実際の面接体験談をもとに、過去1万人以上を面接した人事のプロ『ヤドケン(谷所 健一郎氏)』が回答内容を評価。「自分なら質問にどう答えるだろう?」と面接を受けているつもりで読みながら、回答のコツを盗み取ってください。
面接でのやりとりを知ることで、緊張や不安が和らぐだけでなく、面接本番で使える回答のバリエーションも増やすことができますよ。
Episode.09 総務・人事(事務系職種へのキャリアチェンジ)
かっぱ~ずさん(30歳・男性)
希望職種:総務・人事・労務
経験職種:経理、販売
応募企業:製造業。全国主要都市に支社あり
主な職歴:アパレル販売、経理
概要:「地域社会と共に企業・社員が発展していく」という企業理念と、人と人とのつながりを大切にする環境作りに取り組んでいる点に共感したことをアピールしました。
Check! 事務系職種へのキャリアチェンジを希望する場合
総務や人事などの専門性がある事務系職種では、一般的には、欠員もしくは増員などの理由で、即戦力を募集することが多い。未経験の応募者を受け付けている場合も、「本当に総務や人事が務まるのか」を過去の経験から探るための質問が多いということを理解しておこう。
これまでの経験の中から、共通する業務や、職務内容が異なっても応募職種にとって魅力的だと思われる適性を見つけて、アピールすることが大切だ。
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面接レポート
面接官 「総務・人事の経験はないようですが、総務・人事を希望する理由は何ですか?」
私 「労務全般を実務処理を通じて、自分の知識として吸収したいからです。」
「知識として吸収したら別のことをまた吸収したいと考えるのでは」と、懸念する面接官もいるよ。また、「実務を通じて教えてほしい、学びたい」という姿勢で語っては、マイナス印象を与えかねないね。経験はなくても、「経理と販売を経験したことで、後方部門として働きやすい環境を構築したいと思うようになった」など、前職との関連性を持たせたうえで、キャリアビジョンと結び付けてみよう。
【回答例】…… 実務面での経験はありませんが、新人教育や帳票類の作成など同様の業務に携わってきました。経理と販売を経験したことで、後方部門として現場が働きやすい環境作りや社員教育を通じて貢献したいと考え、希望しました。
面接官 「総務と人事は、異なる業務ですが、一つに絞るとしたらどちらを希望しますか? また、その理由は何ですか?」
私 「総務です。できることなら、労務管理だけではなく会社全般の事務処理を勉強できたらと思っているからです。また、社員の方々が、より良い仕事ができるような環境作りをしながら、お手伝いをしていきたいと考えております。」
面接官 「総務または人事は、会社にとってどのような位置付けの業務だと考えますか?」
私 「心臓部だと考えています。」
“なぜ心臓部なのか”という説明をしよう。会社の中枢ではなく、「縁の下の力持ち的な存在だ」という説明もできるし、「企業の財産となる優秀な人材を採用し、社員のモチベーションを高めていく部署だ」ということも言えるね。
*ワンセンテンスで終わらせるのではなく、アピールにつながる説明を加えよう
面接官 「なぜ、当社を志望していただいたのですか?」
私 「地域とのつながりを大切にし、企業だけではなく地域社会・社員と共に成長していくという企業方針に引かれたからです。」
企業理念に共感したことだけでなく、今までのキャリアを生かして新たな分野で貢献し、同時に将来のキャリアビジョンを実現できる企業だということを、具体的にアピールしよう。志望動機は、応募企業が気に入ったからという理由だけでは、インパクトが弱いよ。
*志望動機にキャリアビジョンを結びつけて説明しよう
【回答例】…… 地域とのつながりを大切にし、企業だけではなく地域社会・社員と共に成長していくという企業方針に引かれたことが第一の理由です。この企業理念の下で経理と販売業務の経験を生かし、現場を理解できる総務職として貢献したいと考え、志望させていただきました。
面接官 「これまで、経理と販売の経験をされているようですが、具体的にはどのような業務をしていましたか? できるだけ詳しく説明してください。」
私 「経理では、売上・売掛金の伝票入力をし、全店所ごとに数字を集計し管理をしていました。販売では、服飾関連の販売、イベント企画、売上・在庫管理、売れ筋商材の確保、新人教育などを担当しています。」
新人教育、在庫管理、イベント企画は、総務職との関連性を打ち出せないかな? 面接官は、総務、人事としての強みを探っているわけだから、「特に新人教育では、~ 」と強調しよう。
面接官 「これまでの業務経験の中で、あなたが上げた最大の実績は何ですか?」
私 「現在の販売で、お得意さまができたことですね。」
面接官 「あなたの実績は、会社にどのような影響・メリットを与えましたか?」
私 「そのお得意さまには、必ず半期ごとにおまとめ買いをしていただけるようになりました。」
販売職への応募であれば問題ないけど、総務、人事であれば、新人教育などの説明のほうが良かったと思う。この回答だと、実績を生かして営業や販売に転職したほうがいいと思われるかもしれないね。
【回答例】…… 新入スタッフが入社した際に行う新人研修を立ち上げました。それまでは新人へのクレームも多かったのですが、マニュアルを作成し教育を行うことで、クレームを減少させることができました。また、研修が社員の交流の場としても機能し、スタッフ同士の連携が良くなり、結果売り上げもアップしました。
面接官 「あなたがスキル習得のために努力していることは何ですか?」
私 「今の仕事では、先輩のアプローチからお買い上げに至るまでの接客を見て学び取ることと、服飾専門書を読み、知識を少しでも多く増やすよう、心掛けています。また、労務についても、休日や通勤時間を使って専門書を読み、勉強しています。」
総務、人事に関連するスキルアップのための取り組みに絞り込んだほうがいいね。服飾関係の企業であれば納得できるけど、今回のように関連性のない企業の場合、何がやりたいのか疑問に思われてしまうよ。
面接官 「支社や支店への転勤の可能性がありますが、問題ありませんか?」
私 「できることならば、転勤がないほうがいいのですが、業務上必要な場合は構いません。」
転勤が可能ならば、あえて転勤がないほうがいいという答え方はしないほうがいいね。できないことをできると言って入社しても、後々トラブルになるから、できないのであれば、理由を明確に説明し、できると答える場合は、「問題ありません」と意思表示をしよう。
面接官 「あなたのアピールポイントは何ですか?」
私 「最後まで、こつこつと仕事をやり遂げることです。」
仕事につながる具体的なアピールをしよう。総務や人事であれば、人のために貢献したいということを、こつこつと仕事をやり遂げることに結び付けられないかな? アピールポイントは、面接官が採用したいと考えるか否かの勝負どころだから、強気で売り込もう。
【回答例】…… 経理業務では、現場で必要と思われる資料は、困難なものであっても作り上げてきました。 販売では、新人教育を通じて、形だけの教育ではなくできるまで我慢強く教え、育ててきました。正しいと思うことは、地道にこつこつと仕事をやり遂げて、達成させることができます。
面接官 「では、あなたの欠点はどんなところですか?」
私 「要領があまり良くはありません。」
欠点を話す時は、どのように克服しているのかを説明しよう。
【回答例】…… 要領があまり良くない点です。きちんと納得のいく仕事がしたいと考え、集中しすぎてしまう傾向がありますので、常に全体の流れを把握し、優先順位をつけて仕事をするようにしています。
面接官 「あなたが希望する給与など、待遇条件がありましたらおっしゃってください。」
私 「地元での勤務を希望します。給料は、もしいただけるのならば、20万円以上がいいのですが。」
前の質問で転勤が可能だと答えているのに、ここで地元勤務を希望することは、矛盾しないかな? 「できる限り地元を希望します」というように答えるか、前問でも「転勤は難しい」と答えないと、面接官は納得しないと思うよ。勤務地だけでなく、職務経歴書に記載されていることや、面接で答えた内容に食い違いがあると、面接官は不信感を抱くから注意しよう。
面接官 「最後に自己PRをしてください。」
私 「私は、今回の職種の経験はありませんが、仕事をこつこつと最後までやり遂げる責任感は、人一倍あります。ぜひ、御社で労務の知識を身に付け自分自身のスキルアップをしたいと考えております。また、社員の方々が、より仕事がやりやすいような環境作りやお手伝いをしていきたいと思っています。」
仕事がやりやすい環境作りと自分自身のスキルアップでは、話す順番が逆だね。企業は、第一にどのように貢献できる人材かを見極めているわけだから、自身のスキルアップの前に、貢献できることを説明しよう。会社は学校ではないから、労務の知識を身に付けスキルアップするという言い方も、自分本位に取られないように注意したほうがいいね。
【回答例】…… 仕事をこつこつと最後までやり遂げる責任感は、人一倍あります。前職の経験と、労務の知識を生かして社員の方々が、より仕事がやりやすいような環境作りに貢献し、自身も現状に満足せず、更なるスキルアップをしていきたいと考えています。
Check! 事務系職種へのキャリアチェンジを成功させる方法
【方法1】 経験がなくても、資格でアピールする
「経験がなくても勉強したから大丈夫です」という言葉では、採用担当者を説得することは難しい。しかし、関連資格を取得していることは、知識や能力をアピールできる強い武器になる。総務や人事などの事務系職種には、経験者も数多く応募するから、彼らに打ち勝つ知識やスキルを立証しなければならないんだ。資格を取得していることは、たとえ業務経験がなくても、業務遂行に問題がない、とアピールする材料になるよ。今まで携わってきた業務に関しても、周辺業務として生かせることを付け加えれば、面接官にプラスアルファの期待を与えることも可能なんだ。
【方法2】 学んだことや関連業務をアピールする
直接の業務経験はなくても、学生時代や独学で得た知識や、関連する業務経験を売りにして、新しい分野でもスペシャリストとして活躍できる能力を持っていることをアピールしよう。例えば、マーケティング中心のコンサルティング会社の総務職に応募する場合、マーケティング業務には直接かかわりがなくても、その理論を学んだことがあれば、ほかの応募者と差別化できることもあるんだ。経理に携わっていれば、源泉徴収や課税、非課税の知識や経験もあるはずだね。このことを発展させて、社会保険や所得税関連の業務にも支障がないことをアピールしよう。不足する知識や技能は、現在習得中だという前向きな姿勢を示すことを忘れずにね。
【方法3】 雇用形態などに捉われず、経験を構築する
未経験だけどスペシャリストとして長期で安定した勤務がしたいということを優先すると、応募できる企業も狭まり、うまくいかないケースが多いんだ。前職の企業名や規模ではなく、何ができる人材かということが、転職では重視される。そのため、実績を作ることが大切だよ。企業規模、雇用形態、収入に捉われず、まずは事務系職種を経験できる職場へ転職し、経験者として2、3年後の転職を視野に入れて転職する方法もあるんだ。
<事務系職種へキャリアチェンジするためのチェックポイント>
- 事務系職種の業務を行ううえで生かせる、強みになることをアピールできているか?
- 今までのキャリアやスキルの中から、求められる能力と共通する部分をアピールできているか?
- キャリアチェンジするために不足する知識を習得する努力を行っているか?
- キャリアチェンジしたい理由を明快に説明できるか?
- 将来のキャリア目標を語ることができるか?
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面接を終えた感想
いつも自分で感じているのですが、面接官の質問に対して、的を得た答えができているのかが分からなくなります。
総務、人事にどうしても就きたいという熱意を感じない。
まず何をやりたいのか、そしてなぜやりたいのかということを明確にし、やりたいことを実現するためには応募企業しかないという信念を持つことが大切なんだ。信念がしっかりしていれば、具体的に応募企業で貢献できることも鮮明になり、その気持ちが採用担当者に伝わるはずだよ。
総務、人事の職に就きたいという気持ちは理解できるけど、この面接の回答では、熱意が強く伝わってこないね。未経験だからといって、控えめになることはないよ。前職の経験や適性から、求める人材とマッチングしていることをアピールしよう。未経験であっても応募職種に関連性を持たせた内容を示せるはずだよ。
応募や面接の前には、応募企業がどのような人材を求めているのかを考え、次に前職の経験から求めている人材に強みとして売り込めるキャリアがないか、箇条書きで書き出してみよう。
全体的な傾向として経験のない業務に就きたい理由が、かっぱ~ずさん自身の問題であり、採用する企業側へのメリットが伝わってこない。応募者個人の問題は、企業にとってはそれほど重要ではないんだ。かっぱ~ずさんを採用することのメリットを、企業側の視点で考えてみると、良く分かると思うよ。質問も同様に、何を意図して質問しているのかということを分析することで、答えが見えてくるんだ。

有限会社キャリアドメイン代表取締役
谷所 健一郎(ヤドケン)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメントアドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職道場、キャリアドメインマリッジ、ジャパンヨガアカデミー相模大野を経営。主な著書「はじめての転職 必ず成功する転職」(マイナビ)ほか多数。
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