有給休暇とは?付与日数・取得条件・使い方をわかりやすく解説
掲載日:2025年07月17日
監修者篠田 恭子
特定社会保険労務士/おひさま社会保険労務士事務所 代表
記事まとめ(要約)
- 有給休暇は法律で保障された労働者の権利です
- 初回の有給休暇は、6カ月働いて8割以上出勤すると付与されます
- パートやアルバイトでも、条件を満たせば働いた日数に応じて有給休暇が付与されます
- 有給休暇は事前申請が原則で、理由は「私用」で問題ありません
- 有給休暇は2年で消滅するため、使い切れるよう計画的な取得が大切です
有給休暇は、働く人に認められた大切な権利です。とはいえ、制度の仕組みや取得ルールを正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。
労働基準法に基づく「最低限知っておきたいルール」を中心に、日数や申請方法、注意点までわかりやすく解説します。
なお、ここで紹介するのはあくまで法定の基準であり、企業によってはより手厚い制度を整えている場合もあります。
有給休暇とは?
有給休暇(年次有給休暇)とは、労働者が休んでもその日の給与が支払われる制度で、労働基準法第39条により定められた労働者の権利です。
一定期間働いた人に付与され、心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を支えることを目的としています。
以下で、付与条件や日数、取得方法などを詳しく見ていきましょう。
最初に有給休暇がもらえる条件とは?
有給休暇の発生要件は「6カ月以上継続して雇用されていること」「全労働日の8割以上出勤していること」です。
その年の有給休暇付与日数は勤続年数で決まる
有給休暇は、毎年一定の基準を満たした労働者に対して付与されます。
フルタイムの正社員であれば、入社から6カ月が経過し、所定労働日の8割以上出勤していることで、最初に10日が付与されます。
なお、有給休暇の日数は所定労働日数や契約内容(パート・アルバイトなど)によっても異なるため、自分の勤務形態に応じた付与日数を確認しましょう。
| 継続勤務 年数 |
6カ月 | 1年 6カ月 |
2年 6カ月 |
3年 6カ月 |
4年 6カ月 |
5年 6カ月 |
6年 6カ月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
有給休暇はパート・アルバイトにも付与される
パートやアルバイトの方でも、有給休暇は取得可能です。
発生条件は正社員と同様に「6カ月以上継続勤務」「全労働日の8割以上出勤」であり、労働日数と継続勤務期間に応じて比例的に付与されます。
短時間勤務でも権利は守られていますので、該当する方は自分の有給日数を確認しましょう。
| 週所定 労働日数 |
1年間の 所定労働日数 |
雇入れ日から起算した継続勤務期間 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.5 年 | 1.5 年 | 2.5 年 | 3.5 年 | 4.5 年 | 5.5 年 | 6.5年 以上 |
||
| 4日 | 169日~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 121日~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 73日~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 48日~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
有給休暇が付与されるタイミング
原則として、有給休暇は入社から6カ月が経過し、所定労働日の8割以上出勤した場合に初めて付与されます。ただし、初年度に限っては、入社時や3カ月後など、6カ月を待たずに付与する会社もあります。
また、毎年の付与においては、特定の基準日を定めて全従業員に一斉付与する方式を採用している企業もあります。いずれの場合も、就業規則で運用方法を確認しておきましょう。
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有給休暇は繰り越しできる
有給休暇は、付与日から2年間は有効とされています。そのため、1年間で取得しなかった有給日数は、翌年に繰り越して使用することが可能です。
ただし、付与から2年を過ぎると時効により消滅します。未取得分が無駄にならないよう、計画的な取得を心掛けましょう。
有給休暇には時効がある
先述のとおり、有給休暇は繰り越しできるものの、付与日から2年間で時効を迎えます。
未使用のまま放置しておくと消滅してしまうため、繰り越し分も含めて早めに計画的に取得することが大切です。
有給休暇の年5日取得が義務化されている
2019年4月の労働基準法改正により、企業には従業員に年5日以上の有給休暇を確実に取得させる義務が課されました。
対象となるのは、年10日以上の有給休暇が付与される従業員です。これは、正社員だけでなく、パートやアルバイトなどでも、働く日数に応じて10日以上の有給が付与される場合も含まれます。
また、従業員が自発的に取らない場合は、会社が時季を指定して取得させる必要があります。
働き方改革の一環として導入されたこのルールにより、有給休暇を取りやすくする取り組みが多くの企業で進んでいます。
有給休暇には半休・時間休もある
会社の規定があれば、有給休暇を半日単位で取ることも可能です。
また労使協定(※)を締結していれば、時間単位で取得することも可能です。柔軟な働き方に対応するための制度ですが、導入の有無や具体的な運用方法は企業ごとに異なるため、必ず就業規則を確認しましょう。
※労使協定:会社(事業者)と従業員の過半数で組織する労働組合または従業員の過半数の代表者との書面による協定
計画年休制度が導入されている場合も
計画年休制度とは、労使協定のもとで企業側が年次有給休暇の取得日をあらかじめ指定する制度です。
5日分を除いた残りの有給について対象となり、企業の業務計画と労働者の休暇取得を両立させる目的で活用されています。会社によっては計画年休制度が導入されていることもあるため就業規則を確認しておきましょう。
有給休暇の取得方法
ここでは実際に有給休暇を取得する手続きやポイントを解説します。
会社のルールにしたがって事前申請する
有給休暇を取得する際は、会社の就業規則に沿って事前に申請するのが原則です。
例えば「前日までに口頭で申請」「1週間前までに書面で提出」など、申請方法や期限は会社によってさまざまです。スムーズに取得するためにも、日ごろから就業規則や社内ルールを確認しておくことが大切です。
有給休暇取得の理由は「私用のため」でOK
有給休暇は、法律で認められた労働者の正当な権利です。取得の際に、理由を詳しく説明する必要はなく、基本的には「私用のため」と伝えるだけで問題ありません。
会社側も理由を深く尋ねたり、内容によって取得を拒否したりすることはできないため、安心して申請しましょう。
会社にも「時季変更権」がある
有給休暇は本来自由に取得できる労働者の権利ですが、業務に著しい支障が出ると判断された場合、会社は「時季変更権」を行使して、取得日の変更を求めることができます。
ただしこの権利はあくまで例外的なもので、単なる人手不足などの理由では認められません。基本的には、労働者の希望が優先されます。
有給休暇を取りにくいと感じたときの対処法
「周囲に迷惑がかかる」「職場の雰囲気が気になる」などの理由で有給休暇の取得にためらいを感じる人も少なくありません。ここでは、そうした不安を少しでも和らげるための考え方や対策を紹介します。
有給休暇は労働者に認められた正当な権利
「誰も有給を取得していない」「取りづらい雰囲気がある」といった組織風土による遠慮や、「体調不良や忌引きのときだけ使う」といった会社独自の運用ルールがあるケースも見られます。
しかし、これらはいずれも有給休暇を取得できない理由にはなりません。
たとえ職場に暗黙の慣習や独自のルールがあっても、有給休暇は法律で保障された労働者の正当な権利です。会社は、正当な理由がない限り、その取得を拒むことはできません。
早めに申請する
とはいえ、職場への配慮も大切です。業務に支障が出ないよう、なるべく早めに申請し、繁忙期やチームの予定も考慮しましょう。周囲との調整を意識することで、有給休暇を取得しやすくなります。
引き継ぎを行い、周りの負担を最小限に
有給を取得すると決めたら、事前に業務を整理し、同僚への引き継ぎを丁寧に行いましょう。
休暇中のトラブルを防ぐだけでなく、周囲の不安や負担を減らすことにもつながります。円滑な引き継ぎができていれば、安心して休みを取ることができ、職場の信頼関係も良好に保つことができます。
有給休暇にまつわるよくある質問
この章では有給休暇取得後の活用方法やルールについて、よくある質問を解説します。
有給休暇と法定外休暇の違いは?
有給休暇は労働基準法に基づき、条件を満たした労働者には必ず与えなければならない休暇で、取得時は賃金が発生します。
対して、法定外休暇は「夏季休暇」「リフレッシュ休暇」「誕生日休暇」など、会社が独自に定める福利厚生制度です。取得条件や有給・無給の扱いは企業ごとに異なり、法律で義務付けられているものではありません。
条件などの詳細については、就業規則でしっかりと理解しておきましょう。
有給休暇は買い取ってもらえるの?
年次有給休暇の買い取りは、“労働者の心身を回復する”という労働基準法の趣旨に反するため、原則として認められていません。
ただし、例外として「退職により取得できなくなる未使用分」や「法定日数を超えて会社が任意で付与した日数(いわゆる法定外有休)」については、買い取りが認められる場合があります。
実際に買い取るかどうかは企業の方針に委ねられており、必ずしも義務ではないため、就業規則や退職時の対応方針を確認することが大切です。
有給休暇中に副業してもいいの?
有給休暇中に副業をすること自体は法律上禁止されていませんが、就業規則で副業が制限されている場合は懲戒処分の対象となる可能性があります。
また、副業によって本業に支障が出ると問題になるため、事前に会社の規則を確認し、必要に応じて許可を得ることが望ましいでしょう。
退職時に有給休暇って消化できるの?
退職時に有給休暇を消化することは、法律で認められた労働者の権利です。退職日までに申請された有給休暇について、会社は原則として取得を拒否できません。
ただし、退職日を過ぎて有給休暇を取ることはできないため、残日数をしっかり使い切るためには、計画的な申請が必要です。
例えば、有給が10日残っていて3月31日付で退職する場合、有給の10日間を消化できるように逆算して、3月中旬に最終出社日を設定する方法が一般的です。
なお、未消化分の買い取りは企業の任意であり義務ではありません。できるだけ有給を消化できるよう、早めに上司や人事と相談しておくと安心です。
有給休暇中に転職先で働いてもいいの?
有給休暇中に転職先で働くこと自体は法律上禁止されていませんが、在職中の企業や転職先の就業規則で副業や兼業が禁止されている場合、規則違反となり懲戒処分の対象となる可能性があります。
また、社会保険の手続き上、退職前に新たな雇用契約を結ぶと手続きが複雑になります。トラブルを避けるため、特別な理由がない限り避けた方が賢明です。
体調不良・病欠は有給休暇を使えるの?
体調不良や病気で仕事を休む際に、有給休暇を使うことは法律上認められた正当な方法です。労働者が申請すれば、会社は原則としてこれを拒否できません。
ただし、有給休暇は本来「事前申請」が基本とされており、当日になって急きょ申し出る場合は、会社の就業規則や実際の運用によって対応が分かれることもあります。
また、会社が本人の同意なく、病欠を自動的に有給扱いにするのは労働基準法に違反します。体調不良で休む際は、まず早めに会社へ連絡し、有給を使いたい旨をはっきり伝えることが大切です。
有給休暇は年間休日に含まれるの?
有給休暇と「年間休日」(土日祝日や年末年始などの会社が定めた休日)は、別の制度です。年間休日は、会社全体で一斉に休業する日であり、有給休暇は労働者が個別に取得できる休暇として付与されます。
そのため、すでに年間休日として会社が休みの日に、有給休暇を申請することはできません。有給休暇を取る際は、あくまで出勤日が対象となります。両者の違いを正しく理解しておきましょう。
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有給休暇が取りやすい会社を見つけるには?
有給休暇をしっかり取得できる職場で働きたいと考える人は、近年ますます増えています。この章では、有給休暇が取りやすい会社を見極めるための情報収集の方法やポイントを紹介します。
まずは求人情報や企業ホームページなどで情報収集
有給休暇が取りやすい会社に転職したい場合、まずは求人情報や企業ホームページで「有給取得率」「平均取得日数」「休暇実績」などをチェックしましょう。
企業によっては、取得推進を明確に掲げていることもあります。
就職四季報などで情報収集
企業ごとの有給取得率や平均取得日数といった客観的なデータは、『就職四季報』などの資料で確認できます。
ただし、掲載されているのは主に大手企業であり、すべての会社が網羅されているわけではありません。
また、同じ企業でも配属部署によって取得しやすさに差があるため、あくまで目安として捉えることが大切です。
中小企業でも、近年では口コミサイトなどで福利厚生を含めた会社情報を得ることができます。ただし、内容の信ぴょう性については注意が必要です。
面接時に質問する
面接では「有給取得のしやすさ」について質問することも可能ですが、「有給は取りやすいですか?」と直接聞くよりも、「休暇制度の運用状況について教えてください」といった前向きな表現で質問すると好印象です。
または信頼できる転職エージェントなどに相談し、企業風土や実態を確認するのも有効な方法です。
有給取得率向上に注力する企業が増えている
近年、多くの企業が従業員の有給取得促進に力を入れています。実際、マイナビ「企業の雇用施策に関するレポート(2025年版)」によると、2024年に企業が従業員向けに実施した施策の中で、最も多かったのは「有給取得率向上」(29.3%)でした。
また、「特に力を入れた施策」としても有給取得率向上は第2位に挙げられており、企業全体で休暇取得を後押しする動きが広がっていることがわかります。
有給休暇を取りやすい環境づくりは、今や企業の重要な取り組みの一つといえるでしょう。
転職理由・志望動機に「有給が取りやすい会社だから」はNG?
有給休暇が取りやすいことや働きやすさを重視するのは、現代では自然な価値観です。ただし、それを志望動機の中心に据えてしまうと、「仕事への意欲が感じられない」と受け取られる可能性があります。
選考の場では、「やりたい仕事ができる」「自分の経験を活かせる」といった、職務内容に基づいた動機を軸に伝えましょう。
とはいえ、福利厚生やワークライフバランスに関心を持つこと自体は、企業研究をしっかり行っている姿勢の表れにもなります。面接の後半や逆質問のタイミングで、自然に確認するのが効果的です。
まとめ
有給休暇はすべての労働者に認められた正当な権利です。
適切に取得することで、心身をリフレッシュでき、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。
取得のルールや手続き、社内の雰囲気にためらうこともあるかもしれませんが、制度を正しく理解し、就業規則を確認しながら計画的に活用することが大切です。
また、職場への配慮として早めの申請や引き継ぎを行うことで、周囲との信頼関係を保ちつつ、安心して休暇を取ることができます。
有給休暇を上手に活用し、自分らしい働き方を実現しましょう。
執筆者
篠田 恭子(しのだ きょうこ)
特定社会保険労務士
おひさま社会保険労務士事務所 代表
1977年埼玉県川越市生まれ。システムエンジニアとして約10年勤務。仕事・子育てをしながら、2011年社会保険労務士試験に合格。2013年1月社会保険労務士事務所を開業。2014年4月特定社会保険労務士付記。2018年5月移転を機に事務所名を「おひさま社会保険労務士事務所」に変更。「働くすべての人が『楽しい』と思える職場づくりを応援します!」を経営理念に掲げ、地域の企業を元気にするために、日々活動している。
全国社会保険労務士会連合会、埼玉県社会保険労務士会、埼玉県社会保険労務士会 川越支部所属。
マイナビ転職 編集部
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