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産休・育休中、給料は出ない? もらえる給付金の計算方法・期間を解説

産休・育休中、給料は出ない? もらえる給付金の計算方法・期間を解説

長く仕事を続けるうえで、ライフステージは多様に変化していきます。なかでも出産・育児のように休業を伴う変化の場合、特に気になることは多いですよね。

出産・育児休業の取得対象や条件は? 休業中、給料は支給される? 給付金の支給金額は、大体いくら? など、日常生活にも直結する点に関しては、事前にある程度知っておいたほうが、いざという時に安心です。また転職活動中の際には、「転職後すぐに妊娠が発覚した場合でも、産休・育休の制度は使える?」といった点も知っておきたいですよね。

出産・育児休業の基本的な情報から、この制度を下支えする一時金や給付金、転職を検討している際の注意点まで詳しく解説します。

目次

    産休・育休中には、給料は支払われないって本当?

    会社員として仕事をする中で、出産や子育てのタイミングが訪れた際、一番に気になるのは「休業した場合の収入はどうなるのか」という点ではないでしょうか。直前になって焦ったり、情報の収集漏れがあったりしないよう、事前に基礎的な知識は持っておきたいもの。

    混同されることも多い産休・育休それぞれの制度を説明したうえで、給料の取り扱いについて解説します。

    そもそも産休・育休とは、いつ誰が、どのくらい取れるもの?

    まずは、ひとくくりにされることもある産休・育休について、それぞれの仕組みを理解しましょう。

    産休・育休には、「産前・産後休業」「育児休業」「産後パパ育休(出生時育児休業)」の3種類が存在します。一つずつ、順を追って説明していきます。

    出産する女性が対象の「産前・産後休業」

    一般的に産休と呼ばれる休業制度は、正式名称を「産前・産後休業」と言います。その名のとおり出産する人を対象とするため、女性のみが取得できる休業です。
    雇用形態や雇用期間は問わず、出産前準備のための産前休業と出産後、体の回復のための産後休業は、すべての女性従業員が取得対象となります。

    産前休業は任意のため、出産の6週間前以降で設定することが可能な一方、産後休業は義務となっており、産後8週間が休業期間と決められています(ただし、6週間を経過した女性が請求した場合で医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えない)。産前・産後休業は、同時に申請を行います(労基法第65条より)。

    子どもの養育をする男女が対象の「育児休業」

    通称育休と呼ばれる育児休業は、男女両方が取得対象となります。

    自営業やフリーランスを除く働く男女で、1歳未満の子どもを養育する場合に取得できます。最長で子どもが2歳になるまで2回に分けて取得することができ、申し出の期限は休業の1カ月前(原則)までと決められています。

    契約社員やパートといった有期雇用の社員でも、子どもが1歳6カ月までの間に契約が満了する場合を除いて、取得の対象となります。

    出生後8週間以内の子どもがいる男性が対象の「産後パパ育休」

    育児休業とは別に、2022年10月に創設されたのが「産後パパ育休(出生時育児休業)」です。

    産後パパ育休では、産後8週間以内であれば2回に分けて最大4週間(28日)の休みを取得できます。通常の育児休業では原則1回しか取得できなかったため、これを機に男女共2回まで育児休業の取得が可能になりました。

    申し出の期限は、原則的に休業の2週間前までです。

    産休・育休中は原則、給与の支払いは「なし」

    産休・育休は有給休暇ではないため、ほとんどの企業で給料の支払いはありません。まれに、産休・育休中に給料の一部あるいは全額を支払う企業もありますが、「原則的にはない」と思っておきましょう。

    「給料が出なかったら、産休・育休中は無収入なの?」と不安になるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。国や自治体が補償制度を用意しており、給料の50%~70%に相当する手当や給付金を受け取ることができます。

    では一体どんな種類の手当・給付金があるのか、どのように申請し、受け取ることができるのか。詳細について以下で見ていきましょう。

    【産休・育休中に給付されるお金(1)】出産育児一時金

    【産休・育休中に給付されるお金(1)】出産育児一時金

    産休・育休中の給料が出ない期間に、健康保険や国民健康保険から支給されるのが「出産育児一時金」です。支給対象や受け取れる金額の計算方法などについて説明します。

    原則的に、出産する子ども1人につき50万円が支給される

    出産育児一時金は、子ども1人につき、原則50万円(本人支給分48.8万円+産科医療補償制度の掛金分1.2万円/令和5年9月現在)が支給されます。よって多胎出産の場合には、「子どもの人数×50万円」の金額を受け取ることができます(令和5年4月1日以降より42万円から50万円に増額)。

    健康保険の場合は健康保険組合等から被保険者に、国民健康保険の場合は各自治体等から世帯主に支給されます。

    事前に確認しておきたい「直接支払制度」とは

    「直接支払制度」とは、被保険者等に代わって医療機関等が出産育児一時金の申請・受け取りを行う仕組みです。

    直接支払制度を使用すれば、出産にかかった高額な費用を医療機関などの窓口で直接支払う必要がありません。また出産費用が出産育児一時金より少額の場合には、別途必要な手続きを経て、差額の受給も可能です。

    医療機関によって直接支払制度の利用不可が分かれるため、実際に出産予定の医療機関などに事前に確認しましょう。

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    【産休・育休中に給付されるお金(2)】出産手当金

    産休中に給料の支払いがない場合、勤務先の企業が加入している健康保険から被保険者へ支給されるのが「出産手当金」です。受給対象や手当金の金額、計算方法などについて見ていきましょう。

    正社員だけでなく、パート・アルバイトも受給の対象

    出産手当金は、産休取得の対象となる従業員であれば、雇用形態は関係なく受給できます。金額は、通常の給料をベースに、「【支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×2/3×欠勤日数」という計算で支払われます。

    出産手当金の受給期間は、社会保険料の支払いが免除される

    健康保険・厚生年金の保険料といった社会保険料の支払いは、出産手当金の支給期間中は免除されます(本人負担および会社負担共に免除)。支払いの免除期間中であっても、保障は通常どおり受けることができるほか、免除期間も納付期間として取り扱われるため、将来的な厚生年金の受給への影響もありません。なお、雇用保険料については、給与が会社から支払われていなければ雇用保険料の負担はありません。

    【産休・育休中に給付されるお金(3)】育児休業給付金

    出産に関わる一時金や手当のほかに、育児休業を取得した際に支給される「育児休業給付金」が存在します。給付の対象となるのは、勤め先の会社が加入している雇用保険の被保険者です。

    育児休業取得者であれば受給することができますが、条件・状況によっては受給対象外になるケースもあります。受け取ることができる金額の計算方法や、注意点について説明します。

    休業期間によって受取金額が変わる、育児休業給付金

    育児休業は、会社員が1歳未満の子どもの養育のため取れる休み(条件によって、最長2歳まで2回に分けて取得可能)です。育児休業給付金によってもらえる金額は、休業期間の長さによって異なります。

    休業期間6カ月(180日)の間は「休業開始時賃金日額×休業期間の日数×67%」、それ以降育休終了時までの期間は「休業開始時賃金日額×休業期間の日数×50%」という計算で、支給金額が決まります。

    また出産手当金と同様に、育児休業給付金の給付期間中も社会保険料の支払いは免除されます。産休・育休中に年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合、給与収入が103万円以下)となり、かつ配偶者の所得額が1,000万円以下の場合には、一時的に配偶者の扶養に入り「控除対象配偶者」となることも可能です。

    気を付けたい「受給対象外」になるケース

    育児休業給付金は復職を前提とした制度ですので、育児休業を取得する時点で退職予定の場合には受給対象外となることは、覚えておきましょう。何らかの事情で育休中に退職した場合も、退職当日を含む支給単位期間(育児休業を開始した日から起算した1カ月ごとの期間)以降は、給付金の支給はありません。

    更に、給付金の各支払期間に10日を超える出勤をしたり、休業開始時賃金月額の80%以上の金額を会社から給与として支払われている場合なども、給付の対象外となるので注意しましょう。

    転職直後でも産休・育休は取得可能? 一時金や給付金は受け取れる?

    転職直後でも産休・育休は取得可能? 一時金や給付金は受け取れる?

    転職活動をしている場合に気になるのが、「もし転職直後に妊娠が発覚したら?」という点でしょう。転職してすぐ、産休・育休を取得することはできるのか? 給料はどうなる? 給付金や手当の対象になる? などについて解説します。

    産休は転職直後でも取得可能。育休は取得の対象外とされる可能性も

    産休(産前・産後休業)は、任意で取得できる産前休業と、義務とされている産後休業の2つを指しています。雇用形態にかかわらず、女性社員から産休の申し出がある場合には、企業は応じる必要があります。これは労働基準法によって定められており、「転職後いつから取得可能」といった条件はありません。

    1歳未満の子どもの養育のために取得できる育休(育児休業)についても、原則的には転職直後から取得が可能です。ただし育休に関しては、労使協定によって一部の従業員を育休取得の対象外と定める場合があります。以下3つのいずれかに当てはまる場合には、対象外となり得ますので、気を付けましょう。

    • 入社1年未満の従業員
    • 申し出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
    • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

    転職直後でも受け取れる:出産育児一時金

    出産育児一時金は、出産時の費用負担を軽減することを目的に支給される制度です。転職のタイミングに関係なく、在籍中の企業が加入している健康保険組合等から支払われます。

    また、産後すぐに書類申請の手続き(直接支払制度等)を行うことが困難な場合などは、事後申請を選ぶことも可能です。事前に健康保険組合等から「出産育児一時金支給申請書」を入手して記入し、出産予定の産院にて「出生証明欄」に記入してもらいましょう。同申請書を出産後に健康保険組合等に提出すると、通常約2週間から3週間程度で指定の銀行口座に出産育児一時金が入金されます。

    転職直後は受け取れない:育児休業給付金

    育児休業給付金は、その名のとおり育児休業を取得した際、取得期間と休業開始時の賃金に応じて支給される給付金です。前述のとおり育児休業は、転職直後には取得の対象外となる場合があります(労使協定によって定められた「育休取得対象外の従業員」に当てはまる場合)。育児休業が取れなかった場合には、当然育児休業給付金の支給もありません。

    育児休業給付金支給の対象となる条件は、以下のとおりです。

    • 1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であること(一定の条件を満たす場合は1歳6カ月または2歳に達するまでの各年齢)
    • 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12カ月以上あること
    • 育児休業中の1カ月ごとの期間の就業日数が10日以下または就業時間数が80時間以下であること
    • 支払われた賃金の額が休業開始時賃金月額の80%未満であること 等

    前の会社を退社してから転職するまでに期間が空いている場合には、雇用保険の継続状況を確認しておきましょう。

    転職直後に育休・産休を取る際には、マナーも大事

    転職直後に妊娠が発覚した場合には、なるべく早い段階で会社に申し出ましょう。「言い出しにくい」と感じるかもしれませんが、会社側にも準備の時間が必要です。

    必要な手続きを計画的に進めたり、時間に余裕を持って休業中の体制を整えることで、本人的にも産休・育休に入りやすくなりますし、周囲からのサポートも受けやすくなります。産休・育休を取る際のビジネスマナーだと思って、早めに伝えるようにしましょう。

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    【まとめ】安心して産休・育休を取得するためには、正しい知識が強い味方

    産休・育休それぞれの制度についての詳細や、休業を取得する際に受給できる一時金や手当について説明してきました。いかがでしたか?

    「産休・育休」とひとくくりにされることもありますが、実際には、複数の休業制度が存在し、その休業を支えるためにいくつもの金銭的な保障制度があります。それぞれの休業の対象者は誰で、いつからどのくらいの期間取得することができ、その間はどういった金銭的サポートが受けられるのか。具体的に知れば知るほど、安心して産休・育休の取得ができるのではないでしょうか。

    また、転職のタイミングを検討する際にも、事前に調べるべきことを整理しておくことも大事です。正しい知識を味方に付けて、出産・育児というライフステージの変化をスムーズにスタートさせてくださいね。

    監修者

    塚本泰久さんのプロフィール写真

    【記事監修】塚本泰久 ツカモト労務管理事務所 代表

    社会保険労務士。関西地区を中心に、地域に密着した親切丁寧な事務所を目指しています。会計事務所での経験から、企業の労務管理と財務状況とのバランスを重視した適切なアドバイスを行うことで、より良い企業の体制作りをサポートしています。

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