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第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

Vol.75写真家 川内倫子
ぶれない軸を持つ

Heroes File Vol.75
掲載日:2012/5/18

川内倫子さんの写真1

国内外で注目される写真家、川内倫子さん。現在も意欲的に作品を発表し続けている彼女だが、自身の作品を世に出すために苦しんだ時期のこと、短大卒業後からずっと続けてきた作品作りへの思いなどを語ってくれた。

Profile

かわうち・りんこ 1972年滋賀県生まれ。成安女子短期大学卒業。2002年に写真集『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。主な著作は『AILA』『Cui Cui』や昨年発売した『Illuminance(イルミナンス)』など多数。12年7月16日まで東京都写真美術館にて「川内倫子展 照度 あめつち 影を見る」が開催中。

感覚も残すアルバムを作り始めた高校時代

国際的に注目される写真家、川内倫子さん。作品のモチーフは、日常的に存在するものからダイナミックな自然まで幅広いが、淡い光を通し、一貫して「この世界や命は不思議なものなんだ」という静かな驚きを感じさせる。
開催中の個展では、2011年、世界5カ国で同時発表した写真集の一部と、阿蘇の野焼きなどを撮影した新作を公開している。「展示では、写真家として独立して15年が経った私の、作品が移り変わっていく転換期のような部分も出せればと思って構成しました」
川内さんが生まれたのは滋賀県。4歳から大阪で育ち、図書館が大好きな子供だった。
「たくさんの本に囲まれる感じが好きでした。本を開けばどんな時でも別の世界に行ける。本を開いて得られるトリップ感は、ある意味、幼少期の私を救ってくれました」
高校の修学旅行で海に行った時、コンパクトカメラで初めて意識的に風景を撮った。
「この時感じたことを残すには、友人たちが写ったスナップ写真だけでは表現できないと思い、友人にあげるアルバムの所々に海の写真を挟んで構成しました。この頃から、構成して一冊に編集するのが好きでしたね」
短大ではグラフィックデザインを専攻し、ここで写真のプリントの面白さにはまる。写真家になるという強い自覚はなかったが、作品作りのためのテクニックを学びたいと大阪の広告制作会社の写真部に就職した。

テクニックは働きながら学ぶ

川内倫子さんの写真2

「技術的なことは全て分かっているような顔をして就職しました。でも、実際は何も分からなかったので、この会社がまるで学校のようでした。いい先輩に恵まれ、写真の奥深さも技術もここで学びましたね」
その後この会社の写真部が解散したことをきっかけに上京し、東京のスタジオに経験者として就職する。
「ところが、大阪では物撮りがメーンだったので、モデル撮影の流れがよく分かりませんでした。それでまた一から学び直し。でも、『自分は自分自身の作品を撮るためにスタジオで働いている』という軸はぶれなかったですね」
少ない給料でやりくりしながら、休日は自分の作品作り。撮りためた写真をまとめて課題を提出するという大学時代の習慣から、課題の代わりに公募の賞に何回か応募した。
そしてスタジオを辞めて半年経った頃、新人の登竜門「ひとつぼ展」(現「1_WALL」展)でついにグランプリを獲得。「それまでは自信作を出品して駄目でしたが、この時は恥ずかしいと思うぐらい自分らしい作品での受賞でした」

独り立ちを焦ってもやり続けるしかない

24歳で新人登竜門の公募展でグランプリを受賞した川内倫子さん。作品にほれ込んだ当時の審査員、浅葉克己さんから広告撮影の依頼もくる。仕事の依頼は増えていったが、そのうちに仕事と作品作りのバランスを取ることが難しくなり、次第に精神的に追い込まれていった。
「その頃は写真家として認められたい気持ちが強かったので、広告の仕事が増えて逆に焦りを感じていました。そのためバランスを完全に失って気持ちが落ち込んでいた。でも自問するたび、やはり写真をやめることは考えられない。ならばやるしかない、この世界でやっていくと、そう自覚した瞬間があった。その時のことは今でも覚えています」
気持ちを一新して雑誌出版社やアートディレクターに自分の作品をまとめたブックを見せて回り始めると、徐々に声がかかるようになった。
「写真集を出版することの前に、まずは写真家としての独り立ちを目指してブックを作り、いろんな人に見てもらおうと決めたんです。雑誌などの依頼の仕事は難しくてやりがいがありました。その分、依頼がきて仕事をし、それに対してよかったよと言われ報酬をもらえる、この一つ一つが励みになりましたね」
その後も雑誌の仕事の依頼はコンスタントにきて、忙しい日々が続いたが、「写真集を出したい」という当初からあった思いはますます強くなっていった。そこでその目標を実現するために、川内さんは出版社を回り始める。世間的にはまだ知られていない新人だったため、なかなか出版にこぎつけることができなかったが、最終的に出版社が見つかり、3冊の写真集の同時出版が決まる。

自分が見たかったものは作品が教えてくれる

川内倫子さんの写真3

同時に刊行したその3冊の写真集のうち2冊で写真界の芥川賞と言われる木村伊兵衛写真賞を受賞。その後も毎年写真集を出し、世界各国で個展も開催する。そんな川内さんが、これまでどんな時でも写真を撮り続けてこられたのはなぜだろうか。
「それはマラソンをする人が、苦しくても走った先に何かがあるからと走り続けるのと似ている気がします。抱えている何かを私は写真を撮ることで浄化しているのかもしれない。でも根底は高校生の時と変わっていないですね。作品作りが好き。撮影では分からなくても、作品ができた時に自分が何を見たかったのかがよく分かる。この発見が面白くて。それは自分が生きる理由を求めた時、答えでなくともキラリとした光を見せてくれる。それを人とシェアできることが、喜びですね」

ヒーローへの3つの質問

川内倫子さんの写真4

現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

なかなか思いつかないですが、料理家かな。

人生に影響を与えた本は何ですか?

佐藤さとるさんのコロボックル物語シリーズ『だれも知らない小さな国』。今でも私は小人はきっといると思ってるし、そういう見えない世界を何のためらいもなく受け入れられることって、すごく大事じゃないかと思っています。だってもしも「現実って見えているこれだけがすべて」となると、すごくつまらないじゃないですか。見えない世界は、常にこの世界と背中合わせだと思うし、その感覚が私の作品世界にも流れているので、そういう部分でも支えになってきた本です。

あなたの「勝負●●」は何ですか?

その日の朝、半身浴で汗をかきますね。基本的に、朝は半身浴かホットヨガで発汗します。いらないものが体から出ていくと、すごくリフレッシュしてその日が始められる気分になるのでいいですよ。

Infomation

「川内倫子展 照度 あめつち 影を見る」が5月12日(土)より開催中!

2011年に世界5カ国で同時発売された写真集「Illuminance」に加え、今回新たに阿蘇の野焼きをはじめとする被写体で構成した「あめつち」、渡り鳥の群れを撮影した「影を見る」が公開される。
「阿蘇の風景を見たときに、これは前に夢で見た風景だと感じたんです。しかも野焼きは前から気になっていたモチーフだったので、その場所で野焼きも行われていると知って通い始めました。『あめつち』はその他に4つの被写体で構成しています。渡り鳥は、毎年同じ時期のほぼ同じ時間に現れますが、群れの動きの不思議さに魅かれて撮影しました。自分が撮影しながら感じたことを見に来てくださった人たちと共有できたらうれしいですね」(川内倫子さん)

「川内倫子展 照度 あめつち 影を見る」
会期/2012年5月12日(土)~2012年7月16日(月・祝)
会場/東京都写真美術館
問い合わせ/東京都写真美術館 03-3280-0099
公式サイト/http://www.syabi.com

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