ペンディングは便利なビジネス用語！　意味・使い方や注意点とは？

掲載日：2023/01/05

イラスト：山口カエ

【ペンディング】を要約すると……

1. ペンディング、と言われたら「保留中になっている」と理解しよう
2. 「保留」より、ネガティブな印象が和らぐため使われがち
3. ペンディング案件には期限を設け、業務を先送りにし過ぎないよう注意

ビジネスシーンには、英語由来のさまざまなカタカナ語が登場します。なかでも使われる機会が多い用語の一つが、「ペンディング」ではないでしょうか。

会議などで「この件はいったん、ペンディングとしましょう」「ペンディングになっている契約の件ですが」といったように使われるのを、耳にすることも多いのでは？　あるいは、自分でもよく使っている、という人も多いかもしれません。

頻出の用語であるからこそ、正しい意味や使い方を理解できているか、いま一度確認してみましょう。実際にビジネスシーンで使われる際の例文などを用いて、解説します。

ペンディングは、使えるビジネス用語？　その意味とは

よく耳にする、なんなら自分でも使うこともあるのが「ペンディング」。ですが、実はなんとなくで「後回しにする」「後でまた話し合う」といった意味で使っているけど、はっきりと定義はできない……　なんて人もいるのではないでしょうか。

まずは、正しい意味をしっかり押さえましょう。

ペンディング、その意味はずばり「未解決／未決定」「保留中」

「ペンディング」は、英語の「pending」が和製英語として取り入れられたものです。

英語で、「未解決／未決定」「保留中」という意味で使われている単語です。そして日本でも、主にビジネス用語として同様の意味で使用されています。何かが「ペンディングになっている」と言われたら、「保留になっている」とほぼ同義であると理解しましょう。

ビジネスシーンでは、「ペンディングに持っていく」のも一つのノウハウ

会議や商談で議題がたくさんある場合など、必ずしもすべての決め事が一度に決定できるとは限りません。むしろ、優先順位がより高いものから順に決めていき、残りは「ペンディング」のまま次回に持ち越したり、メンバーを絞って話し合ったりするほうが、効率的な場合も多いでしょう。

ビジネスの場で限られた時間を有効に使うためにも、「ペンディング」は効果的なノウハウになり得るとも言えます。

ペンディング、一般的な使用シーンとは？

上記のように、ペンディングは「未解決」「未決定」「保留中」といった意味でビジネスシーンで用いられます。次に、社内・社外のビジネスシーンにおける一般的な使用例を見ていきましょう。

社内での会議：商品価格や規格について話す場合

例えば社内会議で商品企画について話す際などには、どういった使い方ができるでしょうか。一言で「商品企画」と言っても、商品によっては価格、規格、デザインからマーケティングの方向性まで、議題が盛りだくさんなこともあり得ます。

あらゆる議題の中で、「決定者からのGOをもらえなかった」「合意が取れなかった」という場合には、以下のように「ペンディング」を使用することができます。

取引先との商談：契約の進捗について話す場合

取引先との商談でも同様に、すべての内容に合意が得られなかった、詳細内容まで詰めきれなかった、ということがあり得ます。そういった際には、以下のようなフレーズで表現することができます。

「ペンディング」を使うことによって、「取り決めがうまくいかなかった」というわけではなく、あくまでも「これから詰めていくために、いったん保留となった」というニュアンスを出すことができますね。

ペンディングを日本語で言い換えると、ネガティブな印象になり得る？

前述のように、ペンディングは「先送り」や「保留」といった日本語に置き換えることが可能です。ではなぜ、最初から日本語で言わないのでしょう？　

ビジネスシーンにおいて、言葉遣いや微妙なニュアンスは非常に重要です。結論として同じことを言っていても、ズバリ日本語で「先送り」「保留」と言ってしまうと、直接的過ぎてネガティブな印象になってしまうこともあります。「ペンディング」のようなカタカナ語を効果的に使うことで、会話をスムーズに進めることができると言えるでしょう。

「先送り」「保留」が含む、ネガティブ感

決定事項について「先送りにしましょう」「先延ばしで」などと直接的に言うと、重要事項や問題が延び延びにされるような、ネガティブな印象を与えかねません。

同様に「保留にしましょう」と言った場合でも、「停止」「宙ぶらりん」という印象があるため、「棚上げ」感すら覚えてしまう人もいるかもしれません。

「ペンディング」に置き換えることで、こういった直接的な印象が和らぎ、「いったん保留するが、前向きに話し合いは続ける」「また次回話し合いましょう」といった意味に捉えることが可能になります。

便利な用語「ペンディング」、使用する際には注意点も

「ペンディング」を効果的に使うことでコミュニケーションが円滑になったり、否定的な印象を和らげたりできる一方、ビジネスで使用する際には一定の注意も必要です。以下から、注意点を確認してくださいね。

「ペンディング」＝「中止」ではないので、明確な使い分けを

ペンディングはあくまでも「保留」であり、「中止」ではありません。が、使用シーンによっては誤解を与えてしまうこともあるため、注意が必要です。

例えば、「明日の会議は担当者が不在かもしれないので、ペンディングとしましょう」と言う場合、「担当者がいないから中止か」と早合点させてしまうリスクがあります。

同様に、「本件については、ペンディングにしましょう」と言われると、「棚上げになった＝なくなった」「宙ぶらりんのまま、決まらないだろう」と捉えてしまう人もいるかもしれません。

シチュエーションに応じて、以下のように補足を加えると、その後のやりとりが円滑になるでしょう。

多用し過ぎて何も決まらない……　とならないように注意！

ペンディングは、適切に使えば非常に便利なビジネス用語です。「今は手がいっぱいだから、積み残しにしておきたい」という局面でも、「ペンディングにしましょう」と言えば、タスクとして残したまま、いったん先送りにすることができます。

ただし、便利が故に使い過ぎてしまうのは要注意。結果的に保留案件だらけになってしまい、業務が先に進まない……　なんてこともあり得ます。直接的に「先送りにする」と言わずにニュアンスを柔らかくしたとしても、「ペンディングばかりする人」と思われてしまっては、社内・社外問わず信頼関係に悪影響を及ぼしかねません。

あくまでも適切なシチュエーションと頻度で使い、ペンディング案件には期限を設けて別途話し合いの場を手配したり、定期的にメールや会議でフォローアップをし、必要なタスクはこなすようにしましょう。

ペンディングの類語とは？　意味や使い方の違い

ペンディングは会話の流れや使い方によって、「なくなったの？」「棚上げになった？」といった誤解を招くことがある、という内容を説明しました。更に、類語と、使い方を混同されてしまうこともあります。以下では、似た用語との意味や使い方の違いを記述しています。

キャンセルこそが「中止」の意味

上述のように、ペンディングは「保留」を意味し、「中止」という意味はありません。

会議などがなくなった際に、表現を柔らかくするつもりで「本会議は、ペンディングになりました」と言うと、「保留になっただけ」という誤解を招いてしまいます。中止になった場合に言うべきなのは「本会議は、キャンセルになりました」です。混同しないよう、言い分けるようにしましょう。

リスケは「予定組み直し」の意味

一方、「リスケ」は、もともと英語で「予定・日程などを延期する／予定を組み換える」という意味の「Reschedule」からきています。日本語のビジネス用語でもほぼ同じ意味で使われます。「延期する」という意味合いがペンディングと似て捉えられることもありますが、あくまで「再設定される」というニュアンスを含むのが「リスケ」です。「本会議は、リスケになりました」と言う場合には、速やかにほかの日時に再設定するようにしましょう。

【まとめ】便利過ぎるペンディング！　コツをつかんで、上手に適度に使おう

ビジネスパーソンにとって非常に身近なカタカナ語である、ペンディング。直接的な日本語表現をマイルドな印象にしたり、物事に優先順位を付け、一部の業務を先送りにする際にとても役立つ用語です。一方で、使い過ぎるとミスコミュニケーションを生んだり、「すぐに仕事を塩漬けにする人」という印象を与えかねないので、注意も必要。本記事を参考に、使用シーンや使用例を押さえ、適切な頻度で使うようにしてくださいね。

マイナビ転職　編集部

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