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vol.160 劇作家/演出家 倉持裕 何もしない貧乏より何かに挑む貧乏を選ぶ


多くの俳優たちがこの人の作品への出演を望んでいる。
人気の劇作家・演出家であり映像の脚本も手掛ける倉持裕さんがその人。
クールなまなざしで、いかにも冷静沈着、物事に動じないような雰囲気なのだが
発せられる演劇に関する言葉には力があり、熱がある。
そんな倉持さんの仕事観、演劇への思いを伺った。

演劇のみならずテレビ・ラジオ番組の脚本なども手掛け、活躍目覚ましい劇作家で演出家。すでに2017年の新作舞台も4本決まっているという人気ぶりだ。その第一弾「お勢登場」が2月に上演される。江戸川乱歩の短編8作を一つの新たな戯曲に編み上げたもので、その複雑さが乱歩の迷宮めいた世界をより強調させるような作品に仕上がっている。

「複数の話が混じり合うことで、僕自身も予測できなかった面白さが生まれました。ラストに向かうにつれ、複雑怪奇なパズルがピタッとハマっていく快感を味わってもらえると思います。お勢を演じる黒木華さんの悪女ぶりにも、ぜひ期待してください」

倉持さんが演劇に興味を持ったのは高校時代。深夜、テレビで見たイッセー尾形さんの一人芝居がきっかけだった。「舞台の収録番組で、本当にかっこ良かった。テレビのバラエティーとはジャンルの違う笑いがありました」

あんな舞台をやってみたい。そう思い大学で演劇部へ入るが、歌や踊りが中心で、やりたい演劇とはタイプが違うと感じた。そんな矢先、東京・下北沢の本多劇場で岩松了さん作・演出の「竹中直人の会」を見る。

「ああ、これだ! と人生2度目のショックを受けました。とにかく岩松さんに近づきたいと思い、役者オーディションを受けて作品に出演させていただき、その後は自分の脚本を読んでもらったり、自作の舞台を見に来てもらったりしました。事細かに感想やダメ出しをしてくれるのが勉強になって、数年このやり取りをさせていただきましたね」

実は倉持さんは経済学部出身。大学へ入るまでは会社員になろうと思っていたが、次第に演劇の魅力にハマっていき、就職活動もしなかったという。「いろいろ褒めてもらえたことが自信になっていたので、迷いはなかった」

ただ大学卒業後の約5年間は、相当くすぶっていたそうだ。同世代の劇作家が世に出始めたのに、自分は生活のためにアルバイトを辞められず、演劇に専念できない。焦りと劣等感が募った。「何とか一発逆転できないかと思い、テレビのシナリオ大賞などに幾つも応募しましたが、全然ダメでした」

そんなことに時間を費やすより、自作を発表する場を作った方が世に出るチャンスは広がる。そう考えて、劇団ペンギンプルペイルパイルズを立ち上げた。「劇団をやると貧乏になる。でも、うだつの上がらないまま貧乏でいるより、何かに挑む貧乏の方がいいなと思って決断しました」


PROFILE

くらもち・ゆたか 1972年神奈川県生まれ。学習院大学卒業。劇団ペンギンプルペイルパイルズ主宰。2004年に岸田國士戯曲賞受賞。NHK「LIFE!~人生に捧げるコント~」ではコント執筆。17年2月10日(金)から東京・シアタートラムにて舞台「お勢登場」上演予定。


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5月9日(金)更新

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