零細企業とは?中小企業との違い、働くメリット・デメリットについて説明
掲載日:2024年12月05日
記事まとめ(要約)
- 零細企業(れいさい・きぎょう)は、小規模な企業を指す
- 中小企業基本法における「小規模企業者」は、日本の企業の8割以上を占める
- 従業員が少ない分、幅広い仕事を経験でき、経営者と近い距離で仕事ができる魅力がある
- 早い段階から裁量の大きい仕事がしたい人や、幅広い仕事を経験したい人に向いている
「零細企業(れいさい・きぎょう)」とは、小規模な企業を指します。しかし、規模は小さくても、専門性や独自性の高い商品・サービスを提供している零細企業も多くあります。
零細企業の意味や、零細企業で働くメリット・デメリット、零細企業で働くことに向いている人についてお伝えします。
零細企業とは?
零細企業に法律上の定義はありませんが、中小企業基本法における小規模企業者が零細企業と呼ばれます。具体的には卸売業・サービス業・小売業で従業員5人以下、製造業・建設業・運輸業・その他の業種で従業員20人以下の企業が該当します。
【中小企業基本法における定義】
業種 | 中小企業者 | 小規模企業者 | |
---|---|---|---|
資本金の額または 出資の総額 |
常時使用する従業員の数 | 常時使用する従業員の数 | |
製造業、建設業、運輸業、その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 | 20人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 | 5人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 | 5人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 | 5人以下 |
参照:中小企業の定義に関するよくある質問|中小企業庁
中小企業庁によると、2021年6月時点での小規模事業者の数は285万3,000となっており、企業全体の84.5%を占めています。
参照:中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)の集計結果を公表します|中小企業庁
零細企業と中小企業の違い
中小企業は、上述したように、中小企業基本法で規模が定められており、零細企業も中小企業に含まれます。中小企業庁によると、中小企業の数は336万5,000で、企業全体の99.7%を占めています(2021年6月時点)。
零細企業を含む中小企業が、日本の産業を支える役目を果たしているのです。
零細企業と大企業の違い
零細企業と同様、大企業も法律で明確に定義されているわけではありません。資本金の額や従業員数が、上述した中小企業の基準を上回る場合や、会社法で定められた「大会社」に該当する、以下のいずれかの条件にあてはまる場合に「大企業」と表現されるケースが一般的です。
- 最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上である
- 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上である
中小企業庁によると、大企業の数は1万364で、企業全体の0.3%しかありません(2021年6月時点)。
零細企業とベンチャー企業の違い
ベンチャー企業は、法律で明確に定義されているわけではありませんが、革新的な技術やアイデアで、新しいビジネスやサービスを展開する企業を指します。
起業して間もない時には規模が小さいイメージがあり、零細企業に似ているかもしれません。しかし、ベンチャー企業の中には認知度が高く従業員数も多い「メガベンチャー」なども存在するため、ベンチャーだから零細企業というわけではありません。
また、ベンチャー企業というと新規起業、ビジネス創造を志向するニュアンスがあり、ベンチャーキャピタルなどの投資を受け、より広範囲で事業を行うこともあります。
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零細企業で働くメリット
零細企業で働くメリットについて説明します。
早くから裁量を持って働ける
零細企業は、従業員の数が少ないため、仕事において個々の従業員がカバーする業務範囲が広く、若手や中途採用者などが早い段階から裁量を持って働ける場合があります。
その分、主体性や責任が求められるので、自身の成長につながります。幅広い業務に精通し、多角的な視野を持つ「ゼネラリスト」として成長できる点も魅力です。
経営者に近い距離で仕事ができる
従業員が多く全国展開しているような大企業とは異なり、零細企業では、経営者と近い距離で仕事ができます。そのため、経営者の技術や考え方を直接習得できるメリットがあります。
地域に密着した仕事ができる
零細企業は従業員が少ないため、事業のエリア拡大が難しく、地域密着型の経営を行うところも少なくありません。地域住民との信頼関係ができており、その関係性を生かして、コミュニティに働きかける仕事に携われる可能性があります。地域特有のニーズに対応したサービスの提供にやりがいを感じる人には大きなメリットと言えます。
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零細企業で働くデメリット
零細企業で働くことにはデメリットもあります。以下で説明します。
担う仕事が多く忙しい可能性がある
零細企業は従業員数が少ないため、一人ひとりが幅広く仕事を行わなければならないことがあり、忙しくなる可能性があります。1人で企画開発、営業、事務など、複数の仕事をすることになるかもしれません。また、裁量を持って働ける分、責任の度合いも高まるでしょう。
教育・研修制度が不十分な場合がある
零細企業は従業員の数が少ないため、教育・研修に人手を割くのが難しいことがあります。現場で実際に働きながら覚えることが多いため、仕事に慣れない間は、戸惑うかもしれません。
福利厚生が充実していない場合がある
大企業には、福利厚生を管理・運用する部門やチームが存在しますが、零細企業では、人的なリソースの問題から、福利厚生を設計して運用する余裕がない場合があります。また、コストの面で福利厚生を充実させるのは難しいかもしれません。
そのため、大企業に見られるような、住宅手当や社員食堂、余暇施設といった法定外福利厚生が整っていない可能性があります。
給与が低い可能性がある
零細企業は、大企業に比べると、年収が低い傾向があります。国税庁の「令和4年分年民間給与実態統計調査」によると、従業員が5,000人以上の事業所は年間の平均給与が538万円(男性691万円、女性316万円)でした。
一方、従業員が10人に満たない事業所の年間の平均給与は371万円(男性470万円、女性262万円)でした。給料が低いことで、モチベーションを維持するのが難しくなってしまう可能性があります。
参照:令和4年分 民間給与実態統計調査|国税庁
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零細企業で働く前にチェックしたいポイント
- 社風
- 事業内容
- 収入面
- 社会保険
零細企業で働く前に、チェックしておきたいポイントについてお伝えします。
社風
零細企業では、経営者との距離が近いため、経営者の考え方や方向性に共感できるかについても考えてみましょう。また、それを踏まえて社風が自分に合っているか、社内の人間関係はどうかなど、面接のタイミングで確認しておきましょう。
可能であれば、社員との面談を通じて確認しておくと安心です。
事業内容
事業が今後成長していく可能性があるのか、衰退していくのかを見極める必要があります。衰退していく事業であれば、新規事業への転換などが難しい零細企業は倒産のリスクが大きいです。
数年間の売上や利益の推移、社員や経営者の事業への意欲を見極めることが重要です。
収入面
給与、福利厚生などの収入面も確認しておきましょう。資金力に余裕がない零細企業の場合、住宅手当などの福利厚生が整っていない可能性もあります。
基本給だけで判断するのではなく、住宅手当や通勤手当などの各種手当をはじめとした福利厚生も含めて、実質的な収入をイメージしておきましょう。
社会保険
零細企業には、株式会社などの法人だけでなく、個人事業主も含まれます。法人の場合は、従業員の社会保険への加入が義務づけられていますが、雇い主が個人事業主の場合は、社会保険が任意加入のケースもあります。
労災保険、雇用保険は、どんな企業でも従業員が1人以上いれば加入義務があります。ただし、厚生年金保険・健康保険については、特定の事業所(一部サービス業、農林業、水産業、畜産業、法務など)を除いて従業員が5人未満の個人事業主の場合、加入義務はありません。
しかし、その場合でも、企業の判断で任意加入することは可能です。そのため、個人事業主が経営する零細企業に転職を考えている際は、社会保険に入れるかどうかを確認しましょう。
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零細企業で働くことが向いている人
零細企業で働くことが向いている人はどのような人でしょうか。
幅広く経験を積みたい人
従業員の数が少ない零細企業では、幅広い業務をこなす必要があります。さまざまな業務をこなすことに面白さを感じられる人は、零細企業に向いていると言えるでしょう。
将来的に起業や経営層を目指す人
零細企業は、従業員が経営者とコミュニケーションをとりやすい場合があります。事業が小規模なので、全国展開しているような大企業と比較して、事業の全体像を捉えやすいという特徴もあります。将来的に起業したい人や、経営を学びたい人にはメリットがあるでしょう。
また、起業だけでなく、零細企業で経営層を目指すという選択肢もあります。
実践でスキルを高めたい人
零細企業は従業員が少ないことから、座学ではなく実践で経験を積んでいくOJTが中心です。そのため、早い段階から実践でスキルを高めていきたいと考える人には合っているでしょう。
まとめ
零細企業は規模が小さくても、日本の産業を支える重要な役割を担っています。ただし、従業員数が少ないことから、幅広い仕事をこなすことや、実務を通じて主体的に学ぶ姿勢が求められます。
目的を持って意欲的に仕事ができる人には、活躍のチャンスが開かれている面もありそうです。転職の際には、収入、社会保険加入などの労働条件や事業内容をしっかり確認しましょう。
監修者
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
法人、会社、企業の意味や特徴を知る
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