“食がおいしいご当地”の印象が強いのはどこ?
ジモト見聞録、まずは第一弾として“食”にフォーカスしてみました。
以下のランキングは47都道府県について、国民が「食事がおいしい」と感じている順位です。ご当地グルメや伝統料理、銘柄牛、特産フルーツに野菜、人気のレストランなど。まるで関係者あるいは毎日食べているかのように、一度口を開いたら熱っぽく語り続ける人が日本中に溢れかえっています。
そこで、実際に日本の国民にとって、「食事がおいしい」と感じる都道府県はどこかをランキングにしてみました。
※ランキングの基データは「北関東がワースト3」などでおなじみの「地域ブランド調査2016」(ブランド総合研究所)の結果から、各都道府県について「食事がおいしい」と感じている人の割合(%)です。
食の王国は北海道!
その結果、第1位は、北海道でした。なんと36.5%の人が北海道は「食事がおいしい」と回答していましたが、これは2位以下の倍以上というダントツの1位でした。
北海道の食の魅力は、カニ、ホタテ、じゃがいも、とうもろこしという豊富な食材。かつては米が作れないと嘆いていた時代もありましたが、平成27年の食味ランキング(一般財団法人 日本穀物検定協会)で、北海道産のお米としてはゆめぴりか、ななつぼし、ふっくりんこの3つが最上級の「特A」に選ばれています。
料理では何と言ってもラーメン。今や札幌はラーメン激戦区。旭川や函館のラーメンも大人気です。そのほかには、伝統料理の代表としては石狩鍋、スープカレー、ジンギスカンなど続々流行しています。更に白い恋人、夕張メロン、利尻昆布、ロイズ、小樽寿司など数え上げたらきりがありません。
食は関東より近畿が上!
1位が北の北海道なら、2位は南の福岡県。博多明太子と博多ラーメンが代表格。北海道のラーメンはさまざまですが、福岡のラーメンはとんこつが主流。実はルーツは沖縄そばで、それが長崎ちゃんぽんとして伝わり、久留米ラーメンを経て、博多ラーメンとして定着したという説があります。南の島で生まれて博多で定着したとしたら、まるで食のシルクロードのようなものでロマンがありますね。
3位は京都府と大阪府が同率で並びました。食文化では関東を凌駕しています。
5位に富山県、6位に石川県と北陸勢がランクイン。新潟県は前年より少し順位を落としましたが10位とベストテンに踏みとどまっています。
7位には前年10位から上昇した青森県、8位には20位から急上昇した宮城県、9位は秋田県と東北勢がそろい踏みです。
あなたのジモトはどのタイプ?
食に対する評価が高いジモトは、米や肉などの食材が豊富にあるか、あるいは人気ご当地グルメがイメージを引っ張り上げているケースが多いようです。
そこで「地元産の食材が豊富」という評価の順位を横軸に、「ご当地グルメが有名」という評価の順位を縦軸にとったグラフに、47都道府県をプロットしてみました。
すると、食材が豊富(15位以内)で、ご当地グルメも人気がある(15位以内)のは北海道、青森など1道7県でした(図右上)。食材は豊富だが、ご当地グルメの評価が高くない(25位以下)なのは、新潟、岩手、山形、愛媛の4県(図右下)。
逆に、食材はあまり豊富ではないが、ご当地グルメが人気なのは、大阪、鹿児島、広島、愛知の1府3県(図左上)でした。食材、ご当地グルメともに評価が低かった(25位以下)のは15県(図左下)。
ここには首都圏の1都3県がすべて含まれていますが、「食事がおいしい」のランキングでは東京が15位、神奈川が17位に対して、千葉は43位、埼玉は47位と低くなっており、これは三ツ星レストランなどおしゃれで人気の店が多いか否か、が明暗を分けたようです。
博士のトリビア
―県のキャッチフレーズには、食が少ない? ―
都道府県のキャッチフレーズに、「食」や「おいしい」を取り入れているケースはあまり多くはありません。
宮城県の「美味し国 伊達な旅」と新潟県の「風景さえ美味しいうるおいの新潟」、長崎県の「観る!魅る!味る!長崎県」の3県だけ。「食材王国」「食の都」などは市町村は比較的よく使われているフレーズですが、都道府県では一つもありませんでした。
ちなみに北海道は「その先の、道へ。北海道」、福岡県は「アジアの福岡あたりがおもしろい」です。
市町村では、函館が1位!
では、市町村の食事がおいしいランキングはどうでしょうか?
1位は函館市。北海道新幹線が開通して注目を集めていますが、イカやお寿司など魚介類の人気が高く、それらが並ぶ朝市が目当ての観光客も多いとか。
2位は札幌市、3位は小樽市と北海道が上位を独占。更に釧路市、根室市、石狩市、帯広市、千歳市と20位までに計8市がランクインしています。
4位は松阪市。ご当地牛の最高峰である松阪牛が決め手。6位の米沢市は米と牛肉、14位の下関市はフグ(山口県では「フク」と呼ぶ)、18位の魚沼市はコシヒカリなど、全国的に著名な特産品がイメージをけん引しています。
一方、5位の喜多方市は喜多方ラーメン、13位の石狩市は石狩鍋、14位の宇都宮市はぎょうざなど、郷土料理やご当地グルメがイメージを引き上げている市も少なくないようです。
さて、みなさんがジモトの食のイメージを語る時、食材とグルメ、どっちのほうを強く自慢しますか?
ジモーちゃんのつぶやき(・o・)
「食事がおいしい」のイメージは、ご当地によってずいぶん違うよね。北海道や東北は、野菜やお肉がおいしいイメージ。市町村のランキングの上位にも、北海道や東北が多くランクインしているよ。
一方、3位に京都と大阪が並んだけど、隣同士の府なのに、粉もんの大阪と、京料理の京都、ずいぶんイメージが違う~! おもしろいなあ。
「和食」がユネスコの世界文化遺産に登録されたけど、ジモトによってその内容は全然違う。
「あれもこれもおいしい」じゃなくて、「ここに来たらコレ!」と言い切ってくれたほうが分かりやすいし、食べに行ってみたくなる気がする。みんなはどうかな?
市区町村ランキングの説明
「地域ブランド調査2016」は、1,047の地域(1,000市町村及び47都道府県)を調査対象とし、全国3万人が各地域のブランド力を徹底評価する日本最大規模の消費者調査です。2006年に調査を開始、毎年実施し今回で11回目の実施となります。
調査はそれぞれの地域に対して魅力度、認知度、情報接触度、各地域のイメージ(「歴史・文化のまち」など14項目)、情報接触経路・コンテンツ(「旅番組」など経路14項目、「ご当地キャラクター」などコンテンツ9項目)、観光意欲度、居住意欲度、産品の購入意欲度、地域資源の評価(「街並みや魅力的な建造物がある」など16項目)などを質問。また、出身都道府県に対する愛着度、自慢度、自慢できる地域資源など出身者からの評価などを調査しています。
市区町村の調査対象は全ての市(790)、東京特別区(23)、それに認知度がある程度高く、地域ブランドへの取り組みが積極的な町村(187)の計1,000市区町村です。
マイナビ転職 編集部
執筆:ブランド総合研究所
(http://tiiki.jp/news/survey2016)