雇用保険被保険者証とは? いつ必要? 再発行についても解説【社労士監修】
更新日:2024年06月27日
記事まとめ(要約)
- 雇用保険被保険者証とは、雇用保険に加入した人(被保険者)に発行される証明書のこと
- 一般的には会社を退職する日に手渡されるケースが多い
- 転職する際に同じ被保険者番号が引き継がれる。そのため転職先から提出を求められる
- 何らかの理由で手元になく、転職先に提出ができない恐れがある場合、ハローワークで再発行する
転職の際に必要な書類の一つに「雇用保険被保険者証」があります。しかし、雇用保険被保険者証がどのような書類なのか、会社からいつもらえるのか、今どこにあるのか分からない人もいるでしょう。
「雇用保険被保険者証とは何か」「必要になるタイミングはいつなのか」「紛失した場合どうするのか」などについて解説します。
雇用保険被保険者証とは?
雇用保険被保険者証とは、雇用保険に加入した人(被保険者)に発行される証明書のことです。
雇用保険の被保険者は各自「被保険者番号」が割り振られ、別の会社に転職して入社する際も同じ番号を引き継ぎます。
雇用保険被保険者証は発行され次第、原則として労働者に手渡すとされていますが、一般的には会社を退職する日に手渡されるケースが多いようです。また、離職後に源泉徴収票や離職票と一緒に送られてくるケースもあります。
転職をする際は、就職先から雇用保険被保険者証の提出を求められるので、ご自身の手元にあるのか、または会社で保管されているのかをあらかじめ確認しておきましょう。
雇用保険被保険者証で分かること
雇用保険被保険者証で分かることは、以下のとおりです。
- 11桁の被保険者番号
- 被保険者の氏名・生年月日
雇用保険の被保険者には各自11桁の「被保険者番号」が割り振られます。被保険者番号は転職して入社する際に同じ番号が引き継がれます。そのため、入社時に会社から雇用保険被保険者証の提出を求められるのです。
▼転職先に提出する雇用保険被保険者証のイメージ
※書式や記載内容が異なる場合があります。「被保険者番号」は雇用保険被保険者証の中段に記載があります。
上記のとおり、雇用保険被保険者証から「被保険者番号」「被保険者氏名」「生年月日」が分かります。
また、雇用保険被保険者証と一体となっている「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」には、前職の事業所名や雇用保険の資格取得年月日などが記載されています。
ちなみに、前職の会社名などが記載されている雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)の記載部分は切り離せるようになっています。通知書部分を切り離して、雇用保険被保険者証のみを転職先の会社に提出しても問題ありません。
雇用保険被保険者証の記載内容だけでは転職履歴や職歴は分からないので、「雇用保険番号から、職歴が分かってしまう?」「2回目の転職であることが、番号からばれる?」などを心配する必要はありません。
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雇用保険被保険者証をもらっていない理由
雇用保険被保険者証をもらっていない主な理由は、以下のとおりです。
- 加入条件を満たしていない
- 会社の役員である
- 前職が公務員である
- 季節的労働者で4カ月以内の期間を定めて雇用される者など
雇用保険の加入条件を満たしていないことが理由で、雇用保険被保険者証をもらっていない可能性があります。加入条件は次章の「雇用保険被保険者証に加入できる条件」で解説していますので、ご自身が加入条件を満たしているか確認してみましょう。
また、雇用保険の被保険者になれないことが理由で、雇用保険被保険者証をもらっていない可能性があります。例えば「会社の役員」「事業者の親族」「家政婦などの家事使用人」などです。
更に、雇用保険法が適用されないことが理由で、雇用保険被保険者証をもらっていない可能性があります。例えば「前職が公務員の人」「季節的労働者で4カ月以内の期間を定めて雇用される者」「船員保険の被保険者」などです。
上記以外にも、「事業主による紛失」や「前職の退職時に渡し忘れていた」などの理由で、雇用保険被保険者証をもらっていないこともあります。
雇用保険被保険者証に加入できる条件
雇用保険被保険者証に加入できる条件は、以下のとおりです。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上引き続き雇用されることが見込まれること
雇用保険被保険者証に加入するには、雇用保険の適用事業所で雇用され、原則として上記の条件を満たす必要があります。
「1週間の所定労働時間」とは、拘束時間や休憩時間を除く1週間あたりの労働に従事していた時間のことです。例えば、週3日8時間の勤務(うち休憩1時間)の場合の所定労働時間は21時間なので、雇用保険の加入条件を満たします。
「雇用されることが見込まれる」とは、雇用が継続しないことが明確である場合を除き、要件を満たすということです。つまり、雇用期間が31日未満であることが明確でない場合(雇用契約に雇い止めの記載がない)でも、雇用形態(パート・アルバイト・派遣など)を問わず雇用保険の加入条件を満たします。
そのほかにも、雇用保険法が適用されない、同法上の労働者に該当しないことで雇用保険被保険者証に加入できない場合もあるので注意しましょう。
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雇用保険被保険者証が必要になった時の対処法
雇用保険被保険者証が必要になるタイミングや、紛失した時の再発行の方法について解説していきます。
雇用保険被保険者証が必要になった時は?
雇用保険被保険者証を会社が保管している場合、「いつもらえるのか」「もらえない場合はどうするのか」気になる人も多いでしょう。
一般的には会社を退職する日に手渡されるケースが多いようです。また、離職後に源泉徴収票や離職票と一緒に送られてくるケースもあります。
ですので、転職先の入社日までに雇用保険被保険者証を手渡してもらう、または届けてもらうように入念に段取りすることが大切です。
仮に、何らかの理由により雇用保険被保険者証が手元になく、転職先の会社に提出ができない恐れがある場合は、ハローワークで再発行の手続きをしましょう。
それでも雇用保険被保険者証の提出が入社日までに間に合わない場合は、早めに転職先の会社に指示を仰ぐ必要があります。
雇用保険被保険者証を紛失した時は?
雇用保険被保険者証を紛失した時は、ハローワークで再発行の手続きを行いましょう。
その前に、まずは雇用保険被保険者証を受領していない可能性がないか前職の会社に確認を行う必要があります。確認の結果、雇用保険被保険者証の紛失が確定した場合は本文の「再発行の方法」を参考にして早急に手続きを進めてください。
雇用保険被保険者証は比較的小さな書類なので、紛失しないように大切に保管しましょう。
再発行の方法
雇用保険被保険者証の再発行の方法を、ハローワークで即日再発行する場合と平日にハローワークへ行けない場合に分けて解説します。
また、雇用保険被保険者証の再発行は、加入条件を満たしていない人や退職後7年以上が経過している人は行えないので注意が必要です。
ハローワークで即日再発行する場合
雇用保険被保険者証は、ハローワークで即日再発行が可能です。その際、以下の書類などが必要なので、あらかじめ準備をしておきましょう。
- 運転免許証、マイナンバーカードなどの顔写真付き本人確認書類
- 前に勤めていた会社の名前、本社所在地や電話番号が分かるもの
- 官公署から発行・発給された資格等の証明書など
- 事業所が手続きを行う場合には代表者印が必要(本人が手続きする場合には印鑑は不要)
- 代理の方が申請する場合は、「委任状」、「代理人の本人確認書類」、「ご本人の本人確認書類」
ハローワークで即日再発行する場合は、年末年始などの休暇を除く平日の窓口取扱時間内に来所する必要があります。また、再発行の手続きができる時間については、各ハローワークにより異なる可能性があるため、必要書類と併せてあらかじめ確認をしておくことをおすすめします。
平日にハローワークへ行けない場合
平日にハローワークへ行けない場合は、郵送や電子申請により雇用保険被保険者証の再発行の手続きが可能です。
郵送や電子申請による雇用保険被保険者証の再発行手続きは、平日が多忙な人や身体的にハローワークに来所できない人におすすめします。特に、電子申請は電子政府の総合窓口「e-Gov(イーガブ)」から24時間いつでも手続き可能なのでとても便利です。
ただし、電子申請を行うには事前の準備が必須です。「e-Gov」で雇用保険関係の手続きの電子申請を行う際に「電子署名」を求められるため、認証局から「電子証明書」の発行を受けておく必要があります。「電子証明書」とは印鑑証明のようなもので、「電子署名」は電子手続きにおける押印や署名を意味します。手続きをしているのが間違いなく本人であることを証明するために必要なものです。
雇用保険関係の手続きに必要な「電子証明書」を発行可能な認証局については、厚生労働省ホームページを併せて参照しましょう。
雇用保険被保険者証の有効期限に注意
雇用保険被保険者証には有効期限があるので注意が必要です。
前職の会社を退職してから7年以上が経過すると(雇用保険に加入していない期間が7年間以上の場合)、割り振られた雇用保険被保険者番号がハローワークのデータから抹消されます。
例えば、出産を機に退職し7年以上経過して子供が大きくなってから再び働き始める、または前職を退職後7年以上個人事業主として働いていた、などが雇用保険被保険者番号が抹消されるケースです。
前職の会社より引き継いだ雇用保険被保険者証がない場合は、再就職先の発行手続きにより、新たな番号で雇用保険被保険者証を取得することになります。
雇用保険被保険者証と離職票の違い
書類の違い | 雇用保険被保険者証 | 離職票 |
---|---|---|
利用目的 |
|
|
取得場所 | ハローワーク | ハローワーク |
取得後の保管 | 本人または会社 | 本人 |
雇用保険被保険者証と離職票は「利用目的」に大きな違いがあります。
雇用保険被保険者証は、就職先の会社での雇用保険の引き継ぎ手続きや教育訓練給付金の申請、または失業保険(雇用保険)の申請など「雇用保険の被保険者」であることを証明するための書類です。
一方で、離職票は「会社を退職した事実」を証明するための書類で、雇用保険被保険者証とは違い転職時に転職先から提出を求められることはほとんどありません。
会社を辞める際に渡されることが多い雇用保険被保険者証と離職票(雇用保険被保険者離職票)は、正式名称が似ておりよく混同されがちですが、それぞれの違いを正確に理解しておきましょう。
雇用保険被保険者証と健康保険証の違い
書類の違い | 雇用保険被保険者証 | 健康保険証 |
---|---|---|
利用目的 |
|
|
取得場所 | ハローワーク | 協会けんぽ、健康保険組合、共済組合 |
取得後の保管 | 本人または会社 | 本人 |
雇用保険被保険者証と健康保険証は「利用目的」に大きな違いがあります。
前述のとおり、雇用保険被保険者証は「雇用保険の被保険者」であることを証明する際に利用する書類です。
一方で、健康保険証(健康保険被保険者証)は「健康保険の被保険者」である証明書で、医療機関などでの保険診療受診や本人確認書類として利用されます。
健康保険証は従業員本人が利用する機会が多く身近な証明書であるのに対して、雇用保険被保険者証は利用頻度が少なくなじみがありませんが、社会保険に関する重要な書類としてそれぞれの違いを正確に理解しましょう。
完全在宅勤務・
フルリモートワークの求人
通勤がつらい!
出社しなくても仕事ができる求人を紹介!
毎月25万円以上は欲しい!
固定給25万円以上の求人をまとめました。
賞与5カ月以上!
賞与・ボーナス5カ月以上の求人をまとめました。
毎週2日間休みが欲しい!
完全週休2日制の求人をまとめました。
Q&A雇用保険被保険者証に関する質問
雇用保険被保険者証に関する質問について回答します。それぞれ確認していきましょう。
雇用保険被保険者証のコピーしか持っていません。再発行が必要ですか?
雇用保険の加入手続きには被保険者番号が必要です。番号が分かれば、雇用保険被保険者証のコピーでも問題ありません。
しかし、企業により原本を求められるケースもあるので、転職先の会社の担当者に指示を仰ぎましょう。
雇用保険被保険者証を再発行する場合は、本記事の「再発行の方法」を参考にして手続きをしてみてください。
派遣社員でも雇用保険被保険者証はもらえますか?
従業員が雇用保険の加入条件を満たしている場合、雇用形態を問わず事業主は各種の届出などの義務を負うことになります。
そのため、雇用保険の適用事業所で雇用され「1週間の所定労働時間が20時間以上であること」「31日以上引き続き雇用されることが見込まれること」の条件を満たす場合、派遣社員でも雇用保険の被保険者となります。
そして、一般的には会社を退職する日に雇用保険被保険者証を手渡されるケースが多いようです。または、離職後に源泉徴収票や離職票と一緒に送られてくるケースもあるので、詳細は会社に確認をしましょう。
雇用保険被保険者証を紛失しましたが、離職票を持っています。転職先には離職票に記載されている被保険者番号を伝えれば良いですか?
雇用保険の手続きには被保険者番号が必要となるので、離職票に記載されている番号で加入手続きは可能です。
しかし、企業により原本を求められるケースもあるので、転職先の会社の担当者に指示を仰ぎましょう。
雇用保険被保険者証を再発行する場合は、本記事の「再発行の方法」を参考にして手続きをしてみてください。
まとめ
雇用保険被保険者証は原則として労働者本人に手渡す書類ですが、紛失や汚損などを防ぐために会社が保管している場合もあります。ご自身の手元にない場合は、自社の担当者に会社で保管しているかどうかの確認をしましょう。
また、「前の会社からもらうのを忘れていた」「もらった気がするが、紛失してしまった」というケースがないとは限りません。特に雇用保険被保険者証の存在そのものを知らなければそういった事態が起こりがちです。その場合は、前の職場に問い合わせましょう。
雇用保険被保険者証を紛失した場合でも、管轄のハローワークやインターネットなどで再発行申請ができます。
雇用保険被保険者証の概要や再発行の方法をあらかじめ押さえておけば、転職の際にスムーズに手続きができるはずです。
ぜひ、本記事を参考にして転職先で幸先の良いスタートが切れるように準備しておきましょう。
監修者
塚本 泰久
社会保険労務士
ツカモト労務管理事務所 代表
関西地区を中心に、地域に密着した親切丁寧な事務所を目指しています。会計事務所での経験から、企業の労務管理と財務状況とのバランスを重視した適切なアドバイスを行うことで、より良い企業の体制作りをサポートしています。
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