
転職先で良好な人間関係を築く即効技
「前職ではこうだった」は最大のNGワード
新しい職場に不安はつきもの。小さな心掛けが大きなプラスを招く
転職先でうまく人間関係が築けるか、自分を快く受け入れてもらえるかと不安に感じる人が多いようです。今回は新しい職場の人たちと親しくなるための即効技を紹介します。
配属部署でまず心掛けるべきことは、自分の知識・経験を生かそうと、聞かれてもいないのに「前職ではこうだった」と話さないことです。自分が良かれと思って言ったことが逆効果になる場合も少なくありません。実はこれが最大のNGワードなのです。転職先の社員に対し、「前職に未練がある」「当社を下に見ている」「当社のやり方を軽んじている」などとマイナスの印象を与えてしまう場合もあります。会社が変わればルールや文化は当然違うもの。前職での常識が転職先では非常識という場合だってあるのです。まずは謙虚に教えを請い、学ぶ姿勢が大切です。
また、年下や同年代の社員との接し方にも細心の注意が必要です。例えば、5~10歳下の社員が上司・同僚になることがよくあります。自分では普通に接しているつもりでも、上下関係をわきまえず、目下に対するような態度になっている場合があるので言葉遣いなどには気をつけましょう。特に、前職で多くの部下がいた転職者は要注意。印象を悪くしないためには誰に対しても丁寧な言葉で接することが大切です。
小さな心掛けで、人間関係が良くなり、仕事もうまくいく
勤務初日には、全体での自己紹介とは別に、忙しそうにしていない時を見計らって一人ひとりの所に出向いてキッチリと自己紹介をすることです。
その際、ノートや手帳に相手の名前と役職、席の位置をメモして、その場で覚えましょう。そして相手も転職者かどうかぜひ確認してみてください。同じ転職者としての注意点や貴重なアドバイスを得られることも多いのです。また会話の中で相手や会社をさりげなく褒めることも心掛けましょう。人は褒めてくれる人には親しみを感じるもの。快く仕事のノウハウを教えてくれるようになります。
仕事に関しては「自分は誰から何を期待されているのか」を確認し、やるべきことを明確化することが重要です。仕事のルールや段取りはできるだけ早く覚えましょう。仕事の細かな注意点や本音を聞く機会は自分で作り出すことも重要です。そのためには上司・同僚と昼食や夕食の機会を作ることも大切。また業務を引き継ぐ場合は、引き継ぎを待つのではなく、自ら積極的に前任者から業務やノウハウを細かく聞き出す姿勢が必要です。
なお、社内の息抜きの場所を早めに確認しておくことも大切です。喫煙場所やトイレ、給湯室、休憩室などでは会社の裏話が聞けたり、プライベートな話から親しくなれることが多いからです。
人間関係の構築は小さな心掛け次第。入社後の早い段階で良い関係が築けると、仕事にも大きなプラスがもたらされます。
case study 20「転職先での人間関係作りのポイント」チェックリスト
転職先の人たちといち早く良好な人間関係が構築できるかどうかは、入社直後の態度や行動に左右されます。特に大切なポイントを、時系列に沿ってチェックリストにしました。
職場になじむためのポイント
以下のチェックリストで、自分が意識できていない点や苦手な点を確認して、転職後にスムーズに良好な人間関係を築いていきましょう。
●配属前にできれば採用担当者に聞いておきたいこと
□ 採用に際して、自分のどんなスキル・経験が評価されたのか
□ 自分がどんな社員になってほしいか、期待されている内容
□ 自分と似たようなケースの採用で、成功している人や失敗した人の例
□ 配属先での仕事上の注意点、人間関係構築上の注意点
□ 服装、身だしなみの規定・慣例
●入社前の心構え
□ 会社が変わればルールも変わる。謙虚に学ぶ姿勢を持つ
□ 前職の常識が非常識の場合がよくある
□ 力を認められたからこそ採用されたのだと、自信を持つ(卑屈になってはダメ)
□ 採用して頂いたことに対する感謝の気持ちを持つ
●入社後3日以内に、配属先でやるべきこと
□ 一人ひとりにしっかり自己紹介をする
□ 一人ひとりと話をして名前、役職、席位置を覚える(メモを取る)
□ 自分から挨拶をする。自分から話しかける
□ 会社の構造、建物、息抜きの場所を把握する
□ 仕事のスケジュールを知る
□ 仕事の目標・注意点を聞く、把握する
□ 仕事上、やってはいけないこと、ミスは何かを知る
●人間関係構築に関して、+αでやっておくとよいこと
□ 本音が聞ける場面(食事、休憩、トイレ等)を、自分から積極的に作るようにする(誘ってくれることがある)
□ できるだけ早く出社して、落ちついて会話ができる時間を作る
□ 残業やちょっとした作業を手伝う(会話をしながらできるので、親しくなれる)
□ 休日に何をしているか聞く(趣味の話で盛り上がることがある。趣味が同じ場合は、休日の約束をすることもできる)
□ 服装や持ち物を観察して、同じ趣味のものがないかチェックする(会話のきっかけになる)
□ 物の貸し借りをしたり、相手の持ち物を褒める(仲良くなりやすい)
●やってはいけないこと
□ 聞かれてもいないのに、前の会社ではこうだった……と言う
□ 年下の同僚、上司に対する横柄な言葉遣い
□ 知ったかぶり
□ その会社のやり方、その会社の商品・サービスに対する批判
□ 自社に対して批判的なことを言う社員への同調
□ 過度な自己否定(採用してくれた担当者の批判につながってしまう)
仕事になじむためのポイント
●仕事に関して、できるだけ早くやるべきこと
□ できる社員を観察する。なぜできるかを分析する
□ できない社員を観察する。なぜできないかを分析する
□ 前職の仕事との違いを把握する
●業務引き継ぎの場合の注意点、やるべきこと
□ 教えてもらうのを待たない。受け身にならない
□ 前任者のノウハウ、注意点、教訓を細かく聞き出す
□ 前任者がいるうちに、取引先やパートナーとの人間関係を構築し、次の取引に向けた注意点を把握する
良好な人間関係を早く構築することは、転職先での仕事をスムーズに行なうことにつながります。上記のチェックリストで、自分が意識できていない点や苦手な点を確認できたら、あらかじめしっかり準備しておきましょう。そうすれば、転職先でもすぐに働きやすい環境を手に入れることができるでしょう。これから作る新しい人間関係をすばらしいものにしてください。
プロフィール
就転職・キャリアコンサルタント
坂本直文(さかもと・なおふみ)
キャリアデザイン研究所代表。劇的就職塾主宰。大学講師。全国各地の大学にて年間200回以上講義。著書多数。近著に『就活ノート術』(日本実業出版社)、『人生のエントリーシート』(PHP研究所)。
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