
サイバーエージェントに転職し、“スマホ開発なら何でもできる”エンジニアを目指す

転職者プロフィール
株式会社サイバーエージェント
アメーバ事業本部 スマートフォンディビジョン サービスディベロップメントグループ システムエンジニア
甲斐麻委さん(29歳・2011年5月入社)
【仕事内容】
仕事内容:メーカーから受託した携帯電話やスマートフォン向けのプリインストールアプリ(単体動作のネイティブアプリ)の開発
開発言語:C、Java
↓
アメーバの各種ソーシャルアプリ(Webアプリ/ネイティブアプリ)、新規SNSの企画・開発
開発言語:Java、Objective-C
地方から東京へ/組み込み開発→スマートフォンアプリ開発への転職
地方で働くエンジニアが転職を考える際、「理想の仕事を最優先にするか、地元での仕事を優先にするか」は大きな悩みの1つである。
甲斐麻委さんは、理想の仕事を求めて福岡から東京へ転職し、新たなスキルを身に付けると同時に、再び地元で活躍するチャンスを手にした1人だ。
甲斐さんは前職でフィーチャーフォンアプリの組み込みアプリ開発を行っていた。現在はその経験を生かし、サイバーエージェントでiPhone/Androidアプリ開発に従事している。
iPhoneアプリ、Androidアプリ両方を開発できるエンジニアは同社でもまだ少ない。「転職で、キャリアの選択肢が増えた」と語る甲斐さんに話を聞いた。
福岡で5年間、フィーチャーフォンの組み込み開発を経験
甲斐さんは2005年、横浜に本社を構えるシステム開発会社の九州支社に新卒で入社した。業務は大手メーカーからの受託案件が中心で、フィーチャーフォンのミドルウェアやプリインストールアプリの組み込み開発がメインだった。カメラやワンセグチューナーなど、端末に搭載されているハードウェアを利用するための各種ソフトウェアを開発していた。
もともと甲斐さんは法学部出身で、プログラム開発のスキルは入社後に学んだものだ。そのため入社後の数年間は開発スキルの習得に追われていたが、プロジェクトの数をこなしていくうちに、あらためて自分の仕事を見つめ直すようになったという。
「きっかけは2つありました。1つは受託開発の限界を感じてしまったこと、もう1つは自分の将来像に不安を感じたことです。前社の開発ではメーカーの意向が絶対であり、開発現場から提案する機会はほとんどありませんでした。何度も“こうした方がもっとうまくいくのに”という悔しい思いをしました。春夏秋冬にそれぞれ新製品を発売するサイクルが決まっている、という開発のマンネリ化もあり、単調な開発サイクルに退屈を覚え始めた頃です」
このままだと、自分の将来像が見えない。もっと自分のアイデアを生かせる仕事がしたい。甲斐さんは、2010年10月ごろから漠然と、転職を考えるようになったという。
武器は組み込み&アプリ開発。転職先はWebサービスを選ぶ
「転職を機に、いっそエンジニアを辞めることも検討しました」
しかし、新卒入社で身に付けた開発スキルをもっと生かしてみたいという思いは強く、IT業界に踏みとどまることにした。「では一体、どこに転職しようか?」と考えたときに初めて甲斐さんは、「IT業界の全体像をまったく知らない」、「その中で、自分がどの位置にいるのか分からない」ということに気が付いたという。転職活動は、業界リサーチ、そして自分の立ち位置について知るところから始まった。
「調べていくうちに、自社サービスを開発している企業なら、自分のアイデアや意見を提案しやすく、企業と自分が一緒に成長できるのではと考えました」
自社サービスを提供する企業の中でも、甲斐さんは特に「Webサービス」に注目した。甲斐さんの開発経験のほとんどはフィーチャーフォンアプリだったが、2010年ごろからぽつぽつとAndroidアプリの開発案件も担当していた。当時はまだスマートフォンアプリの開発経験者が市場に少なかったので、「いいアピールポイントになるのでは」と考えたそうだ。
地方からの転職活動の大変さと、スキルに対する不安
Webサービスを開発する企業のほとんどは東京にあったため、甲斐さんは福岡で働きながら東京にオフィスを構える企業への転職活動を始めた。SNSを提供する企業やアプリ開発をメインに行う企業を中心に、求人への応募を開始した。
その際、面接のために上京する時間や交通費は大きな負担となった。限られた回数で、複数社の面接を効率良く受けていかなければならない転職活動は、正直大変だったという。
また、「自分のスキルが果たして認められるのか」という不安もあった。単体で動作するネイティブアプリの開発から、WebアプリやWebと連携するネイティブアプリの開発は異なるところが多いのでは、と甲斐さんは感じていた。
しかしサイバーエージェントでの面接で開発統括責任者にその不安を打ち明けたところ、「今のスキルは生かせるし、持っていないスキルは実務を通して身に付けられる」と言われたという。「その言葉に後押しされた」と、甲斐さんは当時を振り返る。
「サイバーエージェントへの入社の決め手は、以前からアメーバのサービスを利用していたこと、面接で風通しの良さを実感できたことです。また、唯一、Skypeでの面接を許可してくれた柔軟さや、交通費を補助してくれたことも魅力に感じましたね」
甲斐さんは2011年5月に、サイバーエージェントに転職する。
未経験のiPhoneアプリ開発にアサイン! Objective-Cは1週間でマスター
転職して最初の仕事は、iPhoneアプリの開発だった。入社後は、経験のあるAndroidアプリの開発を担当することになると思い込んでいた甲斐さんは驚いた。いきなり未知の分野のプロジェクトにアサインされたことに対する不安は、あったのだろうか。
「びっくりしましたが、前職でCやJavaを習得していたので、Objective-Cは1週間ほどソースコードを読み込んで勉強しました。何より助かったのは、周りの人とのコミュニケーションが取りやすかったことです。『何か分からないことがあれば先輩に聞ける』という環境が整っていたので、しっかり勉強できました」
これまで経験のなかったWebアプリケーションシステムや連携の方法についても、サーバエンジニアに聞きながら覚えていったという。
いつでも社内のスタッフに質問できるため、分からないことはすぐに解決できる。さらに、スキルアップ面では同社の「サポート10」という制度が大いに役立った。この制度は、1人当たり年間10万円まで、自分の業務に必要なことに使えるというもので、甲斐さんはその一部を参考書籍の購入代金として利用した。他のスタッフは、外部セミナーの受講やデュアルディスプレイ、デバイス購入などにも利用しているという。
エンジニアとしての“市場価値”がアップ。前社での経験も強みに

結果的に、iPhoneアプリの開発経験は、甲斐さんのスキルをアップさせ、エンジニアとしての“市場価値”を大幅に高めてくれた。AndroidとiPhoneアプリ両方の開発スキルを身に付けているエンジニアは、業界的にも、また同社でも非常に数少ないためだ。
さらに、これまでのミドルウェアアプリ開発の経験もうまく生かし、自分の強みにできている、と甲斐さんは話す。
「Androidに関しては開発中のアプリが正しく動作しない時の原因究明に、アプリケーション層だけでなく、フレームワーク層まで見ていけるのは、組み込み開発時代の経験があってこそだと思います」
入社以来、甲斐さんは『つりポン』『妄想電話LIFE』『ME_HERアプリ』など、アメーバのサービスの中でも人気があるタイトルの開発に参加してきた。現在は、新規SNSの企画・開発にも携わっている。
転職したことによって、甲斐さんは自分の目指したい方向性がはっきりしてきた、と語る。
「自分の強みを生かし、スマートフォンについてはネイティブもWebアプリもできるエンジニアになりたいんです。そのためにこれからはHTML5やJavaScriptなど必要な技術を習得し、スマートフォン開発エンジニアとして活躍していきたいです」
「地元・福岡を盛り上げるエンジニアになりたい」
転職時に目指していた「アイデアを生かせる仕事がしたい」という目標は、実現したのだろうか。
「個別のプロダクト面では、まだコレと言えるものはありませんが、入社後すぐに実施した上司との面談の時に地方の開発拠点展開の話を提案したところ、実際に福岡拠点が開設されることになりました」
福岡には大手メーカーの開発拠点があり、自分と同じような考えを持つエンジニアがたくさんいるはず、というのが、甲斐さんが福岡を推挙した理由だ。
「しばらくは東京で実績を築き、将来は地元である福岡に帰って、福岡を盛り上げたいと思っています。これが私のもう1つの夢ですね」
転職する前は自分の行く先が見えなかったという甲斐さんは今、「やりたいこと」をはっきり笑顔で語るようになっていた。
福岡の拠点開設が現実のものとなった今、甲斐さんの夢はさらに広がっている。
人事に聞く、甲斐さんの評価ポイント
甲斐さんは以前、携帯端末の組み込みソフトウェア開発やAndroid用アプリケーション開発を担当していました。前職では、組み込みアプリの開発でC言語の経験が5年、Android用アプリの開発でJavaを1年というスキルセットを持っていました。
当時、スマートフォンアプリの開発に力を入れていた当社としては、意識的に組み込みアプリの開発経験者を募集していたこともあり、高い期待値がありました。
彼女はとにかく明るく、面接では笑顔でハキハキと受け答えをする姿勢が好印象でした。前職でAndroidアプリ開発という未経験のプロジェクトに挑戦している姿勢や、プロジェクトリーダー経験も高評価でした。
実際、今の開発現場でも、周囲のメンバーへの気遣いやフォローアップが丁寧で、信頼を集めています。キャリア採用や働く環境などについても積極的に意見をくれるため、人事としても助かっています。
※企画・制作:@IT自分戦略研究所編集部
※JOB@ITの記事(2012年2月)に再編集を加えて掲載しています。
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