
転職活動に踏み出せない不安を解消する
求人情報は見ているけれど次の一歩を踏み出せない
ポジティブになるコツをつかみ、成長のチャンスをものにしよう
「転職したい」といつも言っているのに、具体的な行動は何もしていない。あなた自身や周囲に、このような人が結構いるのではないでしょうか。転職したい気持ちは潜在的に強くても、転職に対する漠然とした不安が大きくて一歩も踏み出せないでいるようです。中には何年も「求人情報を見ているだけ」という人も珍しくありません。
具体的に動き出せない原因は、応募しても落とされるかもしれないという「恐怖心」、今の勤務先よりも雇用条件や人間関係が悪くなるかもしれないという「不安」、努力しても無駄ではないかという「諦(あきら)め」などが多いようです。
転職したいのに、いま一つ行動に移せないなら、こういったネガティブな感情がないか考えてみましょう。このような不安を抱えたままでは、いつまでも現状維持で終わってしまう可能性が高くなります。まずは、転職活動を前向きにとらえることが重要です。
転職活動を前向きにとらえる三つの方法
そこで、転職活動を前向きにとらえる方法を三つ紹介します。1.内定を得ることではなく、自分に合う企業を探すことを第一目的とする。2.面接官は自分の味方と思う。3.転職活動を通して成長した点を記録しておく。
多くの転職希望者は、内定を得ることを第一目的にしています。だから、選考に落ちることに恐怖を感じるし、実際に落ちると大きなショックを受けるのです。転職の本来の目的は「今の勤務先よりももっと自分に合った企業に移ること」。自分に合わない企業は、むしろ落ちたほうが良いと割り切れば、必要以上に恐れなくなります。
また、面接官を「言い負かさねばならない敵」のような存在に感じて恐怖感を持つ人もいますが、これも大きな誤解です。面接官はあなたがその企業に合っているか、活躍できるかを合理的に判断、助言してくれる味方なのです。恐れる必要も緊張する必要もありません。適切な判断をしてもらえるよう心を開いて接することが大切です。
そして転職の面接を受ける度に、自分が成長したと感じることをノートなどにメモしておきましょう。視野が広がり、考えも深まっていることがわかるはずですから、メモが増えるに従って面接を受けること自体に大きな意義、喜びを感じられるようになります。
なお、転職活動を通して、今の勤務先や仕事の良さに改めて気づくこともよくあります。マンネリを感じていた仕事にモチベーションを取り戻せたというケースも珍しくありません。
結果的に転職をしないことを選ぶかもしれませんが、いずれにせよあなたにとってプラスになることは間違いありません。見ているだけで何もしないのは、自分の進歩・成長のチャンスを逃してしまっていることにもなります。ぜひ一歩を踏み出してください。
case study 21転職活動に踏み出せない原因別ワンポイント・アドバイス
転職活動に踏み切れない原因にはパターンがあります。大きく分けて5つのパターン別に不安解消策のワンポイント・アドバイスを紹介しています。参考にしてみてください。
ネガティブな思いは意識すれば変えられる
「転職したい」と思っているのになかなか行動に移せない場合は、以下の5つのパターンに当てはまっていないかチェックしてみましょう。パターン別に不安解消のポイントがわかります。
パターン1.落されるかもしれない「恐怖心」
一度も転職活動をしたことがない人に多いパターンです。前ページでも触れたように、最も重要なのは「落される=自分にとってマイナス」という認識を改めることです。「落とされる=自分に合わない企業だと分かってよかった」というように、自分にとってプラスの結果だととらえましょう。転職活動というのは、長期的な視野で自分に最適な会社探しをするという心掛けが大切です。したがって、転職活動で出会う各企業の面接官は、「自分とその企業のマッチングが適切かどうか」判断・助言してくれる味方と言えるのです。
<不安解消策ワンポイント・アドバイス>
- 「受かること」ではなく、「自分に合う企業を探すこと」を第一目的とすること
- 面接官は自分の味方と思うこと
パターン2.今の勤務先よりも雇用条件や人間関係が悪くなるかもしれない「不安」
新しい環境は誰にとっても不安なものです。人間関係については、本コラムの第20回(転職先で良好な人間関係を築く即効技)で、効果的なノウハウを多数ご紹介しました。ぜひ参考にしてください。雇用条件については、応募の際、そして面接の際にきちんと確認して早めに心配を解消しておくことが大切です。本コラムの第18回(切り出しにくい「雇用条件」の聞き方)で、確認ノウハウを多数ご紹介しています。こちらもぜひ参考にしてください。
<不安解消策ワンポイント・アドバイス>
- 本コラムの第20回「転職先で良好な人間関係を築く即効技」をチェック
- 本コラムの第18回「切り出しにくい「雇用条件」の聞き方」をチェック
パターン3.努力しても無駄ではないかという「諦め」
転職活動とは、スポーツジムに通って筋トレをするようなものだと思ってください。1回2回通っただけでは成果は目に見えて表れず無駄のように感じられますが、時間をかけていくと明らかに成果がわかるようになります。努力は決して無駄にはなりません。コツコツ努力しているうちに成果は必ず得られます。転職の面接を受けたら、自分が感じたことをノートなどにメモするクセをつけましょう。これを行っておくと、面接を受けるたびに自分の成長を認識することができ、モチベーションが長続きします。メモが増えていくにしたがって面接を受けること自体に大きな意義、喜びが感じられるようになります。
<不安解消策ワンポイント・アドバイス>
- 転職活動とは、筋トレのようなものととらえて、長期的な視点で考えること
- 転職活動を通して成長した点をノートに書きとめること
パターン4.面接に対する「苦手意識」
転職活動の面接に苦手意識がある人は、実は少なくありません。むしろ転職を考えているほとんどの人が、面接への苦手意識があると心得ておきましょう。転職の面接を乗り越えて内定を得る人というのは、面接の苦手意識を克服した人です。苦手意識とは、自分に対して努力を促し、進歩・向上の後押しをしてくれるポジティブな存在、つまり「成長のエネルギー」だととらえることが大切です。本コラムの第5回(面接を得意にする即効の秘訣)をまずお読みください。そして、必要に応じて、本コラムの第4回~第11回を参考にしていただければ不安は解消するでしょう。
<不安解消策ワンポイント・アドバイス>
- 苦手意識=「成長のエネルギー」とプラス思考でとらえること
- 本コラムの第4回~第11回のノウハウをチェック
パターン5.自分の市場価値を知ることに対する「現実逃避」
現実を正しく認識できてこそ、いざという時に適切な対策を取ることができます。ところが、自己イメージと現実のギャップを知るのを恐れて、きちんと自分自身を見つめられない人がいます。今の仕事環境がずっと同じように続くとは限らず、いつ退職・転職しなくてはならなくなるかわかりません。自分の身は自分で守るものと考えましょう。転職活動に伴い、自分の市場価値を分析すると、今後自分はどんな努力をしておくべきかが分かります。急な事態に備えて、自分を有利な状態に引き上げておくことができるのです。このように、自分の市場価値を知ることで、得することはあっても損をすることはありません。
<不安解消策ワンポイント・アドバイス>
- 自分の市場価値を分析することで損することはないと意識する
- あらかじめ対策を練ることができるので、万が一転職することになった時にも有利な状態で取り組める
転職活動に取り組むと、今の仕事に対するモチベーションが失われ(執着が消え)、新しい仕事に対するモチベーションが高まることがあります。今の仕事を変えたいと心から思っているならば、それは非常に大きなプラスです。転職活動に対してもますます努力するようになりますから、成功の可能性も大きく高まります。
逆に、今の勤務先や仕事について客観的に見られるようになるので、マンネリを感じていた仕事が新鮮に見え、むしろ今の仕事に対するモチベーションが高まることもあります。メーカー勤務のMさんは、約1年間転職活動をしましたが、今の仕事の魅力を再発見することになり、結局以前よりずっと高いモチベーションで今の仕事に打ち込むようになりました。いずれにしても転職活動をすることによりプラスが得られます。
上記のアドバイスを参考にして、ぜひ転職活動の最初の一歩を踏み出してください。
プロフィール
就転職・キャリアコンサルタント
坂本直文(さかもと・なおふみ)
キャリアデザイン研究所代表。劇的就職塾主宰。大学講師。全国各地の大学にて年間200回以上講義。著書多数。近著に『就活ノート術』(日本実業出版社)、『人生のエントリーシート』(PHP研究所)。
人気求人特集

豊富な転職・求人情報と転職ノウハウであなたの転職活動を支援する【マイナビ転職】。マイナビ転職は正社員の求人を中心に“日本最大級”常時 約8,000件以上の全国各地の豊富な求人情報をご紹介する転職・求人サイトです。毎週火・金更新であなたの希望の職種や勤務地、業種などの条件から検索することができます。職務経歴書や転職希望条件を匿名で登録するとあなたに興味を持った企業からスカウトされるサービスや、転職活動に役立つ職務経歴書サンプルや転職Q&A、会員登録をすると専門アドバイザーによる履歴書の添削、面接攻略など充実した転職支援サービスを利用できる転職サイトです。