ワンポイントアドバイス
接客業で培ったお客さまの要望を的確にくみ取ることや最適な提案を行うコミュニケーション能力は、営業職でも生かすことができます。
ただし、接客業が商品やサービスの紹介や、顧客満足度の向上が目的なのに対して、営業職は商品やサービスの販売、契約が重要な目的になります。
この点を踏まえて、営業職として接客業の経験を生かし、お客さまのニーズをくみ取り、適切な商品やサービスの提案を行い成約に結び付けるなど、具体的にアピールすると良いでしょう。
掲載日:2025年01月30日
営業職に向いている人が持っているスキルには、いくつかの共通する特徴があります。営業職として活躍するには、どのようなスキルが必要なのか、スキルを身に付ける方法、未経験で営業職に応募する際の自己PRのポイントを解説します。
営業職と一口に言っても、営業の対象は、大きく個人向けと法人向けに分かれます。また、営業手法も、訪問営業や飛び込み営業、ルート営業やテレアポ営業など、さまざまな種類があります。しかし、共通しているのは、「直接顧客と向き合う役割」であるという点です。
そのため、営業職ではコミュニケーション能力が高いことが役立ちます。営業職におけるコミュニケーション能力は、単なる会話力だけでなく、複数のスキルや、仕事に対する姿勢から構成されています。
ここからはどのようなスキルを持っている人が営業職に向いているのかを紹介します。
営業の基本は、顧客の課題に対して最適な提案をし、自社の商品やサービスのセールスを行うことです。
しかし、顧客自身が課題を把握していない場合や、課題を感じていてもうまく表現できないこともあるため、ただ相手の話を聞くだけでは、顧客の潜在的な課題を見つけることはできません。
顧客の言葉を丁寧に聞いて、課題を深掘りする質問をすることで、顧客が抱えている真のニーズや課題を引き出すことができます。
また、ヒアリングにおいては相手が気持ちよく話せるような配慮も求められます。相手の話を遮らず、適切なあいづちや共感を示すことで、顧客との信頼関係を築きながら効果的にヒアリングを行うことができます。
適切な提案を行うためには、ヒアリングから得られた情報を元に仮説を立て、顧客が自覚していない課題を発見するスキルも重要です。
課題の洗い出しや整理には「フレームワーク」が役立ちます。代表的なものをご紹介しますので、うまく活用しビジネスに役立てましょう。
例えば「SWOT分析」は、自社や顧客の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を整理するフレームワークで、改善すべき点や取るべき戦略が分かりやすくなります。
また、事業のプロセスを段階ごとに見直し、改善点を見つける「バリューチェーン分析」や、自社(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)の3つの視点から顧客が置かれている状況を整理する「3C分析」も役立ちます。
ただし、課題を発見するだけでは十分ではありません。その課題をどう解決するのかを考え、顧客にとって最適な提案を行うプロセスを通じて、顧客との信頼関係を築くことも必要です。
迅速な対応は、顧客に対して良い印象を与えます。
例えば、顧客から問い合わせがあった際に、要望に対して素早く返答することで「自社のことを真剣に考えてくれている」という印象を持ってもらうことができるでしょう。このような対応を日々積み重ねていくことが、長期的な信頼の獲得につながります。
また、社内外を問わず、行動力を発揮して調整役を担うことも、営業職にとって重要なスキルです。
営業の仕事では、顧客の要望を社内に共有し、それを実現するために各部署と連携する場面が多くあります。
この時、スピード感を持って自ら積極的に動き、各所との調整ができれば、顧客への提案もスムーズになり、結果的に成約率の向上や顧客満足度の向上につながります。
問題解決や互いに納得できる妥協点を見つける際には、論理的な思考を持ち、双方にとって最適な解決策を提案するための交渉力が重要です。
顧客の要望や状況は多岐に渡るため、画一的な解決方法ではなく、その場に応じて柔軟に解決策を考える能力が必要となります。
また、交渉のポイントや自分自身の強みを把握しておくことも欠かせません。
自分の得意分野を理解していると自信を持って話を進めることができ、その自信が相手にも伝わり、交渉をスムーズに進めやすくなります。結果的に、双方が満足できる「Win-Win」の関係を築きやすくなるでしょう。
営業の現場では、トラブルが発生することもあります。そのような状況では、問題の本質を的確に把握し対応する能力が重要です。
状況を正確に理解するために、トラブルの発生経緯や詳細な情報を収集し、関係者の意見をヒアリングしながら客観的に分析する力が求められます。こうした丁寧な情報収集により、適切な対応策を見つけやすくなります。
また、トラブルの解決後には、同じ問題を再発させないための予防策や改善策の検討が重要です。こうした振り返りを行い、経験を次に生かすことで、自身の対応力を高めていくことができます。
このように、経験から学んで成長する姿勢を含めた対応力が、営業職において重要な素質の一つです。
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営業職として活躍するためには、上述したスキルを身に付けると良いでしょう。ここからは、営業職が未経験の人にもおすすめの方法を紹介します。
書籍やオンライン講座は、営業やマーケティングに関する知識を体系的に学ぶうえでおすすめです。特に以下のような分野を重点的に学ぶことで、実践的なスキルを身に付けることができるでしょう。
書籍やオンライン講座を通じて理論を学び、実際の営業活動に応用することで営業スキルを高めることができます。
上述したように、営業職においては顧客とのコミュニケーションが鍵を握ります。そのため、日常の会話を活用して以下のスキルを高める練習をすると良いでしょう。
【インプット(相手から情報を引き出す)スキル】
【アウトプット(相手に分かりやすく伝える)スキル】
上記を習慣化することで、顧客とのコミュニケーション能力が向上します。
振り返る習慣を持つことは、営業スキルの向上に直結します。例えば、毎日10分振り返りの時間を設け、以下のような項目を見直すと良いでしょう。
毎日の振り返りが習慣化されてきたら、改善すべき点とセットで、改善策(どのように改善するか)まで書けるようになると良いでしょう。改善策まで考え、次の日から実践することで、効率的にスキルアップできます。
フレームワークを活用して、論理的思考力(ロジカルシンキング)を鍛えることも営業スキルの向上に役立ちます。
上記で紹介した「SWOT分析」や「バリューチェーン分析」「3C分析」といったフレームワークを、実際の問題解決の場面で使ってみることをおすすめします。
また、論理的思考力の鍛え方として、普段から以下を意識してみると良いでしょう。
上記の思考法を身に付けることで、営業における提案力が向上します。
問題とその原因について考える時、頭の中で整理しようとすると、要素が複雑に絡み合い、どこから手をつければ良いか分からず、問題解決の目的を見失ってしまうことがあります。
紙に書いて可視化することで、因果関係や優先度が明確になり、感情に左右されずに、課題を客観的に捉えることができるようになります。
紙に書き出す方法に決まりはありませんが、ここでは「顧客とのトラブルを解決する場合」を想定した具体例を紹介します。
このように、紙に書き出すことで要点が整理され、具体的かつ実行可能な行動に落とし込むことができます。日々の業務やトラブル対応において、紙に書いて整理する習慣を取り入れてみると良いでしょう。
営業活動で成果を上げるためには、目標と期限を明確にすることが重要です。
例えば「月末までに新規顧客を3社獲得する」といった具体的な目標を設定することで、モチベーションが高まり、行動にも一貫性が生まれます。
この習慣は営業だけでなく、日常業務においても応用できるスキルですので、目標や期限を決めることを意識して、経験を積むと良いでしょう。
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営業には、新規開拓、ルート営業、テレアポなどさまざまな種類があり、それぞれ異なるスキルが求められます。以下に代表的な営業手法や顧客別の特徴を挙げ、それぞれのポイントを解説します。
個人営業は、顧客にとって必要な商品やサービスであれば、短期間で契約につながりやすいです。
そのため、顧客のニーズを素早く把握するヒアリング力が求められます。また、顧客との相性も成約に影響するため、営業担当者のパーソナリティや親しみやすさ、柔軟なコミュニケーションなどが特に重要です。
法人営業では、決裁に時間がかかることが多いため、契約までに時間を要するという特徴があります。
営業担当者のパーソナリティよりも、提供サービスの機能や要件が満たされているか、価格や条件面でのメリットがあるかといった点が重要視されるため、商品やサービスの専門知識とプレゼンテーションスキルが特に重要です。
訪問営業では、アポイントを取り、顧客のもとへ直接訪問して営業を行うため、相手の反応から見込み客かどうかを的確に見極めるスキルが求められます。
飛び込み営業では、アポイントなしで訪問営業を行います。そのため、短時間で商材やサービスに興味を持たせるセールストークの技術が重要です。
ルート営業では、既存顧客をフォローアップしつつ、新規商品などの営業を行います。
顧客のニーズを読み取れないと契約が継続できないため、既存顧客との信頼関係を維持しながら、商機を見逃さず、新たな提案を行うための観察力が求められます。
テレアポ営業では、電話をかけて新規開拓の営業を行います。
短時間で相手に興味を持ってもらう必要があり、説得力のあるセールストークが重要です。また、営業を拒否されることも多いため、粘り強さも重要です。
代理店営業では、代理店に、自社の商品やサービスを取り扱ってもらえるように営業を行います。また、既存の代理店に対して、新規商品を紹介することもあります。
自社の商品やサービスの専門知識をしっかりと理解し、代理店を巻き込む提案力が必要です。
インバウンドセールスでは、こちらからの問い合わせではなく、顧客からの問い合わせに対して解決策を提案し、営業につなげます。
商品やサービスの専門的な知識が重要で、顧客からの問い合わせに対して、迅速かつ最適な解決策を提案できる能力も求められます。
なお、訪問営業やテレアポ営業など、企業側からダイレクトにアプローチを行う営業手法のことをアウトバウンドセールスといいます。
未経験でも応募できる営業職の求人の場合、以下のポイントを押さえて自己PRを作成してみましょう。
営業職が未経験の場合でも、能力や適性を営業職に結びつけてアピールすることが重要です。
営業職にも生かせるスキルとしては、以下が挙げられます。
以下は、ヒアリング力をアピールする場合の自己PRの例文です。
【自己PRの例】
私は、現職で接客業に従事してきた経験を生かし、営業職でも貢献できると考えております。接客業では、日々多様なニーズを持つお客さまに対応するなかで、お客さまの要望を的確にくみ取り、素早く最適な提案を行うヒアリング力を磨いてまいりました。
特に、顧客満足度を高めるために「お客さまの言葉の裏にある本当のニーズ」を引き出すコミュニケーション能力には自信があります。
営業職は初めての挑戦ですが、これまでの経験で培った対人スキルを生かして貴社で成果を上げられるよう努力してまいります。
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA):谷所 健一郎
ワンポイントアドバイス
接客業で培ったお客さまの要望を的確にくみ取ることや最適な提案を行うコミュニケーション能力は、営業職でも生かすことができます。
ただし、接客業が商品やサービスの紹介や、顧客満足度の向上が目的なのに対して、営業職は商品やサービスの販売、契約が重要な目的になります。
この点を踏まえて、営業職として接客業の経験を生かし、お客さまのニーズをくみ取り、適切な商品やサービスの提案を行い成約に結び付けるなど、具体的にアピールすると良いでしょう。
なぜ営業職に就きたいのかを整理して自己PRに盛り込むことで、未経験であっても説得力のあるアピールとなります。
以下は、過去の経験から営業職を志望する動機を明確にした自己PRの例文です。
【自己PRの例】
私は、お客さまに最善の提案を行い、信頼関係を築くことができます。
前職の販売職では、「ただ商品を売る」のではなく、問題を解決するために最善の提案を行うことが大切だと実感し、お客さま一人ひとりの要望に耳を傾けて販売してまいりました。こうしてお客さまと信頼関係を築くことで、「あなたからまた買いたい」と再来店してくださるお客さまも多くいらっしゃいました。
この経験を生かして、店舗に来店するお客さまに対応するだけでなく、お客さまとの接点を自らも作り出して信頼関係を築き、売上に貢献していく営業職として能力を発揮できると確信しています。
貴社の教育制度を活用しながら自己成長に努めていく所存です。
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA):谷所 健一郎
ワンポイントアドバイス
販売職の経験から、お客さまと信頼関係を築くことができる、といったアピールは営業職として活躍する姿をイメージさせます。
販売した商品や具体的に行った提案をエピソードとして説明すれば、より説得力のある自己PRになります。営業職への転職ですので、販売職として目標売上を達成したなど、成果を示すと良いでしょう。教育制度に触れる場合は、教育制度を活用し商品知識を高めて、短期間で戦力になるなど、企業視点でアピールしてください。
求人募集から求める人材を見極め、企業が未経験者に期待していることを読み解くことで、効果的に自己PRができます。
以下は、リーダーシップや積極性のある人材が求められている場合の自己PRの例文です。
【自己PRの例】
私の強みは、最後まで諦めず積極的に行動するリーダーシップ力です。
現職では、アルバイトスタッフ10名の指導役を任されています。それぞれの個性が強く、まとめるのが難しい状況でしたが、リーダーシップを発揮して諦めずにコミュニケーションを取るようにしました。その結果、スタッフの連携が強化されて、店全体の売上の向上に貢献しています。
また大学時代にはサークル活動で副代表を務め、メンバー20名以上の意見をまとめながらイベントを企画・運営していました。
営業職は未経験ですが、リーダーシップ力を生かして、貴社の営業職として短期間で戦力になり貢献します。
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA):谷所 健一郎
ワンポイントアドバイス
第二新卒であれば、応募企業で生かせる学生時代のエピソードを伝えても構いません。しかし、学生時代のことだけでは、社会人経験でアピールすることがないと受け取られる可能性がありますので、仕事に関連するエピソードも伝えるようにしてください。
最後まで諦めない行動力といったリーダーシップの経験は営業職でも生かせます。説明する際は「スタッフの要望を聞いて取り入れた」など、具体的に行った内容を簡潔に伝えると良いでしょう。
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未経験でも営業職にチャレンジしたい人は、書籍やオンライン講座を活用して、営業について体系的に学び、実践に役立てることが有効です。また、日常会話でのインプット・アウトプットを意識することも、顧客とのコミュニケーションスキル向上に役立ちます。今回紹介した方法でスキルを身に付け、転職の可能性を広げましょう。
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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