
会社や仕事に対する不満を転職力に変える
現在の会社への不満は転職活動の指針となる
不満は転職の原動力になる。ただし重要なのは理想の方向性
現在勤めている会社や仕事に不満があっても、けっしてそれをネガティブにとらえる必要はありません。不満は誰もが持っているもの。ですから、不満があることを否定せず、直視することが重要です。なぜなら不満の根底には理想と現実のギャップに対する問題意識があり、それが自らの理想を実現する強い衝動・意欲の源となるからです。
現状になんとなく満足してしまっている人よりも、不満の源を認識して、その解消のために努力を積み重ねる人のほうが、自分の理想の働き方に近づくことができ、より大きな人生の成功を手に入れる可能性もあるのです。
例えれば、不満はガソリンで、自己改革というエンジンを力強く動かす燃料になるのです。ただし、ここに重大な注意点があります。それはハンドル操作を誤らないことです。自分の理想の状態を明確化して、その方向にきっちりとハンドルを切る。そうしなければ、転職してもまた同じような不満を感じてしまうことになりかねません。現状の不満を冷静に分析し、転職活動の指針にすることが大切です。
不満を書き出し、理想を具体的に描くだけで、転職力が高まる
不満を転職力に変える簡単な方法を紹介します。ノートを用意し、左ページに不満に思っていることを書き出してみてください。右ページには、それらに対応する自らの理想を具体的に書き出しましょう。重要なのは、現状にとらわれて理想を下げないこと。自分の気持ちに正直に書き出すことです。
例えば「理想の給料」は現状の3倍だとします。いくらなんでも3倍は無理だろうと考え、1.5倍などとしないように。挑戦する前からあきらめてしまっては、自分の潜在的な可能性もすべてダメにしてしまうことになります。描く理想は自分にとって魅力的なほど良いのです。なぜなら、努力のモチベーションも高くなり、結果、達成できるレベルも高くなるからです。
さて、私が3回目の転職の際に感じていた不満は「低収入と自主性を発揮できない仕事内容」でした。それを基にノートに書き出した理想の一部をご紹介します。1.給料は入社後3年で現状の3倍以上にする。2.人材教育の仕事をする。3.本に書ける実務経験・スキルを身につける。4.独立起業できる人脈を得る。最初は高望みかとも思ったのですが、これが強いモチベーションのもととなり、転職によってすべて達成することができました。この体験から、「不満とは自分を大きく変える原動力」ということを実感したのです。
自らが理想とする仕事や給料、人間関係などは、不満なくしては気づけないことが多いもの。しかし、それによって努力へのモチベーションが高まり、最大のエネルギーを発する転職力となると思うとワクワクしてきませんか。
case study 19不満の内容を基に、転職の指針を決めるためのアドバイス
不満は転職による自己改革の大きなパワーとなります。以下、仕事内容、人間関係、職場環境、雇用条件、将来の展望などの内容別に、転職の指針を決めるポイントを紹介します。
「不満の内容」によって解決のポイントは違う
まず、「仕事内容」「人間関係」などの項目別に不満をノートに書き出してみます。続いてそれに対するあなたの理想を具体的に書き出してください。その上で、それぞれ3つのポイントについて分析をしてみましょう。
「仕事内容に対する不満」解決のポイント
- その理想の仕事に既に従事している人で、相談できる人はいないか
- その理想の仕事を行うには、現在の仕事のスキル・資格・経験が応用できるか
- その理想の仕事を行うには、どんなスキル・資格・経験が必要か、またどのようにそれを身に付けるか
特に重要なのは2の分析です。もしも、現在の仕事のスキル・資格・経験が応用しにくい場合は、3の「どのようにそれを補うか」を分析することが非常に重要になります。
私の3回目の転職の場合は、転職活動開始1年前から下準備を始めました。最初に親戚の友人で私の理想の仕事に従事している人がいたので紹介していただき、必要なスキル、資格、経験等について、今までの仕事からどの程度応用できるかを確認しました。すると、自分が思っていた以上に応用できる部分があることがわかり、やる気が高まりました。そして、その時点で不足しているスキルを補うことを決意し、関連した資格の勉強を始めました。
「人間関係に対する不満」解決のポイント
- 理想の人間関係は、現在の勤務先で達成することはできないか
- 理想の人間関係を得るには、どんな企業に転職すればよいか
- 理想の人間関係を得るには、自分はどんな努力をする必要があるか
特に重要なのは3の分析です。なぜなら、人間関係においては、不満が生じた原因の一端が自分にもある可能性があるからです。転職した先で、また同じような人間関係の不満が生じることを防ぐには、自分としてはどんな努力をすべきか(やるべきこと、やらないほうがよいこと等)、しっかり考えておくことが大切です。
「職場環境に対する不満」解決のポイント
- 現在の職場環境を理想の環境にする改善策はないか
- 理想の職場環境を得るには、どんな企業に転職すればよいか
- 理想の職場環境を得るには、自分はどんな努力をする必要があるか
勤務地、通勤時間、建物・設備等など、職場環境に関して不満を持っている人も少なくないようです。これは、転職によって解決しやすいものですが、やはり全てを解決するのは難しいです。まずは自分の中での優先順位をしっかり考えておきましょう。
「雇用条件に対する不満」解決のポイント
- 理想の雇用条件は、現在の勤務先で達成することはできないか
- 理想の雇用条件を得るには、どんな企業に転職すればよいか
- 理想の雇用条件を得るには、自分はどんな努力をする必要があるか
「理想の雇用条件を実現する転職」については、本コラムの第18回で詳しく解説しています。ご参照ください。
「将来の展望に対する不満」解決のポイント
- 理想の将来は、現在の勤務先で達成することはできないか
- 理想の将来を実現するには、どんな企業に転職すればよいか
- 転職先の企業で、自分はどんな努力をする必要があるか
「事業が縮小されることが決定し将来が不安」「売上げが下がり、給料も下ったので将来が不安」など、企業の業績が下がっていることから、将来に不安・不満を抱えている場合の注意点を述べます。
実は、この場合に最も重要なのは1の分析です。企業の業績には波があるのが当たり前。良い時ばかりではなく、悪い時もあるものです。悪い時は次の成長のための努力の期間です。ここで努力できた企業ほど、大きな飛躍を果たします。そのためには自社の成長のために何ができるかをしっかり考え貢献する社員が求められるのです。つまり、転職を考える前に、今の企業の苦境脱出のためにどれだけ貢献できるかを徹底的に考えることで、あなたの理想を実現できる可能性もあるのです。ただ、どれだけ考えても、企業と自分の方向性、やりたい仕事が違う場合は、迷うことなく転職先を探しましょう。
不満は誰でも持っているものです。不満をしっかり分析して解決の手段を考えることは、自らの人生を充実させるためにとても重要なことです。上記のアドバイスを参考にご自身のケースを分析してみてください。
プロフィール
就転職・キャリアコンサルタント
坂本直文(さかもと・なおふみ)
キャリアデザイン研究所代表。劇的就職塾主宰。大学講師。全国各地の大学にて年間200回以上講義。著書多数。近著に『就活ノート術』(日本実業出版社)、『人生のエントリーシート』(PHP研究所)。
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