地元企業に転職する魅力とは?
地元で転職? 地元へ転職?
U・I・Jターンも含めた地元&地元転職のメリット
出典:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」(2014年12月、(株)野村総合研究所)
不便さがあっても、やっぱり地元で働きたい! そう考える人も少なくないはずです。
地元での転職、またはU・I・Jターン転職を希望する人たちは、どんなメリットを感じているのでしょうか?
U・I・Jターンを伴う転職のメリットを聞いた調査の結果、上位回答はいずれもQOL(クオリティーオブライフ)の充実に関するものでした。終身雇用がすでに過去のものとなり、仕事に対する価値観が多様化してきたことがこの結果からも伺えますね。
トップ3の回答をもう少し詳しく分析してみましょう。
地元で働くメリット(トップ3)
その1 住環境が良い
※人口密度は「平成27年国勢調査」による
まず何よりも人口密度の違いが住環境やライフスタイルにゆとりを持たせてくれるでしょう。
例えば、人口密度全国1位の東京は、1平方キロメートルあたり6,168人、つまり100m四方の中に60人以上がいる計算になります。
東京のデータを更に見ていくと、人口密度1位の豊島区は1平方キロメートルあたり2万2,372人となっており、数値上は東京都平均の3倍以上という超過密都市が形成されています。
一方、都心から電車で30~40分ほど西へ行った国立市や小平市では、人口密度は国立市が8,990人、小平市は9,275人と、1万人を下回る結果に。住宅の広さや庭を重視するなら、都心にこだわらず近郊・郊外エリアにも目を向けてみましょう。
東京以外の人口密度を見てみると、2位の大阪府でも100m四方の中に46人、3位の神奈川県でも37人となっており、東京の都心がいかに過密状態にあるかが伺えます。
東京都心の便利さは魅力ですが、やや離れれば比較的広い居住スペースが確保でき、地価も下がるため庭付きの戸建て住宅購入も夢ではないかも!? また、休日のお出掛けも大混雑ということはなく、ゆったりとした環境の中で子育てができるのはパパとママにもうれしいポイントではないでしょうか。
その2 親と近い距離で生活できる
※国土交通省 平成18年発表「既婚者とその親との住まい方 -「近居」を中心とした実態と将来意向-」による
ライフステージの中で大きな課題になる可能性の一つとして、親の介護が挙げられます。日常的な介護が必要でなくとも、何かあった時に駆け付けられる距離、いわゆる近居のほうが離れて暮らすよりも安心ですよね。
国土交通省が親との同居・近居について行った調査では、「車・電車で1時間以上」の距離に住む人の半数以上が同居も含めて現状よりも近くに住みたいと考えており、特に「徒歩10分以内」から「車・電車で1時間以内」の「近居」を希望していることが分かります。
「近居」を希望する理由を見てみると、「気軽に顔を見に行ったり、話し相手になったりできるから」が29.9%、「緊急の事態が心配だから」が27.8%と、今は健康に過ごしていても、いつ何が起こるか分からない…… という心配が、地元で暮らすきっかけになることも多いようです。
自分の親と近い場所に居られることは精神的な安定をもたらしてくれますし、同居が可能なら生活コストも抑えることができます。自分や家族にとってベストな距離感をよく話し合って決めましょう。
その3 通勤時間が短い
※総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」による
毎日の積み重ねだからこそ避けて通れない「通勤時間」の問題。
例えば、首都圏では1時間を超える通勤時間や身動きが取れないほどの通勤ラッシュも当たり前ですが、平成25年度の統計によれば、全国の通勤時間平均は「26.3分」。対して東京を中心とした大都市圏では「44.9分」と、1カ月に20日間出勤するとして、約12.4時間もの差になります。
通勤時間の短縮や通勤ラッシュを避ける方法として、電車以外での通勤手段を検討してみてもよいかもしれません。
例えば、最近ではエコ、健康志向を反映して、自転車通勤を始める人が増えていると聞きます。この流れを受けて自治体や企業が自転車通勤を奨励するケースも見受けられるようになりました。
しかし、自転車通勤中の事故などのリスクも伴うため、労災や通勤費の扱いはどのようなルールになっているのかを勤務先の会社にしっかり確認することが大切です。
毎朝、会社にたどり着くまでにヘトヘト…… という通勤ラッシュから解放されれば無用なストレスが減り、仕事の能率も上がりますよね。また、通勤時間を短縮し、自由になった時間で趣味を楽しんだり家族と一緒に過ごせたら、ずっとすてきな時間の使い方だと思いませんか?
家族や自分の時間を大切にし、より地に足のついた暮らしをしたいと考えた時に、まず住み慣れた地元が真っ先に候補に挙がるのは当然のことかもしれません。こうした意識の変化を受けて、U・I・Jターン転職を歓迎する求人も多くあります。
地元転職&U・I・Jターン転職に魅力を感じていたけれどまだ踏み出せていなかった人は、本格的に動き出すには好機かもしれません。転職を考える時が、ご自身のライフプランを見直すチャンスです。じっくり考えて、ぜひあなたがかなえたいキャリアを切り開いてください。
どこが違う? 地方と都市部の生活比較
※平均家賃は総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」による
※水道光熱費は総務省「家計調査(平成25年)」による
※物価指数は総務省統計局「平成25年(2013年)平均消費者物価地域差指数の概況」による
分かりやすい例えとして、東京都と福岡県を比較してみましょう。生活コストの差は一目瞭然。特に地価を反映してか家賃は、東京が福岡の約1.7倍という結果に。
その1 生活コストは、都市部に比べて地方が安い
生活コストの最たるものは、やはり家賃。例えば東京都と福岡県を比較すると、同じ広さの部屋を借りるのにかかる費用は、東京都では7~8万円、福岡県では4~5万円となります。
ちなみに、東京都の賃料相場はダントツの全国1位。生活に必要な水道光熱費も都市部のほうが割高となっているのが分かります。
その2 自然を満喫でき、余暇も充実の地方都市
地方都市はおおむね、東京都心に代表される人口過密エリアに比べると自然が身近で、週末はアウトドアやキャンプ、バーベキューなどを気軽に楽しむことができます。街に出かけるにしても「列に並んだだけで1日が終わってしまった」ということも少なく、比較的休日の時間を有意義に過ごすことができるでしょう。
土地が安いので庭付きマイホームも比較的手に入りやすく、家庭菜園やガーデニングなど、新たな趣味を見つける人も少なくありません。
東京都でも、世田谷区の砧公園や武蔵野市の井の頭公園など、大規模な公園施設があったり自然豊かな環境と利便性を兼ね備えたエリアは子育て世代や庭付きの戸建住宅を求める人たちに人気があります。
例えば、府中市は駅を中心に大型商業施設や商店街が充実しているだけでなく、大通り沿いのケヤキ並木や近接する多摩川など自然を身近に感じることができます。自分のライフプランに合わせて居住エリアを選ぶことが、仕事と生活を更に充実させる基盤になると言えます。
その3 物価は、都市部に比べて地方が安い
※物価指数は総務省統計局「平成25年(2013年)平均消費者物価地域差指数の概況」による
全国51都市の平均物価地域差指数(平均=100)を見ると、最も高いのが横浜市の106.0、次いで東京都市郡が105.9、さいたま市が103.3、と都心近郊の物価は平均より高いことが明白に。
最も低いのは宮崎市の97.1、次いで秋田市が97.3、奈良市が97.4。最も物価が高い横浜市は、宮崎市に比べて約10%も物価が高いことが分かります。
平均年収だけを比較すれば「大都市は高く地方都市は低い」というイメージがあるかもしれませんが、実際は生活コストに大きな開きがあるため、生活水準という意味ではさほど違いがないのが実情ではないでしょうか。数字に現れない「住環境の良さ」「開放感」「ストレスフリー」といった面を考慮すれば、地方での暮らしがむしろ「豊か」と言えるかもしれません。
しかし、大都市には大都市ならではの便利さ・快適さもあり、どちらを重視するかはその人のライフステージや価値観によって変わるものです。都市圏と地方の生活のメリット・デメリットをよく理解したうえで、転職や移住のタイミングを判断するようにしましょう。
マイナビ転職 編集部