
社会人が意外と見落としがちな基本的ミス
自分では気づきにくい転職活動での基本的なミス
「自分はできているはずだ」。その自負が思わぬ失敗を招く
社会経験のある人の採用基準は、新卒学生よりもはるかに高いものです。ですから基本的なことができていない社会人の評価は、著しく下がることになります。実は転職者が不採用になる原因には、このような「基本的なミス」が多いのです。
社会人経験を重ねるうちに意識が甘くなりがちなのが、靴、スーツ、髪などの身だしなみです。「普段のビジネスシーンで通用しているからOK」ではなく、対応する相手を尊重していることが服装から伝わるような、TPOを考慮した服装を心がけることが大切です。また、一流のスポーツ選手やシェフが仕事の道具にこだわりを持ち大切に扱うように、あなたもビジネスで使用するペンや手帳、ノート、バッグ、時計などのツールに気を配っているでしょうか。転職活動用のノートを用意して、志望企業の資本金や売上高、主力商品、社長の氏名、株価などの基礎的情報はきっちり押さえていても、適当なノートに乱雑にメモしているようでは心証を損ないかねません。
例えば、あるベテラン採用担当者の面接手法では、「今後の採用試験のスケジュール調整をしますので、手帳を出して頂けますか」と言うそうです。主目的は自己管理能力がある人かどうかの確認で、応募者の手帳の書き方を目ざとくチェックします。手帳の形態は気にしませんが、綿密かつ合理的なスケジュール管理をしていて有能なビジネスパーソンの適性を大いに感じる人もいる半面、乱雑で適当な書き方から、そもそもスケジュール管理の重要性を分かっていない、ダメな社員になりそうと懸念される人も少なくないそうです。
自分の態度・言葉遣いを今一度、省みよう
社会人経験の自負は何げない行動・言動に表れます。これが失敗を招いているケースも多々見受けられます。最も気をつけるべきは、若手社員に対してつい無愛想な態度や偉そうな言葉遣いをしてしまいがちなことです。
例えば面接を受けに行った際、受け付けを事務的に無愛想に通りすぎていませんか。受け付けに人事部の社員を配置し、挨拶(あいさつ)・マナーの評価をしている企業もあります。たとえ年齢の若い受付係であっても、アイコンタクトと笑顔を欠かさず挨拶し、マナー良く接することが大切です。
面接官が年下の場合、普段部下と接する時のような話し方をしてしまうと危険です。つい日頃の癖が出てしまいがちなので細心の注意を払いましょう。初期段階の面接試験では、若手社員が面接官を務めることも実際に多いですから、目下の面接官にも目上に接するような礼儀正しい態度・言葉遣いを心掛けることです。
初歩的なことばかりですが、採用・不採用を分けるとても重要なポイントです。今一度、省みてください。
case study 16社会人が見落としがちな「転職活動の基本的ミス」チェックリスト
社会人が意外と見落としがちな「転職活動の基本的ミス」をチェックリストにしました。自分では気づけないポイントが多いので、今一度このリストを参考にして、転職活動に役立ててください。
採用担当者の評価を著しく下げる基本的ミスをチェックしよう
社会人としてできて当然だと思われていることは、万が一ミスをしてしまうとそれだけで著しく評価が下がってしまうものです。「自分は社会人だからできているはずだ」と思う前に、しっかりチェックしておきましょう。
1.応募書類記入時のミス
□ 誤字・脱字
□ 印鑑を曲がって押す
□ 企業名やサービス名、商品名の書き間違い
文法間違いや誤字・脱字は言うまでもありませんが、印鑑が曲がって押されていたり、志望理由等に別の企業名を書いてしまったりすると、注意力や基礎学力等が疑われてしまいます。ひいては、「この人は仕事を丁寧にしないのではないか」といった印象を与えかねません。
2. 応募書類送付時のミス
□ 宛先間違い
□ 担当者名の漢字間違い
□ 切手貼り忘れ・料金不足
□ 必要な書類の同封漏れ
郵便番号、住所、企業名、部署名、担当者名などは何度でも確認するのはもちろん、切手の料金不足、提出書類の一部を同封し忘れたりするミスにも気をつけましょう。担当者の名前は特に注意が必要です。たとえば、「伊東」を「伊藤」と書いたり、「渡部」を「渡辺」、「齋藤」を「斉藤」、「冨田」を「富田」、「井出」を「井手」など漢字を間違えただけでも印象がとても悪くなります。思い込みで書かずに、書く前も書いた後も入念にチェックすることが大切です。
3. 身だしなみのミス
□ スーツの皺や汚れ
□ 志望企業・職種に不適切なヘアスタイル
□ 靴の汚れ
身だしなみが乱れていると、仕事に対する心構えを疑われてしまいます。気合いが入っている人ならば、スーツ等の準備は面接の前日には済ませてあるものです。当日になって慌てて用意するのではなく、志望企業をイメージしながら早めに準備しておきたいものです。
4. ビジネスツールのミス
□ スケジュール管理手帳を持っていない
□ 筆記用具(ペンやノート)を持っていない
□ 志望企業・職種に不適切なバッグ
□ 志望企業・職種に不適切な腕時計
形態は電子手帳や携帯型パソコンでも構いませんが、何らかのスケジュール管理ツールを持っていないと、仕事もきっちりしていないような印象を与えかねません。また、ビジネス用の筆記用具を持っていても、ビジネスに不適切なデザインでは 、仕事の基礎力を疑われてしまいます。
5. 面接でのミス
□ 遅刻
□ 受付係への無愛想な態度
□ 面接会場の案内係・整理係への無愛想な態度
初めて行く場所は、会社案内等に書いてある所要時間どおりに着けないことが多いものです。時間に余裕がなくなると、心の余裕も失われ、面接にも悪影響することがあります。面接会場には、最低でも30分前に到着できるように心掛け、予期せぬ遅れが発生しても余裕を持って対処できるようにしておくべきです。
また、受け付けを事務的に通りすぎてはいけません。受け付けに面接官が配置され、応募者の挨拶・マナーの評価をしている企業もあります。すべての人にマナー良く接するべきです。面接会場の案内係や整理係、面接官役をやっていない社員も、採用の評定の一端を担っていることが多々あります。
6. 志望企業の基本的情報収集のミス
□ 主力商品
□ 株価(上場企業の場合)
□ 社長の氏名
□ 資本金
□ 売上高
上記の基本的情報については、転職を希望している企業ならば、事前に調べておいて当然と思われています。万が一、これらの項目について質問された場合に答えられないと、評価は大きく下がってしまいます。
7. 社会人経験の自負からくるミス
□ 若手や経験の浅い採用担当者に横柄な言葉づかいをしてしまう
□ 若手や経験の浅い採用担当者に経験や知識をひけらかすように話してしまう
社会人経験が長く、自分のスキルや経験にそれなりの自負を持っている方や、現職で部下の多い方は、特に注意が必要です。面接では、自分よりも明らかに年下の社員、あるいはスキル・経験が劣ると思われる社員が面接官になっていることも多々あります。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という諺(ことわざ)にあるとおり、どんな面接官であろうと、目上の社員と接するつもりで、謙虚にかつ丁寧に接することが大切です。それでこそ、あなたの良さが伝わるのです。
私自身も何度も転職していますが、実際に転職先に配属されると、自分よりも年下の社員や経験の少ない社員が上司・同僚になることもよくありました。面接の際にこのような状況にも適応できる人物かどうかもチェックされていたことが後になってよくわかりました。また、4社目では人事部に配属され採用関係の業務を担当したのですが、社会人経験の長い人の評価ポイントに「若手社員との接し方」があり、この重要性を改めて感じました。他社に移るということは、年齢やスキル、経験に関係なく、上司部下の関係が構築される可能性あることを心得ておく必要があるのです。
プロフィール
就転職・キャリアコンサルタント
坂本直文(さかもと・なおふみ)
キャリアデザイン研究所代表。劇的就職塾主宰。大学講師。全国各地の大学にて年間200回以上講義。著書多数。近著に『就活ノート術』(日本実業出版社)、『人生のエントリーシート』(PHP研究所)。
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