【社労士監修】週休2日制とは? 完全週休2日制との違いや求人票の休日欄で確認すべき点を解説
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求人票の休日欄の「週休2日制」の記載に、「毎週土日は休める」と早とちりしてしまう人は要注意。週休2日制は、毎週2日必ず休めるという意味ではありません。
本記事では、週休2日制と完全週休2日制の違い、転職活動時に求人票で確認しておきたい休日に関する表記について解説します。「週休2日制でなくても法律上問題ないのか」という疑問にもお答えしますので、ぜひ参考にしてください。
<INDEX>
週休2日制・完全週休2日制の違いとは?
週休2日制と完全週休2日制は、言葉としては似ていますが別物です。求人票の休日欄を確認する際には、それぞれの意味を押さえておきましょう。
週休2日制とは1カ月に週2日の休みが1回以上あること
「週休2日制」とは、年間を通して1カ月に1回以上、週2日の休みがある制度です。週2日の休みがない週でも、労働基準法に基づいて週1回の休みがあります。
週休をどの曜日にするか、決まりはありません。業界によっては水曜日など平日を定休日にあてているケースや、シフト制で週によって休める曜日が異なるケースも。企業によるため、よく確認しておきましょう。
週休2日制の例は、以下のとおりです。
<曜日が固定の場合>

<シフト制など曜日が固定されていない場合>

【求人票上の表記例】
- 週休2日制(土、日、年3回土曜出勤あり):土日休みが基本だが、年に3回土曜出勤あり
- 週休2日制(月6日、シフト制):第1・第3週目は週2日休み、ほかの週は週1日休み。すべて曜日は異なる
- 週休2日制(日、第2・第3土曜):毎週日曜、第2・3土曜が休み
完全週休2日制とは毎週に必ず2回休みがあること
「完全週休2日制」とは、年間を通して週2日の休みがある制度です。土日休みのイメージが強いかもしれませんが、曜日が固定されていない場合も完全週休2日制に該当します。完全週休2日制の例は以下のとおりです。
<曜日が固定の場合>

<シフト制など曜日が固定されていない場合>

【求人票上の表記例】
- 完全週休2日制(火、日):毎週火曜・日曜が必ず休み
- 完全週休2日制(土、ほか1日)毎週土曜、そのほかの曜日1日が毎週必ず休み
- 完全週休2日制(シフト制):シフト制で毎週2日は必ず休み
完全週休2日制とだけ書かれている場合、祝日の扱いがどうなるのか、入社前に必ず確認しておきましょう。 週に2日の休日は必ずあるものの、祝日は原則出勤という企業もあり、祝日が休みとは限らないからです。
週休2日制・完全週休2日制を採用する企業はどれくらい? どの業種に多いのか
週休2日制、完全週休2日制はどの程度の割合で採用されているのでしょうか。ここからは、企業規模や業種による傾向の違いを見ていきます。
週休2日制・完全週休2日制の導入状況
厚生労働省の調査によると、「週休2日制」を採用する企業は35.0%、「完全週休2日制」を採用する企業は48.4%という結果でした。なお、「完全週休2日制よりも休日が多い制度」を採用しているのは8.5%です。
完全週休2日制の割合は、企業規模によって以下のような差が見られます。
企業規模が1,000人以上の企業:66.7%
企業規模が300~999人の企業:60.0%
企業規模が100~299人の企業:53.7%
企業規模が30~99人の企業:45.0%
[参照:厚生労働省『令和3年就労条件総合調査』]
週休2日制・完全週休2日制を採用する業種の違い
完全週休2日制の業種別の採用割合は以下のとおりです。
鉱業、採石業、砂利採取業 | 24.5% |
建設業 | 39.1% |
製造業 | 44.5% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 67.8% |
情報通信業 | 80.3% |
運輸業、郵便業 | 31.2% |
卸売業、小売業 | 50.4% |
金融業、保険業 | 91.9% |
不動産業、物品賃貸業 | 52.7% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 78.1% |
宿泊業、飲食サービス業 | 33.5% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 36.6% |
教育、学習支援業 | 51.6% |
医療、福祉 | 56.2% |
複合サービス事業 | 57.7% |
サービス業(他に分類されないもの) | 47.9% |
[参照:厚生労働省『令和3年就労条件総合調査』]
週休2日制でなくても法律上は問題ない?
週休2日制が当たり前というイメージの人もいるかもしれませんが、毎週1日休みの週休制の企業も存在します。なお、労働基準法では労働時間・休日について以下のような趣旨が定められています。
- 使用者は休憩時間を除き、1日8時間、1週間40時間を超えて労働させてはならない
- 使用者は、少なくとも毎週1回の休日か、4週間を通じ4日以上の休日を与えなければならない
[参照:「労働基準法第32条、第35条第2項」]
上記の労働基準法を遵守していれば、週休2日制でなくても問題はありません。企業は法定の労働時間を超えないように休日を設定しています。
<例>
- 完全週休2日制でもNGの例
1日9時間×5日=45時間
※法定の労働時間(1日8時間)を超えるのでNG - 週休2日制でOKの例
週1日休みの週の場合 1日6.5時間×6日=39時間
週2日休みの週の場合 6.5時間×5日=32.5時間
※両方とも法定の労働時間(1日8時間、あるいは週40時間)を超えないのでOK - 週休2日制でもNGの例
週1日休みの週の場合 1日8時間×6日=48時間
※法定の労働時間(週40時間)を超えるのでNG
求人票の休日欄についてもチェックをしよう

転職する際は求人票の休日欄をチェックして、どのような働き方になるかを確認する必要があるでしょう。ここでは、求人票でよく見る休日表記について解説します(マイナビ転職の場合)。
週休2日制・完全週休2日制は「曜日」に注目!
名称 | 内容 |
---|---|
週休2日制 | 1年間を通じ、月1回以上週2日の休みがあり、ほかの週は1日以上の休みがある |
完全週休2日制 | 1年間を通じ、毎週必ず2日の休みがある |
隔週休2日制 | 1年間を通じ、隔週で2日の休みがある |
週休制 | 毎週1日の休みがある |
週休3日制 | 1年間を通じ、月1回以上週3日の休みがあり、ほかの週は毎週2日の休みがある |
●勤○休制 | ●日勤務して○日休みを繰り返す |
●週○休制 | ●週の間に○日休みがある |
求人票の休日欄には、週休2日制・完全週休2日制・隔週休2日制など、週休の詳細が記載されています。休日を正しく把握するために、曜日と年間休日についても確認を。
「週休2日制(土・日)」のように曜日が記載されている場合は、その曜日が固定の休日です。曜日が書かれていない場合は、休みの曜日が固定されないシフト制の可能性があります。休む曜日にこだわりたい場合は、応募時や面接時に曜日まで確認しておきましょう。
年間休日についても確認!
年間休日は、その会社で決めた1年間の休日数のことです。祝日や年末年始等の休暇、就業規則で定められた休日は、年間休日の日数に含みます。ただし、有給休暇は「法定休暇」の扱いであるため、年間休日には含まれません。
週休の日数と年間休日を照らし合わせることで、祝日や夏季休暇、年末年始休暇の扱いが分かります。なお、目安として、カレンダーどおりの休日を取ると、年間休日120日前後、土日以外をすべて出勤する場合は年間休日105日前後となります。
なかには「1年単位の変形労働時間制」と呼ばれる制度を導入して、年間の休日をカレンダーで決めている企業もあります。
「1年単位の変形労働時間制」とは、3カ月、6カ月、1年などの1年以内の一定の期間を平均して、1週間の労働時間を40時間以内にする制度です。
1日8時間働く企業の場合には、年間の休日が105日以上となりますが、業務が忙しい月には休日が少なくなり、その分ほかの月の休日が多くなります。
1週間に1日以上の休日は必ず確保されるものの、月の休日数が業務の繁忙月とそれ以外の月で異なることがあるため、応募時には変形労働時間制の有無も確認するようにしましょう。
志望動機で完全週休2日制など「休み」を理由にするのはあり?
応募企業を選ぶにあたり、週休日数など「休みやすさ」を条件の一つにしている人も、なかにはいるでしょう。ただし、面接など選考過程で志望動機に「休み」を挙げるのは避けたほうが良いかもしれません。
応募企業は、仕事に対する意欲、スキルや経験を知りたがっています。志望動機では、「どのように企業に貢献したいか」という意欲やアピールポイントを伝えるようにしましょう。どうしても面接のなかで休みの実態について確認したい場合は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
転職活動の際には、求人票に記載されている週休の日数、曜日、年間休日などを調べておきましょう。週休2日制・完全週休2日制は混同しやすいものですが、休日の日数が大きく異なる場合があります。
休みにこだわるならば、休める曜日や年間休日数も要チェック。週休の仕組みを正しく把握し、自分の希望条件に合う企業かどうか見極めてくださいね。
監修者

加治 直樹(かじ・なおき)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
特定社会保険労務士
銀行に20年以上勤務し、融資および営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士および特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。
現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能で、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。
マイナビ転職 編集部

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