
家族の理解と応援を得る転職の秘訣(ひけつ)
急な転職は家族を不安にさせる。唐突に話を切り出すのはNG
自分勝手な転職は極力避ける。ポイントは家族で夢を共有すること
単身者は比較的自分一人で何でも決めやすいのですが、配偶者や子供がいる場合は自分だけの都合で物事を決めるわけにはいかないものです。自分の転職について家族の理解と応援を得たいと思い、話を始めたところ逆に反対されてしまう人も少なくありません。
とりわけ、唐突に話を切り出した場合や、明らかに収入が減りそうな場合、転居が伴う場合などは、家族を不安にさせてしまうもの。一時的な感情や自分のわがままだと思われてしまい猛反対されることが多々あるようです。
転職は収入、勤務地、勤務時間、仕事内容、将来性、世間体、新たな人間関係など、配偶者や子供に与える影響が大きいものです。そのため、日頃から理解と応援を得るための準備をしておくことが必要です。「自分のことしか考えていない」「家族のことを軽視している」と誤解されると、転職活動がうまくいかないだけでなく、家庭不和を引き起こすことにもなりかねません。
家族から積極的な応援を得るためには「今の会社に居続けるデメリット」と「転職先で得られるメリット」を比較説明できることが必要不可欠です。その際、長期的に見ると収入が安定的に確保できるとか、家族との時間が増える、健康的な生活に良いなどと「家族のメリット」になることもしっかりと伝えることが必須。あなたに「家族全員が幸せになる転職をしよう」という強い意志があれば、家族は必ずあなたを応援してくれるようになるはずです。
応援してもらうための事前準備。転職は家族の結束をも高める
さらにお勧めしたいのは「家族で夢の話し合い」をすることです。自分の夢(転職願望)を話す前に、まずは配偶者や子供の夢をしっかりと聞く。1年後、2年後、3年後、または年齢ごとにどうなっていたいか、何をしたいか、具体的に聞き出して、ノートなどに未来年表のようにまとめます。ここで話し合ったことを可視化することで、夢の実現に対するリアリティーや意欲も家族で共有できるようになります。
家族の夢を聞きながら、自分はその夢に対してどう応援できるかをできるだけ具体的に話してみましょう。家族の夢を尊重し、応援する姿勢をみせ、行動をとることが自分の夢を応援してもらえる秘訣です。
家族一人ひとりの夢を十分に聞き出せたと感じたら、今度はあなたの番。今の会社の現状とそこで働く自分の気持ちを見えを張らずに語ってください。現状を理解してもらえたら、次は転職の夢を語りましょう。大切なのは、自分の夢が実現すると家族の夢にもメリットがあるというように話すこと。事前に家族の夢を詳細に聞いてあれば、どの部分にどういうメリットがあるかを話すことができます。家族全員でお互いの夢を共有し合うことにより、あなたの転職を家族一丸となって成功させることができるはずです。
case study 23家族の理解と応援を得て転職を成功させた事例
家族の理解と応援を得て転職を成功させた例を紹介しています。最初は家族から反対されていたMさんがどのようにして同意を得たのか、参考にしてみてください。
あなたの転職もこうすれば家族の総意になる
Mさん(30代前半男性。配偶者あり。子供2人)の転職が、どのようにして家族総意の願いに変化していったのか、ポイントをチェックしてみましょう。
Mさんはサービス業の営業職から物流会社の事務職への転職を成功させました。転職の理由は以下の3点です。
- 今の会社は不規則な勤務形態で、休みも取りにくく体調を崩すことが多い。
- 体力的にきついので、年をとってからも続けられる自信がない。
- 家族と過ごす時間がとれない。
当初この転職は奥様に大反対されたそうです。理由は2つあり、(全国的な知名度のある)大企業から(知名度のない)中小企業への転職であったこと。転職希望の会社の給料(年収)が前職よりも低いので、住宅ローンの支払いや子供の教育費の支払いに不安を感じることでした。
配偶者(奥様)と子供に対する説得
Mさんは、奥様と子供と互いの希望(夢)をしっかり話し合い、なおかつ、以下のことを行ったそうです。
●今の会社に居続けるデメリットを具体的に示した(危機感の共有)
- 今の会社に居続けた場合の今後の勤務形態を説明して、家族とともに過ごす時間が今後も取りにくいことを示した。
- 過酷な勤務形態で体を壊した上司がいることを説明し、長期的に働ける職場でないこと、健康面に不安を感じることを示した。
- ここ数年の健康診断の数値の変化を見せて、自分の体調も徐々に悪化しつつあることを示した。
●転職を希望している会社のメリットを具体的に示した(希望の共有)
- ホームページに掲載された社史を見せて、中小企業であるが歴史があり安定性があることを示した。
- 業界紙に出ていた記事を見せて、業界での評価が高いことを示した。
- 会社の商品を見せて、質の高さを実感してもらった。
- 収入予定表を作り、長期的にみると安定した収入が見込めることを示した。
- 勤務時間が安定し、家族サービスの時間がしっかり取れる見込みを説明し、面接の際に確認することを話した。
特に、家族サービスの時間が取りたいことを第一に説明し、中小企業であっても定評がある会社であることを示しました。その結果Mさんの立場を理解してくれて、応援してもらえるようになったそうです。
転職を意識した時だけでなく、お正月や新年度の始まりのタイミングなどを使って、年に何回か家族とともに人生について話をしておくとよいでしょう。各自がどんな夢を抱いているのか、どんな人生だったら悔いがないかなど、それぞれの人生の夢を共有しておくと家族の結束が高まります。また、いざ転職をしようとした場合に転職の話もしやすくなりますし、家族から転職のヒントを得られることもあるかもしれません。ぜひ家族全員が幸せになるような転職を成功させてください。
プロフィール
就転職・キャリアコンサルタント
坂本直文(さかもと・なおふみ)
キャリアデザイン研究所代表。劇的就職塾主宰。大学講師。全国各地の大学にて年間200回以上講義。著書多数。近著に『就活ノート術』(日本実業出版社)、『人生のエントリーシート』(PHP研究所)。
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