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転職実用辞典「キャリペディア」
【パワハラで辞めたい】退職理由の伝え方・後悔しない転職先の選び方・退職手続きのコツは?(専門家監修)
更新日:2024年07月23日
監修者谷所 健一郎
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)/有限会社キャリアドメイン 代表取締役
記事まとめ(要約)
- パワハラが原因で転職した人の7割が「転職して良かった」
- 面接で退職理由を聞かれても、前向きな理由を説明できれば、あえてパワハラを受けていたことを伝える必要はない
- 円満に辞めたいならば、気まずくても直属の上司に退職意向を伝えるべき
- 本音を伝えず、当たり障りのない退職理由を検討したほうが無難
職場でのパワーハラスメント(以下、パワハラ)への対処として転職を考える人もいるのではないでしょうか。パワハラに遭ってしまった時、無理に仕事を続けなければいけないことはありません。
しかし、「転職してもまた同じような状況になってしまうのでは」「面接で退職理由を聞かれたらどう答えればいいのだろう」「スムーズに退職させてもらえるだろうか」など、不安もあるはず。そこで、キャリアアドバイザーの谷所健一郎氏にパワハラが原因で退職する際に知っておくべきポイントや転職活動をスムーズに進めるための方法などを伺いました。
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パワハラが原因で転職した人の7割が「転職して良かった」
パワハラは、職場における有利な立場を背景にして、業務上適正な範囲を超えて精神的、あるいは肉体的な苦痛を与える行為や、職場環境を悪化させる行為です。職場でパワハラを受けた時は一人で抱え込まず、誰かに相談するようにしましょう。親しい人や同僚には言いづらい場合でも、人事や社内相談窓口、社内に相談しづらい場合は勤め先がある場所の労働基準監督署の総合労働相談コーナーなどでも相談できます。
とはいえ、厚生労働省の調査(※1)では「パワハラを受けた後でどのような対応をしたのか」の質問に対し、「会社を退職した」という回答が4位に入っています。
パワハラを受けた後でどのような対応をしましたか?
何もしなかった
40.9%
家族や社外の友人に相談した
20.3%
社内の同僚に相談した
16.0%
会社を退職した
12.9%
社内の上司に相談した
12.7%
出典:厚生労働省「平成28年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査」
実際、今パワハラで悩んでいる人のなかにも退職や転職を考えている人もいるでしょう。しかし、「転職すれば本当に状況が改善するのか」「後悔するのではないか」という不安もあると思います。そこで、パワハラが原因で転職した人105名にアンケート(※2)をとってみました。
調査対象:パワハラが原因で転職した人105名 調査方法:インターネットリサーチ マイナビニュース(2019年9月) 調査結果は、端数四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります
転職をして良かったと思いますか?
まず、転職して良かったかを聞いたところ、「はい」が70.5%という結果になりました。転職して良かったと思う理由を聞いてみたところ、
- 月曜日を迎えるのが憂鬱(ゆううつ)ではなくなった。毎日のストレスも減ったから
- しっかり休みが取れるようになり、プライベートが充実した。仕事に行くのも前ほど嫌ではなくなったから
- 働きやすい職場なので能力を生かせるようになったから
- 転職したことで仕事の裾野が広がり、資格も取得できたから
- 転職してみてパワハラは我慢すべきことではないと分かったから
という声が挙がりました。
一方で、「いいえ・その他」と回答した人は29.6%。同じく理由を聞いてみると、
- 前の職場のほうが労働環境や待遇に恵まれていたから
- 転職先でも、パワハラが厳しい指導として当たり前の風潮だったから
- 入社してみたら社風が合わなかったから
という意見が見られました。
では、後悔しない転職にするためには、どのように転職活動を進めれば良いのでしょうか。
パワハラが理由で転職活動をした人が困ったことは?
転職活動で困った(不安だった)のはどんなことでしたか?
転職先でうまくやっていけるか不安
44.8%
面接で退職理由を聞かれた時にどう答えればいいのかが分からない
37.1%
希望条件を満たす転職先がない
28.6%
転職について相談できる相手がいない
25.7%
応募企業の社風や勤務時間など実態が分からない
21.0%
転職活動の時間が取れない
21.0%
向いている(できる)仕事や、やりたい仕事が分からない
20.0%
選考が通らない
16.2%
今の職場に転職活動がバレないか不安
16.2%
どんな条件で転職先を探せば良いか分からない
13.3%
※2のアンケートで転職活動で困ったことを聞いたところ、1位は「転職先でうまくやっていけるか不安」でした。5位にも「応募企業の社風や勤務時間など実態が分からない」が入るなど、次の会社への不安を感じている人が多いようです。詳しく聞いてみると「応募企業を選ぶ時に会社の雰囲気が分からなくて、またパワハラを受けるのではないかと不安だった」「転職先になじめるかどうか心配だった」との回答が。
入社前に社風や職場環境を十分に知ることができれば少しは不安を解消できそうですが、確認する方法はあるのでしょうか。
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【転職先選び】入社前に実態を知る方法は?
社風や職場環境は、応募企業選び、面接、内定通知後など、転職活動の各段階で知ることができます。あくまで例ではありますが、それぞれの段階で見抜くコツをチェックしてみましょう。
【応募企業選び】
応募企業を選ぶ段階では、まずは「転職先にどんなことを求めているのか」という自分の軸を見抜きましょう。軸を定めないで求人情報を漫然と見て「あれも良さそう、これも良さそう」と選んでいくと、転職で本当にかなえたいことを見失ってしまい、入社後にまた不満を抱くことになりかねません。
そうならないために、まずは転職でかなえたいことや仕事をしていくうえで大切なこと(仕事内容・労働条件・社風など)を書き出してみてください。
キャリアアドバイザー 谷所
すべての希望を満たす企業を見つけるのは難しいでしょうから、書いたもののなかから、特に優先したい内容を3つくらいに絞り込みます。そして、「絞り込んだ条件を転職先でかなえられるか」「求める人材や仕事内容、写真を見て自身が活躍する姿がイメージできるか」という視点で求人情報をチェックしていきましょう。
この時に気を付けたいのは、企業規模や社風、労働条件ばかりにとらわれないこと。どんなに条件面が合っていても業務で必要とされているという実感や存在価値を見いだせなければ、高いモチベーションで仕事を続けていくことができないかもしれません。
求人情報を見て「この企業は自分の経験や能力を必要としている」という気持ちが芽生えるかどうか、なりたい自分、なるべき自分を目指せる企業か、キャリアビジョン(将来像)に近付ける仕事かも考えて企業を選んでいくと、より満足度の高い転職になるでしょう。
【面接】
面接は本来、企業と応募者が互いに求めている条件と合うか、一緒に働いていけそうかを見極める場です。面接官の問いに答えるだけではなく、自分からも質問してみると良いでしょう。
例えば、一日のスケジュールを尋ねると、仕事の進め方や情報共有の方法、残業に対する考え方などが読み取れます。また、配属予定の部署のメンバー構成(人数や平均年齢、異動や転職の経歴など)を聞くと、入社後自分に求められる役割や人間関係を想像することができます。
キャリアアドバイザー 谷所
ただし、職場環境や労働条件については「仕事内容ではなく職場環境ばかり気にしている」と思われないために、質問する順番に注意を。切り出す際に、「前職ではXXな環境下でもきちんとやってきた」という説明で前置きするのもコツです。
例えばサービス残業について知りたい時は、「前職では残業が比較的多く、効率を考えたうえで積極的に残業を行ってきましたが、御社ではいかがでしょうか?」と残業時間が多いかを確認します。そのうえで「前職ではサービス残業もありましたが、御社ではいかがでしょうか?」と質問をすることで、応募企業の実態を確認できるでしょう。
営業関係の職種など、ノルマや目標への取り組み方が気になる場合も同様です。「前職では、ノルマを達成するために個人とチームで常に努力をして、好成績を築いてきました。御社ではノルマについて、どのような体制でしょうか?」と現状を説明したうえで質問をしてみてください。
面接官の言葉や表情にも、入社後どのような雰囲気のなかで仕事をするか、どれだけ自分が必要とされているかを感じ取るヒントがあります。上から目線で入社させてやるという雰囲気であれば、伸び伸びと思うように仕事ができない環境かもしれません。逆に、やけになれなれしく次から次へと褒め言葉を使う場合も注意が必要。定着率が悪い、もしくは募集をしても応募者が集まりにくい企業の可能性があるからです。
上司から部下への接し方など社内のコミュニケーションが気になる場合は、自身が回答している時の面接官の様子もチェックしてみましょう。定番質問のみを投げかけ、興味がなさそうに回答を聞いている場合、注意が必要かもしれません。逆に、じっくり聞き、回答に対して更に質問をしてくる面接官であれば、社内でも傾聴する姿勢が根付いており、風通しの良い社風であると推察できます。
面接官が複数いる時は、面接官同士のやりとりも参考になります。部下と上司がいて、部下が上司ばかり気にしている場合、上下関係が厳しく、入社後も上司の顔色をうかがいながら仕事をしなくてはいけない可能性も。上司が部下に対して命令口調ではなく丁寧な言葉遣いで話しているならば、共に働く仲間として対等な関係が築けているのかもしれません。
【内定通知後】
キャリアアドバイザー 谷所
内定通知から入社承諾の間は、入社前に会社の実態を知る最後のチャンスです。内定通知と一緒に送られてくる「労働契約書(雇用契約書)」や「労働条件通知書」「就業規則」をすみずみまで読み、仕事内容・勤務時間・休日休暇・給与などをチェックしましょう。
不安なことや疑問点があったら、入社意欲を示したうえで採用担当者に質問してみてください。内定後も面接時と変わらず丁寧に答えてくれるようであれば問題ありませんが、反対に、面接時と異なり横柄な態度になる、内定通知が書面やメールだけ送られてきてそっけない対応になるようであれば、もう一度自分に合う社風かどうか考え直したほうが良いかもしれません。
また、内定後に配属予定部署の上司と面談させてほしいと要望してみるのも一つの方法です。もし面談が実現したら、実際にその人のもとで働き報告・連絡・相談することをイメージしながらコミュニケーションしてみてください。
【面接】退職理由はパワハラが原因と伝える? 伝えない?
転職活動では選考をいかに突破していくかというのも悩みどころです。困ったことの2位には面接に関する悩みがランクイン。「面接で退職理由を聞かれた時にどう答えればいいのかが分からない」と回答した人は37.1%でした。
具体的に聞いてみると「前向きな退職理由を答えたいが、パワハラのことが頭から離れずしどろもどろにならないか心配だった」「書類選考をパスしても、面接時に退職理由をそのまま話したら不採用になるのではないかという不安があった」とのこと。
「退職理由を聞かれた時にパワハラが原因であることを伝えたか」のアンケートでも、伝えた人、伝えなかった人がほぼ半々という結果になりました。
転職活動で退職理由を聞かれた時、パワハラが原因であることを伝えましたか?
実際、面接で退職理由を聞かれた時にはどのように答えればいいのでしょうか。
キャリアアドバイザー 谷所
結論を言うと、「前職ではできないことを応募企業で実現するため」など前向きな退職理由が説明できるならば、あえてパワハラを受けていたことを説明する必要はありません。
パワハラがきっかけで転職を検討せざるを得なくなったというつらい気持ちは理解できますが、面接は「応募企業が求めている人材である」と自身の魅力をアピールする場です。
面接官が知りたいのは、あなたがどんな職務経験やスキルを持った人なのか、入社したらどんな活躍をしてくれそうかということで、パワハラを受けていたことはあまり関係ありません。できれば志望動機とリンクする退職理由も考えてみる、あるいは退職理由に時間を割かずにやりたいことの説明に重点を置いてください。
【面接】退職理由でパワハラを伝える時の答え方
キャリアアドバイザー 谷所
短期間で辞めるケースや長期間勤めていたにもかかわらず上司が変わったことで職場環境が変化し辞めるなど、パワハラの事実を伝えないと「本音を隠しているのでは?」と不審に思われてしまいそうなケースなら、感情的にならないように注意して事実を簡潔に説明してもいいでしょう。ただし、応募者からの一方的な説明となってしまうため、面接官の理解を得られない可能性もあることは留意してください。
説明する場合、できれば上司から個人的にパワハラを受けていたというのではなく、「ほかの社員に対しても同様のパワハラが繰り返され、業務が円滑に遂行できない状況だった」と説明すると良いでしょう。個人的にパワハラを受けていたというと、本人の能力や仕事の姿勢に問題があるのではと受け取られてしまう可能性があります。
短期間で辞めた場合は、入社前に聞いていた状況と異なり今後勤務し続けても能力を発揮できないと感じていると説明して問題ありません。その場合も、ほかの社員も辞めていくようなパワハラであり、前向きに仕事がしたいと考え退職を決断したという説明が有効です。
長期間勤務している場合は、上司がパワハラをする人になり環境が変わったという説明に加えて、パワハラを受けたことで今後の仕事についてあらためて考えるきっかけになったなど、このことをきっかけに本気でやりたいこと、できることを考え退職を決断したと伝えると良いでしょう。
いずれの場合も円滑に仕事を遂行したい旨と気持ちを切り替えて前向きに仕事をしていく姿勢を伝えてください。
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退職手続きで困ったことは?
転職先が決まったら、退職手続きを進めることになります。実際に辞めた人はどんなことで困ったのでしょうか。
退職手続きで困った(不安だった)のはどんなことでしたか?
退職前に有給休暇を消化できない
27.6%
最終出社日まで人間関係の悪化など気まずい思いをする
27.6%
どのように退職理由を伝えればいいかが分からない
24.8%
どんな場で退職意向を伝えるべきか分からない
22.9%
退職手続きについて相談できる相手がいない
19.0%
引き止めにどう対処すればいいか分からない
16.2%
いつ退職意向を伝えればいいか分からない
15.2%
困った(不安だった)ことはなかった
14.3%
誰に退職意向を伝えればいいか分からない
10.5%
退職届の書き方が分からない
9.5%
業務の引き継ぎや退職あいさつのやり方が分からない
9.5%
退職手続きで困ったこと1位には「有給休暇を消化できない」がランクイン。基本的には有給休暇の消化は会社が拒否できないものですが、現実としては難しい職場も少なくないようです。円満退職しつつ有給休暇も消化したい時の調整のコツなどは、下記記事を参考にしてください。
また、同率1位の「最終出社日まで人間関係の悪化など気まずい思いをする」について、アンケート回答者に気まずさを乗り切るために工夫していたことを聞いてみたところ、下記のような回答が得られました。
- 上司から指摘される隙を作らないように、それまで以上に仕事を着実に遂行することを心掛けた
- 引き継ぎをメールや資料で行い、会話する時間を減らした
- アポイントの予定を多く入れるなど、会社にいる時間を少なくした
- 上司のスケジュールを見て、離席が多い日は出社し離席が少ない日は有給休暇を使った
- 気まずさはしょうがないとあきらめ、これからのことを考えるように心掛けた
辞めたいけど退職を申し出た後の職場での気まずさが心配という方は、これらを参考にしてみると良いかもしれません。
退職意向はいつ、どのような場で伝える?
退職手続きで困ったこと上位11項目のうち5項目が「退職意向の伝え方」に関するものでした。では、トラブルなく退職するために、退職意向はいつ、どのような場で伝えるべきなのでしょうか?
【伝えるタイミング】
キャリアアドバイザー 谷所
次の仕事が決まってから退職したい場合や在職中に転職活動を進めている場合は、原則として退職意向は内定をもらった後に伝えるべきです。なかには、辞めると伝えることでパワハラがより激しくなるケースも。できる限り内密に転職活動を行い、転職が確定した段階で退職意向を伝えて退職届を提出してください。
ただし、退職の意志が固い場合で、異動内示が近いなど会社に迷惑を掛けない時期を選択しようと思うならば、内示される前、もしくは内示されたタイミングで伝えるべきでしょう。人事異動時期が決まっているならば、人事異動前に伝えたほうが親切です。大型連休前は上司も仕事が忙しいことが多く、連休後にまた話そうなどと後回しにされてしまう可能性があり、避けたほうがいいかもしれません。
また、転職先への入社日が確定している場合は、早めに退職を申し出ないと間に合わない可能性もありますので、入社日から逆算して無理のないスケジューリングを心掛けましょう。
【退職意向を伝える時に準備しておくこと】
キャリアアドバイザー 谷所
退職届は本来、退職願を提出し退職の意向を伝えて、退職時期の調整をしたうえで提出したほうが丁寧です。また、不要なトラブルを避けるためにも、まずは会社の就業規則や慣習を確認し、沿うように提出するのがベストでしょう。
しかし、上司との関係が良くない、あるいは引き止めに合う可能性があるならば、何度も面談しても良い結果に繋がりませんので初めから退職届を出すという選択肢もあるでしょう。
退職日と最終出社日についても考えておく必要があります。まずは就業規則で自社の退職届提出期限日を確認しましょう。転職先への入社日との兼ね合い、有給休暇が残っているなら消化日程を含めて最終出社日をいつにしたいのかイメージしておくと、退職手続きや引き継ぎの相談も同時にできるのでスムーズです。もし就業規則に反して即日退職を認めてもらいたい場合は、会社に交渉しなくてはなりません。
パワハラ相手が上司でも退職意向は上司に伝えなきゃダメ?
原則として、初めに退職意向を伝えるべき相手は直属の上司です。しかし、今回のアンケートでもパワハラの相手は「上司」が63.8%、「経営者」が21.9%と退職意向を告げるべき相手からパワハラを受けているというケースが多く見られました。このような場合でも、上司に伝えなければいけないのでしょうか。
キャリアアドバイザー 谷所
円満に辞めたいならば、気まずくても直属の上司に伝えるべきです。ただし、少しでも関係悪化を避けるために、退職理由がパワハラであると伝えない方法もあります(退職理由について詳しくは次章参照)。
あってはならないことですが、辞めさせたいためにパワハラをしているケースもありますので、そういった場合には事務的に退職届を提出して、退職日までの期間は上司と接点を少なく過ごせる方法を考えてください。
精神的に追い詰められて出社ができない、どうしても上司と顔を合わせたくない、あるいは退職の話を取り合ってもらえないという状況もあると思います。そのような場合でも「メールで送る」「机の上に退職届を置いておく」というのは、後日受理していないと言われる可能性があるためおすすめできません。
「退職届を出さずに辞める」「退職届を郵送して就業規則に反して即日辞める」というのも職務放棄と見なされトラブルになりかねません。
どうしても上司に言えない時は、更に上の上司や信頼できる別の上司、コンプライアンス関連の部署や人事部などに相談をしてみてはいかがでしょうか。パワハラを受けていた事実を説明したうえで、直属の上司に提出できない理由を伝えてください。
ただし、やむを得ない状況とはいえ、直属の上司を飛び越えて伝えてしまうことで心証を悪くする可能性がありますので、その点は留意してください。もし社内にコンプライアンス関連部署がない、あるいは人事部に相談できない事情があるという場合は、労働基準監督署や費用はかかってしまいますが弁護士に相談するという方法もあります。
本音の退職理由は「パワハラ」。そのまま伝える?
もし上司からパワハラを受けている場合、退職理由はどのように伝えれば良いのでしょうか。
キャリアアドバイザー 谷所
パワハラ相手の処分や謝罪、慰謝料などを求めたい場合は事実を伝えるべきですが、そうでなければ本音を伝えず、当たり障りのない退職理由を検討したほうが無難です。退職届提出後の行動と関連して考えると、大きく分けて2つの選択肢があります。
1)本音の退職理由を言わずに自己都合で退職
2)パワハラを退職理由に自己都合で退職
1)本音の退職理由を言わずに自己都合で退職
キャリアアドバイザー 谷所
退職の原因がパワハラと上司に伝えることで人間関係が更に悪化し、退職日までの間過ごしにくくなるかもしれません。また、会社が上司からあなたへの振る舞いが指導の範囲内かパワハラに当たるかを正しく判断するのは、難しいのが現状です。
円満に退職したいならばあえてパワハラが原因であることは伏せておき、「やりたいことを実現したい」「資格取得の勉強に専念したい」「健康上の理由で」など当たり障りのない退職理由を伝えたほうがいいでしょう。その際は偽りでも構いませんので、上司がいたから成長できた、お世話になったのに心苦しいのですが、など感謝や気遣いの言葉を述べると、険悪になりにくいようです。
2)パワハラを退職理由に自己都合で退職
キャリアアドバイザー 谷所
パワハラを理由に退職したい場合は、即日辞めさせてもらう要因にしたい、上司に処分を求めたいなど、会社側にどうしてほしいのか考えて行うべきです。逆にそこまで要求がないのであれば、無難な退職理由を検討したほうがスムーズかもしれません。
この場合は上司に伝えても感情的なやりとりになる可能性があるので、人事部などに退職意向を直接伝えることをおすすめします。その際はパワハラを受けている言動を録音しておく、時系列で詳細な事実を書き留めておくなど、パワハラが事実であること示す材料を準備したうえで相談すべきでしょう。ただし、就業規則に基づき退職する場合、退職日まで上司と顔を合わせることを避けられない可能性があります。
引き止めに遭うなど、退職を認めてもらえなかったら?
キャリアアドバイザー 谷所
退職意向を伝えた結果、「人手が足りないから新たな人材を採用するまで待ってほしい」と言われたとしても、引き止められても辞める気持ちが変わらないことを一貫して言葉で伝えてください。
万が一、引き止めが続いたとしても、辞められないことはありません。人員の補充は会社側の問題で、きちんと退職手続きや引き継ぎを行っていれば、それ以上の責任を負う必要はないからです。
また、もし同業他社への転職を制限するようなことを言われたとしても、就業規則に含まれているなど契約書を交わしていなければ問題ありません。
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キャリアアドバイザーからのメッセージ
キャリアアドバイザー 谷所
パワハラに遭うのは本当につらいことだと思います。現状パワハラを受けているならば、信頼できる同僚や先輩などに相談をして、一人で悩まないようにしてください。相談した結果、もし転職を反対されたとしても、仕事をするのはあなた自身ですので自分の気持ちを大切にしましょう。パワハラにおびえながら仕事をする必要などまったくありません。
転職活動中はパワハラ相手への怒りなどネガティブな気持ちに引きずられないように注意を。暗い気持ちのままでは応募企業へも良いアピールができません。職場環境の悩みから解放されて生き生きと仕事をする自分の姿をイメージして、思う存分ご自身の職務経験・強み・スキルをアピールしてください。
転職が成功すれば、良い仕事に出合うきっかけになったと受け取ることもできます。新たな環境で力を発揮するためと気持ちを切り替え、自分を信じて転職を好機にしましょう!
監修者
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
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有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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