
採用がないことをチャンスに変える!
採用がないからといって、求人ニーズがないとは限らない
企業は常に戦力アップを考えているものです
転職したい企業が中途採用を行っていない場合、ほとんどの人はそれ以外の企業から応募先を選びます。しかし、採用がなくても諦(あきら)めないでください。チャンスは自ら作り出せるのです。
中途採用とは、主に各部署の戦力拡充や、新部署・新店舗の設立に伴う増員、退職者の欠員補充などのために行われます。重要なのは、企業は常に組織全体の戦力の増強を考えているということ。より強い組織にするための新たな人材の活用は日々検討されています。
従って、中途採用の告知がなくても求人ニーズがないわけではありません。また希望の職種の募集がない場合も、アプローチする前から諦めてしまうのはもったいないことです。例えば営業職の募集はあっても、希望する事務職の募集はないといった場合があります。それでも、事務職として戦力になる人材と判断されれば、募集をしていなくても採用されることはあるのです。
自らのアクションによってチャンスを作り出そう
中途採用がない場合のアプローチ方法には、3つのステップがあります。ステップ1は人事部の責任者に電話をすることです。現在募集しているか、今後募集する予定はあるか、例年だといつ募集するのかを確認してみましょう。大切なのは問い合わせをした際、相手の氏名を伺い、すぐに礼状を速達で出すこと。こんな簡単なことでもほとんどの人がしていませんから大きな差がつきます。
募集予定が全くないと回答された場合は、ステップ2に移ります。ここでは志望部署の責任者に求人がないかを聞きます。手紙を書き、その到着翌日に電話をします。この場合も大切なのは電話で話した後に速達で出す礼状。手紙が2回届くことになり、あなたの熱意と律儀さがプラスの印象を与えます。
最後にステップ3です。それは社長に手紙を書くこと。文面には、既に人事部の責任者や志望部署の責任者にも採用選考の依頼をしたこと、及び仕事でどのように貢献したいか(抱負)をしっかり書き、自分の連絡先を書き添えるのです。これは大変勇気がいることかもしれませんが、専門商社への転職を成功させたIさんはここまでやっていました。「中途採用を行っていない企業は誰も応募しないのでライバルがいない。だから自分だけを見てもらえる」とプラス思考でとらえ、粘り強く努力しようと決意したそうです。Iさんは、社長から直接電話をもらい、面接の機会を得たということです。
ただし、中途採用をしていない企業への転職は容易なことではありません。希望の企業に固執するばかりでは転職成功の可能性は極端に狭まります。当然ですが、門戸を広げて募集している企業を研究し、チャレンジすることも重要です。
case study 12企業へのアプローチ方法と、手紙の基本文例
中途採用を行っていない企業へのアプローチ方法の詳細を紹介します。企業の扉を自ら叩くということには、それだけエネルギーも必要となります。簡単にはいきませんが、前向きにチャレンジしてください。
中途採用をしていない企業へのアプローチ方法の詳細
前ページで紹介した3つのステップを、ステップ毎に詳しく説明します。他の転職希望者とは大きな差別化ができるので、勇気を出して行ってみてください。あなたの行動力の高さが、扉を開くカギとなります。ただし、最近採用をしたばかりなど増員予定がしばらくない場合も当然あり得ますので、転職を急ぐ場合は現在募集をしている企業への併願も必ず行うなど臨機応変に対応してください。
ステップ1 人事部の責任者(または採用担当者)にアプローチする
1.人事部など採用担当部署に電話をして、責任者(担当者)への取次ぎを依頼する(最初に手紙を出してから、電話をしてもよい)
「わたくしは○○と申します。採用の件でお電話させて頂いているのですが、採用の責任者(担当者)の方にお取次ぎ頂けないでしょうか」
2.求人の予定について聞いてみる
「現在、求人の予定はありますでしょうか。また、今後はいかがでしょうか。ぜひとも御社に応募させて頂きたいのでよろしくお願いします」
3.氏名を確認し、必ず礼状を速達で出しておく ※人事部の責任者(採用担当者)との人脈づくりをしておく
「ご親切にいろいろと教えてくださいまして、誠にありがとうございました。恐れ入りますが、お名前をお伺いしても宜しいでしょうか。(相手が名乗ったら)ありがとうございます。○○様には心より感謝しております。今後ともよろしくお願いします」
ステップ2 志望部署の責任者にアプローチする
1.志望部署の責任者の氏名を調べる(会社の代表電話にかけて聞くとよい。志望の部署に電話をして、出た方に聞く方法もある)
「御社○○部への転職を希望しているので、失礼のないように責任者の方のお名前をしっかり確認しておきたいので、恐れ入りますがよろしくお願いします」
2.志望部署の責任者宛に、最初に手紙を出す(※下記基本文例を参照)
3.手紙が到着するタイミングを把握しておき、その翌日に志望部署の責任者に電話する ※決裁権を持つ立場の人にアプローチすることが大切
「わたくしは○○と申します。○○様宛に速達で、採用選考に関する資料を送らせて頂いたのですが、ご覧くださいましたでしょうか」
4.求人の予定について聞いてみる
「わたくしはそちらの部署でぜひ働きたいと思っているのですが、現在、求人の予定はありますでしょうか。また、今後はいかがでしょうか。ぜひとも応募させていただきたいので、さしつかえなければ教えていただけませんでしょうか。よろしくお願いします」
5.電話対応に対するお礼を伝え、後日必ず礼状を速達で出しておく ※部門の責任者との人脈づくりをしておく(ステップ1の3参照)
ステップ3 社長にアプローチする
1.社長宛に、最初に手紙を出す(※下記基本文例を参照)
2.10日間経っても連絡が何もない場合は、再度選考依頼の手紙を出す。ただし、2回目の手紙文面の中には、「増員が必要になった際や欠員が生じた際には、お手数ですが真っ先にご連絡をいただけますと幸いです」という一言を入れる。熱意と共に謙虚さも伝わる。
※本気で志望している企業なら、手紙を2回程度出すのは自然な行為であり、悪印象につながることはない。むしろ文面がしっかりしていれば大きなプラス印象を与えることができる。
中途採用をしていない企業への(応募の)手紙の基本文例
この基本文例に自らの創意工夫を加えて手紙を作成し、各ステップで活用してください。基本文例の赤いフォント、青いフォントの部分に、ご自分の言葉を盛り込んでください。青いフォントの部分は特に重要です。
働きたい部署の責任者や社長(ステップ2、ステップ3)に手紙を出す場合は、青いフォントの部分の文章の最後に、すでに他の方々にも採用選考の依頼をしている(連絡を取っている)ことも書き添えておきましょう。職務経歴書やビジネスモデル提案書を同封するのも効果的です。

手紙を書く際の注意点
PCソフトで作成した文書よりも手書きをおすすめします。手書きにすると気持ちがこもり、志望の熱意が受け取り手にしっかりと伝わるからです。手書きに自信がない人の場合は、もちろんPCソフトで作成してた文書でも構いません。詳しくは、Vol.2「採用担当者の印象をアップする応募書類作成法」を参考にしてみてください。
プロフィール
就転職・キャリアコンサルタント
坂本直文(さかもと・なおふみ)
キャリアデザイン研究所代表。劇的就職塾主宰。大学講師。全国各地の大学にて年間200回以上講義。著書多数。近著に『就活ノート術』(日本実業出版社)、『人生のエントリーシート』(PHP研究所)。
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