、公立学校もその1つです。
営利法人(株式会社、合同会社など)と非営利法人(財団法人、学校法人、NPO法人など)は利益の使い道が異なります。
営利法人は、事業を通じて得た利益を社員に給料として渡したり、株主に還元したりするなど、特定の構成員に分配します。
一方、非営利法人は、得た利益を社員等に分配することができません。社員に対する給料としての分配はありますが、利益は組織の活動資金にあてられるか、内部留保となります。
非営利法人の種類については後述します。
「会社」と「企業」の違い
会社は法律で定められた営利法人を指しますが、「企業」は法律で定められた言葉ではありません。
一般的には、営利を目的とした組織全般を指すことが多く、会社や事業所など全般をまとめて「企業」とします。
会社は営利法人である組織や団体を指しますが、企業は法人かどうかの区別はなく、個人事業主も含まれます。
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会社の種類と特徴
先にもお伝えしましたが、現在、会社法で設立を認められる会社には、大きく分けて「株式会社」と「持分会社」の2つがあります。
そのうち、持分会社は、合同会社、合資会社、合名会社の3つに分類されます。加えて、よく目にする有限会社も会社の一種です。それぞれの特徴を紹介します。
会社の種類 | 特徴 | 利益の使い道 | |
---|---|---|---|
株式会社 | 株式を発行して資金を集め、取締役などの経営陣が経営を行う。会社の意思決定は株主総会で行われ、株主が経営に発言権を持つ。 | 損益配分は株主の出資比率に応じて決まる。 | |
持分会社 | 合同会社 | 社員が出資金を出し合って設立する。幹部の社員が経営者も兼ねる。有限責任社員のみ1人以上で構成される。 | 損益配分は定款で自由に決めることができる。 |
合資会社 | 設立の際、資本金がいらない。有限責任社員と、無限責任社員が各1人以上必要。 | ||
合名会社 | 設立の際、資本金がいらない。2名以上の無限責任社員のみで構成。 | ||
有限会社 | 旧制度で認められていた小規模ビジネスを想定した会社。役員の任期制限がない。会社法改正により、現在は新たに設立できない。 |
- 損益配分:利益だけでなく、損失が生じた場合も分配すること
- 有限責任社員:会社が負債を抱えたときに、債権者に対して出資額を限度として責任を負う社員
- 無限責任社員:会社が負債を抱えたときに、負債総額の全額を支払う責任を負う社員
株式会社
株式会社とは、株式を発行して資金を集め、取締役などの経営陣が経営を行うスタイルの会社です。
株主は経営に発言権を持ち、株式を多く所有するほど力が大きくなります。株主には議決権が与えられ、株主総会において会社の方針や役員の選任などに対し意思決定を行うことができます。
株主と会社の経営陣の意見が異なる場合、株主の意向が優先されます。実質的には、会社の所有権は株主にありますが、会社が抱える負債を賠償するような責任は持ちません(間接有限責任)。
一方で、事業を行いたい経営者にとっては、自己資金の準備が十分でなくても株式によって資金が得られる仕組みとなっています。
なお、会社法が成立する前は、株式会社の設立は商法に関わるものでした。商法では株式会社を設立するための最低資本金として1,000万円が必要でしたが、2006年の会社法施行によって、資本金額が見直され、現在では資本金1円から株式会社を設立できるようになりました。
持分会社
持分会社とは、株式会社とは異なり、資本金を出資した人や社員が、自ら経営者として運営するスタイルの会社です。
株式会社と比べて、設立にかかる手続き費用が少なく、経営の自由度が高い傾向にあります。出資した人が負う責任の範囲によって、以下の3つに分かれています。
合同会社
合同会社は、2006年の会社法改定によって認められるようになった新しい形態で、ベンチャー企業などに多く見られます。
社員全員が出資金を出し合い(会社法578条、604条3項)、社員=経営者となります。
会社が負債を抱えた場合に、出資額を上限として責任を負う「有限責任社員」が1名以上いれば設立できます。この場合の社員とは、いわゆる幹部となる人材であり、合同会社に転職したからといって、幹部候補でない限り出資金を求められることはありません。
日本版LLC(Limited Liability Company)とも呼ばれ、株式会社設立と比較して手続き等にかかる費用も安く、会社として立ち上げやすいのが特徴です。
設立件数は年々増え、政府の登記統計によると、2023年は40,751 件(※)が設立されました。
参照:会社及び登記の種類別 会社の登記の件数|e-Stat(政府統計の総合窓口)
ただし、出資は金品か現物が必要で、労働自体を出資とする「労務出資」は認められていません。公証役場で定款の認証を受ける必要がなく、短期間で設立できるのも大きな特徴です。株式会社と異なり、決算公告の義務はなく利益配分も自由に決められます。
資本金を出資する人と経営者が同一であり、社員総会によって経営の意思決定が行われることから、経営の自由度が高く、柔軟な働き方ができるケースが多いでしょう。
合資会社
合資会社は、合同会社と違い、労働による出資が認められる会社で、設立の際に資本金がいらないという特徴があります。会社の負債に全額責任を負う無限責任の社員と、有限責任の社員がそれぞれ1人以上必要です。
意思決定の場は合同会社と同様に社員総会となり、有限責任の社員の様態と意思決定のスムーズさなどはほかの持分会社とほぼ同じです。
しかし、責任を負う社員が2名以上必要となり、1人では起業できないことから、設立された会社数は多くありません。
合名会社
合名会社は、合資会社と同様、労務出資が認められ、設立の際に資本金がいりません。2名以上の無限責任社員のみから構成されます。
無限責任社員は負債のすべての責任を負うため、設立のハードルが高く、数は多くありません。合同会社、合資会社と同様に、社員総会で経営の意思決定が行われます。
有限会社
有限会社は、小規模ビジネスを想定した会社です。2006年の会社法改正に伴い、新たに設立できなくなりました。
以前は、株式会社と比べて求められる最低資本金が少なく、設立までの手続きも簡易であるなど、有限会社の設立要件は難しくありませんでした。
しかし、会社法の制定により有限会社の新規設立が廃止され、すでに設立されていた有限会社は株式会社に変更するか、特例有限会社として残るかを選択することになりました。
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会社と、非営利法人の違い

先にもお伝えしたとおり、法人には「営利団体」と「非営利団体」の2つがあり、会社は営利法人に該当します。
営利法人である会社とは目的が異なる「非営利法人」
「営利法人」と「非営利法人」、どちらも事業によって利益を上げる仕組みがありますが、営利を目的としない非営利法人は、利益を構成員に分配しないのが特徴です。
とはいえ、非営利法人であっても社員の募集は行われており、社員には営利法人と同様に給与が発生します。非営利法人にはいくつかの種類があり、主に社会貢献を目的として運営されています。
非営利法人の種類
非営利法人の種類について、それぞれの違いを覚えておきましょう。
法人の種類 | 特徴 |
---|---|
一般財団法人 | 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された法人。地域活性化や住宅再生、美術館運営など、さまざまな分野で設立されている。 |
社会福祉法人 | 福祉サービスを提供。第一種社会福祉事業という、株式会社などではできない事業ができる。支援スタッフ、機能訓練指導員、事務職などの求人がある。 |
NPO法人 | 地域振興、教育支援など幅広く活動。無償のボランティアに支えられている組織もあるが、職員を雇用して給与を払い、社会保険に加入している団体もある。各種助成金も充実している。 |
学校法人 | 大学、幼稚園など、私立の学校設立・運営を目的に設置する。理事会、監事、評議員会から構成される。事務職、教員などの募集がある。 |
医療法人 | 病院や診療所、介護老人保健施設などを開設するための法人。個人病院と異なり、営利目的の活動はできない。医療事務など、さまざまな求人がある。 |
宗教法人 | 宗教法人法によって設立された法人。地域のお寺や神社、教会から、全国的なものまでさまざま。僧侶、事務、霊園作業職員などの求人がある。 |
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営利法人である会社と非営利法人、どちらが転職先に向いている?

営利法人である会社と非営利法人、どちらに転職するとしても、それぞれにメリットとデメリットがあります。両方の特徴を理解して、転職活動に生かしましょう。以下、詳しく説明します。
会社(営利法人)に転職するメリット・デメリット
会社(営利法人)に転職するメリットは、業種や規模にもよりますが、非営利法人より収入が高い傾向にある点です。
会社は、事業を成功させて得た資本を再度投入し、より事業を拡大していきます。事業の成功に貢献することで、キャリアアップや収入アップも可能です。自分自身の成長から仕事の充実感を覚えられる点は、大きなメリットと言えるでしょう。
一方、デメリットとして、会社は利益追求を優先する組織であるため、非営利法人と比べて事業の自由度が少ない点があります。
意欲を持って取り組みたい事業でも思うような仕事ができないことがあり、利益が上がらない場合は縮小や見直しの可能性があるでしょう。その結果として、収入減少や倒産のリスクもあります。
非営利法人に転職するメリット・デメリット
非営利法人は社会貢献などを目的に設立されるため、誰かの役に立ちたい、社会課題の解決のため働きたいと考えている人は、やりがいや自身の社会貢献を実感しやすいというメリットがあります。
また、スポーツ振興など専門分野に関わることで、関連する非営利法人との人脈(横の繋がり)を築けるケースもあります。
また、会社と比べて非営利法人は、営利を目的にする制約がないため、事業内容を幅広く設定できます。目的に合った事業が展開されるため、利益を問わず、好きな仕事を続けられる可能性があります。
一方で、デメリットとなるのが、会社と比べて収入が上がりにくい傾向にあることです。非営利法人は構成員に利益を分配しないのが前提であり、事業として安定しやすいものの、従業員としては頑張りが評価されにくいかもしれません。
また、目的にそった事業が継続されるため、事業領域が大きく変わらず、物足りなく感じる人もいるかもしれません。
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会社選びのポイント

どのような形態の組織であっても、転職の際は、自分が何を優先して働きたいのかを考えて選ぶことが大切です。
そのためにも、会社の種類と特徴を理解しておくことが大切です。種類別に見た会社選びのポイントを説明します。
【ポイント1】スキルアップや安定性を重視する場合は株式会社
日本でビジネスをする際、最もイメージしやすいのは、全法人の9割以上を占める株式会社でしょう。
先ほども述べたとおり、株式会社では、事業拡大により今まで以上に大きな事業に携わることや、事業の成功に貢献することで、キャリアアップやスキルアップを目指しやすいと言えます。
また、社員は有限責任のため、事業がうまくいかない場合も、出資額以上の責任を問われることはありません(出資がなければ責任を負うこともありません)。
資本金が多く、安定性のある株式会社なら、福利厚生も充実している可能性があります。
ただし、大規模な株式会社の場合、国内に多くの支店を持つ傾向があるため、会社によっては転勤などが生じることもあるでしょう。
【ポイント2】自由度が高い職場で働きたいなら持分会社
経営の自由度が高い職場で働きたい人には、持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)がおすすめです。
合同会社は出資した幹部社員が経営者となって運営するため、社内での意思決定もスムーズです。合資会社も定款作成上の決まり事が少なく、自由度が高い傾向にあります。合名会社は社員総会で経営上の意思決定ができます。
小規模ベンチャーが選択しやすい会社形態であり、同じ志を持つ仲間が集まって自由に経営していくスタイルを好む人は、持分会社が向いているかもしれません。
【ポイント3】社会貢献を重視するなら非営利法人
社会貢献を重視し、課題解決に取り組みたい人は、NPO法人などの非営利法人を応募先に考えてみると良いでしょう。
ただし、給与は低い傾向にあることを知っておきましょう。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、NPO法人で働く正規職員のうち、年間給与の平均値は約260万円でした。
とはいえ、どんな条件であっても、自分の経験を生かして社会課題に取り組む仕事にはやりがいがありますし、働き続けることで自身の成長を実感できるかもしれません。
参照:調査シリーズNo.139 「NPO法人の活動と働き方に関する調査(団体調査・個人調査)―東日本大震災復興支援活動も視野に入れて―」|労働政策研究・研修機構(JILPT)
まとめ
普段、何気なく使っている「会社」という言葉ですが、「会社」とは会社法に基づいて設立された法人を指し、具体的には「株式会社」と「持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)」と定義されています。
株主から資金を集める株式会社のほか、資本金を出資した人や社員が自ら経営者として運営する持分会社などの種類があり、それぞれ異なる設立条件や特徴があります。こうした違いを理解しておくことで、転職時の応募先選びの参考になるでしょう。
また、営利法人の会社ではなく、社会貢献を目指すNPO法人などの非営利法人という選択肢もあります。
どのような職場に転職するとしても、まずは自身が希望する働き方を考え、希望するキャリアに合った特徴を持つ会社を選んでみてはいかがでしょうか。
監修者

谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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