ダイヤモンド・オンラインの記者が斬る! 最近のおシゴト事情
実はゆっくり休む大チャンス! 8割が取得する「転職休暇」の実態
掲載日:2016.2.24

「1ヵ月くらい仕事、休みたいな~」
そう思ったとしても、一度社会に出てしまえば、長期の休みなどなかなか取れないのが社会人の常。しかし、社会人でも1ヵ月近く休むチャンスを得られるタイミングがあることをご存じでしょうか。それが前職の会社から転職先で働き始めるまでの期間に休みを取る「転職休暇」です。
ダイヤモンド・オンラインでは、アンケート調査会社・ジーリサーチの協力のもと、『「転職休暇」に関するアンケート』を実施(期間は2016年1月7日)。全国の20~40代の会社員、計200名の声を聞いてみると、転職休暇を楽しんでいる人とそうでない人の二極化が起きていることがわかりました。
転職休暇は「0日」「1ヵ月超」で二極化!? 「ダラダラ過ごした」が約半数に
アンケートではまず、「転職経験の有無」を尋ねました。すると、65%が「転職経験あり」と回答。その方たちを対象に「転職休暇はどれくらい取れたか(有給休暇の消化を含む)」を聞いたところ、なんと「0日」と答えた人が20.5%の一方で、「1ヵ月以上」という人がこの回答で最も多い29.5%に上ることがわかりました。合計すると、8割の人々が日数の多い少ないにかかわらず、「転職休暇」を取っていることがわかります。

では、休みを取れた人たちはどのように転職休暇を過ごしていたのでしょうか。転職休暇を取れた人を対象に「転職休暇中にしていたこと」を尋ねたところ、 最も多かったのはなんと「特に何もしていない・ダラダラしていた」という答えで、46%にも上る結果に。しかし残りの約半数は充実した日々を過ごしたよう で、「国内旅行」(14%)、「海外旅行」(9%)、「里帰り」(7%)といった旅行を楽しむ人が3割、「勉強・留学」に勤しむ人も13%いることがわか りました。「ゲーム三昧」の日々を過ごした人もいたようです。

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日本人は勤勉すぎ? 転職休暇に「不安」「焦る」人も
転職休暇を楽しんだ人は、こう振り返ります。
「なかなか実現できない海外旅行や国内旅行などができ、リフレッシュできて新しい気持ちになれて、とても良かった」(36歳女性・徳島県)
「仕事をしていると平日に出かけるということができなかったので、ランチやネイルなど普段できなかったことをしました。たまにはこういう息抜きをして気持ちを切り替えてから新しい職につく大切さも感じました」(29歳女性・大阪府)
とはいえ勤勉な日本人ゆえか、休みが取れたにもかかわらず、「不安になる」「暇に耐えられない」という声も多数寄せられました。
「長い間働いていたので、何の予定もない日が嬉しくて、毎日無駄に過ごすことが贅沢に思えて幸せでしたが、すぐに飽きて働きだしました」(35歳女性・東京都)
「最初は休みなので色々考えてはいたが、あまり行動にうつせず後半は暇になってしまい早く働きたかった」(38歳男性・東京都)
「世間から取り残された気分でした」(46歳女性・大阪府)
始めは長期の休みが嬉しかったにもかかわらず、仕事をしない毎日に飽きて、焦ってしまった人も少なくないようです。
市場規模はなんと1290億円!? 「転職旅行」はメリットばかり
一方で、転職休暇が取れなかった人からはこんな嘆きが寄せられました。
「引っ越し、転居、転職の手続きもあってどこもいけなかった。現職の会社が早く出勤してほしいと催促してたため、前職の有給を14日間諦めたんです。ルール上買取できないと言って。鬼でした」(30歳女性・東京都)
前職の企業からは「ぎりぎりまで引き継ぎを」、転職先の企業からは「早く来て」と言われて板挟みになり、有給休暇を使い切れなかったという人はこの方に限らないことでしょう。しかし、そんな苦い経験を活かして、上手に休みを取れた人もいました。
「転職は2度目だったので1度目に有休消化できなかった経験からフルで有休消化をできるよう、スムースな引き継ぎに努めた結果、羽を伸ばせた。既婚者なのでできなかったが、単身であれば短期留学がしてみたかった」(31歳男性・大阪府)
最初の転職だと、「転職までの期間に休みがないのは当たり前なのかな?」と思ってしまいがちですが、一度経験して振り返ってみると「次こそはうまく交渉して休みを取ろう」「引き継ぎを前倒ししてやろう」と要領も掴めるのでしょう。
こうした自分たちの転職時の経験を活かして、転職休暇中の旅行を支援するサイト『転職旅行』を作ったのが、旅行サイトを運営するトリップアドバイザー。同社は全員が転職組であり、実際に転職休暇中に「ハワイに10日間」「スペインに2週間」などという転職旅行の経験者ばかり。同社の東真菜さんは、「転職旅行」のメリットをこう語ります。
「いくつもメリットはありますが、最も大きいのはもし転職休暇が閑散期にあたれば、リーズナブルに混雑を避けて旅行ができることです。また、社会人は学生時代と違って比較的お金もあるので、時間もお金もあまり気にする必要がありません。さらに、普通の休暇であれば仕事が頭をよぎりますが、仕事関係は一旦整理できているので、のびのび楽しむことができるのです」
こんな背景もあり、同社は転職旅行の市場規模を1290億円と試算。これはバレンタインデー関連市場1300億円にも匹敵する規模のようです。
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転職休暇は「気を遣う」84% だから周囲は休みに気づかない
これほどに市場が拡大しているにもかかわらず、なかなか「転職休暇中に海外旅行してきたんだよ」という話を聞く機会はそうそうありません。なぜ身の回りでは、転職休暇や転職旅行の盛り上がりを実感することができないのでしょうか。
その理由を示すデータが、トリップアドバイザーが2014年に行った『転職旅行アンケート』の中にありました。同アンケートの中で、「転職旅行で気を遣った?」という質問を実施。「YES」と回答した人が84%にも上ることがわかりました。気を遣ったこととしては、「休暇を調整した」(39%)、「行動を慎んだ」(29%)が挙げられ、前職の同僚や新しい職場の人たちに「自分たちが働いている間に遊んでいたのか」と思われると、気分を害してしまうという懸念が垣間見られます。

そうは言ってもできれば休みたいのは誰しも一緒。冒頭のダイヤモンド・オンラインが実施したアンケートで「理想の転職休暇の期間」を尋ねたところ、1位は「1ヵ月以上」(27%)、2位が「3週間~1ヵ月未満」(21%)、3位が1週間~2週間(20%)となりました。あまり長すぎるのも「暇を持て余してイヤ」なのかもしれませんが、大人の数少ない長期休暇のチャンスは大事にしたいものです。
(ダイヤモンド・オンライン編集部 林 恭子)
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