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【FPが解説】人生設計とはなぜ必要? 独立や親の介護など将来の不安のヒント

更新日:2024年07月18日

人生設計とはなぜ必要?のメインイメージ
高山 一恵

監修者高山 一恵

ファイナンシャル・プランナー/株式会社Money&You取締役

記事まとめ(要約)
  • 人生設計とは、自分が望む将来を描く人生の計画
  • 転職、結婚、住宅購入、老後の備えなどから、自分が望むものを時系列に並べていく
  • そうすることで長期的な視野で人生の選択をできたり、実現に向けて計画的に動ける
  • マネープランも同時並行で立てていくと、より実現性が高まる

自分らしい生き方、自分が求める人生とは何か。皆さんは具体的に思い描いたり、人生設計をしたことはありますか?

今回ファイナンシャル・プランナー(FP)の高山一恵先生に相談をするのは、都内某企業に勤めるシステムエンジニア、25歳のMさんです。「30歳くらいまでに、独立してフリーランスになりたい」という目標はあるものの、そこまでの道筋をどう立てるべきか、準備は何をすべきか、悩んでいると話します。

そんな彼女に、高山先生がおすすめするのが「人生設計」。一人ひとりが求める人生を実現していくためには、人生設計をしっかり立てることが重要だそうです。では、人生設計とはどのように組み立てれば良いのか? そのメリットとは? 将来の不安の一つとして挙がった「両親の介護への備え」の解説も併せて、Mさんの相談と高山先生のアドバイス模様をお届けしていきます。

目次

    人生設計とは何のために必要?

    人生設計とは? マネープランとの違いは?

    人生設計(ライフプラン)とは、そもそも何でしょう。マネープランとは、何が違うのでしょうか。相談の前にまずは、それぞれの定義と違いについて、理解を深めましょう。

    人生設計とは、自分が望む将来を描く人生の計画です。就職・転職、結婚、出産・子育て、住宅購入、そして老後への備えなどの中から、自分が望むライフイベントを盛り込み、時系列に並べていくことで、人生設計を立てることができます。

    人生設計を行うことが、自分が求める人生観やキャリアについてあらためて考えるきっかけに。また、やりたいことが具体化することで、長期的な視野で人生の選択をできたり、実現に向けて計画的に動いていけるといわれています。

    一方、マネープランとは、人生設計で思い描いたものを実現するのにかかるお金について事前に調べ、収入や貯蓄の計画を立てること。生きていくこととお金の問題は切っても切れない関係にあるため、人生設計を立てる時にマネープランも同時並行で立てていくと、より実現性が高まるのです。

    人生設計の例

    人生設計を立てるメリットとは?

    ではなぜ、人生設計を立てることが大切なのでしょう?

    最も大きなメリットは、マネープランを含めた人生設計を先に立てると、大きな出費やライフステージの変化に備えて、お金や知識を蓄えておくことができるという点。自分がやりたいこと、かなえたい人生が「準備不足、資金不足で実現できなかった」とならないためにも、人生設計は非常に有効です。

    また、ライフスタイル、ワークスタイルの多様化が急速に進む昨今。終身雇用や年功序列による賃金の上昇が当たり前ではなくなる一方、平均寿命が延び、退職後の人生が長くなってきています。働き方に関しても、リモートワークの普及や、独立して個人事業主になる人の増加など、大きく様変わりしています。

    選択肢が多様化していくとますます、「自分らしい人生」「自分が求める生き方」について具体的に考え、人生設計をしていくことは大事になってきます。理想の人生や夢に近づくための第一歩として、ぜひ人生設計を立ててみましょう。

    人生設計におけるマネープランで、必ず押さえるべきポイントは?

    人生設計を立てるには、手始めに多くの人が関わるライフイベントから考えてみるのが良いでしょう。人生の大きな選択肢を高山先生に聞いたところ、

    1. 結婚
    2. 出産(教育)
    3. 仕事の選択
    4. 住宅購入
    5. 老後への準備

    の5つが基本だそう。「教育」「住宅」については、「子供は持たないので教育費はかからない」「賃貸に住み続けるつもり」など、人によっては必要ない場合もあります。

    ただし、「老後」は誰にでも訪れます。この5要素だけをとっても、自分はどんな選択をし、そのためにどんな備えをするべきかなど、検討すべきことが見えてくるはずです。「現実的な目標」を時系列で設定しながら、その間を埋めるように計画を立てていくことが重要です。

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    「30代で独立」というはっきりとした目標があっても、人生設計はすべき?

    20代から人生設計は必要? 独立したいなら、貯金はいくらためるべき?

    人生設計やマネープランの重要性について理解したうえで、今回の相談者の相談内容を聞いていきましょう。現在25歳、2020年より新卒で働き始め、一度の転職を経験。2022年2月より、現在の会社でエンジニアをしているというMさんは、30歳くらいを目安に独立を目指していると話します。

    相談者プロフィール

    Mさん相談者プロフィール
    Mさん(25歳)

    都内企業に勤めるシステムエンジニア。現在の年収約350万円で一人暮らし。転職経験1回。30歳くらいまでに独立し、フリーランスのエンジニアになりたいと考えている。

    Mさん

    Mさん

    「今日は、将来的に独立を目指すにあたり、何をどう準備すべきなのかをメインに相談したいです。人生設計という意味でも、今のところ『フリーランスになる』以外に特に具体的にやりたいことが決まっているわけではありません。今後三十代に向けて、どのような備えやお金の管理をしていくべきでしょうか? また、その前後についてももっとしっかり考えて、人生設計をすべきでしょうか?」

    高山先生

    高山先生

    「Mさんはまだ25歳とお若いですし、今の段階で人生設計が立っていない、というのは問題ないですよ。ただ、人生設計はしておくべきか、という質問に関して言えば、もちろんイエス。1回プランを立ててもすべてそのとおり進むわけではありませんが、プランを立ててみると『何を知っておくべきか』というところも見えてくるので非常に大事です。30歳くらいをめどに独立したいとおっしゃいましたが、具体的に不安に思われているところはありますか?」

    Mさん

    Mさん

    「独立を目指している30歳くらいまでの間に、貯金がいくらあったら安心なのか、目安があれば知りたいです。貯金は少しずつしていますが、計画性を持って行っているわけではありません」

    高山先生

    高山先生

    「事前にヒアリングシートを書いていただきましたが、25歳で400万円の貯金がおありですね。これは一般的に見て、とても優秀な部類に入りますよ! 一般的には、30歳までに手取り年収の1年分がたまっていれば健全、といわれているんです。Mさんも転職を経験されているのでよりリアルに想像できると思いますが、何かの事情で仕事を辞めることになった時、すぐに次の仕事が決まらないこともあります。転職にあたって休職期間を挟むことなどを見据えても、1年分の生活費があれば何かと安心です。なので、現段階での貯金額、というところは心配いらないでしょう」

    Mさん

    Mさん

    「保険については、どうでしょう? 今は、何も入っていません。正直、入るとしても種類がたくさんあって、選び方も分からない、という感じです」

    高山先生

    高山先生

    「保険に関しても、会社員を続けている今の段階では、無理して入る必要はないと思いますよ。健康保険に加入していれば、病気やケガなどで会社を休んだとしても、傷病手当金が支給されますからね。また、Mさんは養う相手がいるわけでも、健康に具体的な懸念事項があるわけでもないようです。近い将来で保険について考えるタイミングになるのは、実際にフリーランスになる時と思っておいて良いでしょう」

    貯蓄は「仕組み化」することで不安解消効果アップ!

    人生設計こそまだ立てられていないものの、30歳で独立という目標に向けて堅実な足固めはできていることが分かってきたMさん。とはいえ、まだ不安も残ると話します。

    Mさん

    Mさん

    「高山先生に、今の貯金額はこれで十分と言っていただけて、安心した部分もあるのですが……。どちらかというと私は『ある程度貯金しておかないと安心できない』タイプなのです。転職をした際、次の仕事が決まるまでの間にブランクがあったので、その間に貯金が目減りしていくことにとても不安を感じました。そのわりに、今でも目標金額を定めたり、計画を立ててためているわけじゃないので、貯金をしていても不安な気持ちが残ってしまうんです」

    高山先生

    高山先生

    「なるほど。自動積立とか、財形貯蓄などはやっていますか?」

    Mさん

    Mさん

    「いえ、貯金と言っても毎月口座の残高が増えていっているのでたまってはいるんだろうな、という感じで、自動積立も財形貯蓄もやっていないです」

    高山先生

    高山先生

    「Mさんみたいに『貯金していないと安心できない』という方の場合、例えば、銀行の自動積立定期のように、毎月決まった日に自動的に先取り貯蓄の仕組みを作ることがおすすめですよ。お給料が振り込まれたら、まず、先取りで貯蓄してしまうんです。そうすると、『残った分は安心して使っても大丈夫』と思うことができる。仕組み化することで、手間もかかりません。Mさんは1人暮らしなので、まずは、手取り金額の1.5割くらいから始めて、数年後には2割を目指せるといいですね。

    先取り貯金をしておくことのもう一つのメリットは、これに慣れておくと、将来的に積立NISAなどの投資を始める時にも、抵抗なくスライドできることです」

    Mさん

    Mさん

    「たしかに! シンプルで、明日にでもできることですね。すぐ、手続きするようにします」

    フリーランス(独立)に向けての備えは?

    フリーランスとして独立するキャリアを見据える場合、年齢にふさわしい貯蓄以外にも考えておくべきことはあるのでしょうか。

    Mさん

    Mさん

    「今のところ目標は30歳くらいに独立すること。それまでに貯金は手取り額の2割を目指してためていく…… という備えは見えてきたのですが、ほかに、考えておくべき点はありますか?」

    高山先生

    高山先生

    「Mさんのようにきちんと貯蓄もしていてお若いのであれば、お金面以外での『先行投資』をしておくのもいいかもしれません」

    Mさん

    Mさん

    「先行投資、というのは……?」

    高山先生

    高山先生

    「フリーランスとしてやっていくためには、『仕事をもらえる状態になる』必要があります。ですから、今は多少出費がかかったとしても、会社員であるうちに、仕事をもらえる人脈を作ったり実績を積んだりしておく、というのもある意味大事な『貯蓄』です」

    Mさん

    Mさん

    「お金じゃないけれど『資産』ということでしょうか」

    高山先生

    高山先生

    「そうです。また、就業形態の変化でライフプランに影響する部分も考えておくといいですね」

    Mさん

    Mさん

    「具体的に、どのようなことがあるのでしょう」

    高山先生

    高山先生

    「例えば住居に関するところで言うと、ローンを組んでの住宅購入や場合によっては転居による賃貸契約も、フリーランスになった直後は審査が通りづらくなるケースもあります。なので、もし予定がある場合はタイミングを考えておくといいでしょう。また、会社員であるうちは有給休暇や病気やケガで休んでも傷病手当金が支給されますが、フリーランスになると、病気やけが、出産など、働けない期間は収入の断絶に直結することも。フリーランスになった場合は、会社員よりも社会保障が手薄なので、そこらへんのリスクヘッジを民間の保険などでどのように補っていくか、ということも少しずつ情報を集めておくと安心ですよ」

    会社員→フリーランスの変化の例

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    親の介護にも備えが必要?

    遠方に住む両親がいる。今から介護についても考えておくべき?

    エンジニアとしてフリーランスになるための備えのほかに、Mさんは実はもう一つ、不安に感じていることがあるのだと言います。

    Mさん

    Mさん

    「フリーランスのエンジニアになれば、パソコン1台あれば仕事はできるはず。働く場所も融通が利くと思うので、独立後は少し田舎に住みたいとも思っているのですが……。住む場所と併せて両親のことが気になっているんです。実家は鳥取なのですが、近いところに住んだほうが良いのか、将来の介護についてどんな備えをしておくべきか、などなど。先の話なのは分かっているのですが、何から考えるべきなのでしょうか」

    高山先生

    高山先生

    「今からご両親の介護についてまで考えていらっしゃるなんて、素晴らしいですね。ご両親は、おいくつなんですか?」

    Mさん

    Mさん

    「父母共に、65歳です」

    高山先生

    高山先生

    「なるほど。一般的に、介護が始まるのは80歳を超えてからといわれていますので、まだ準備する時間は十分にありますね」

    Mさん

    Mさん

    「その間に、介護資金をためておくべきなのでしょうか?」

    高山先生

    高山先生

    「そうすると安心です。ただ、親の介護は親のお金で賄うのが基本なんですよ。もちろん遠方だと交通費など、何かと物入りな部分もありますが。ですから、Mさんが介護資金を全額出す、というふうに気負う必要はありません」

    Mさん

    Mさん

    「そうなんですか! なんとなく全部自分が払わなきゃいけないものかと思っていました」

    高山先生

    高山先生

    「とはいえ、今から介護費用について考えていくことは、とても良いことだと思います。ご両親も自分も元気なうちじゃないとできないこと、というのがありますから」

    親の介護費用、ポイントは事前に親の資産状況を知ること

    将来的な親の介護費用については、基本的には子供が貯蓄をしておく必要はないのだと話す高山先生。Mさんにとっては一つ安心材料にはなったものの、高山先生は「だからこそ、早いうちからの準備は大事」と続けます。

    高山先生

    高山先生

    「ほかのライフステージの変化においてもそうですが、こと親の介護に関しては、必要になったその時から情報を集めたり準備をしたりするのでは手遅れになってしまう場合が多いのです。例えば、ご両親の貯金から介護費用を出す予定だったけれど、認知症で暗証番号が分からなくなり口座からお金が引き出せなくなってしまうというケース。手続きをすれば引き出すことは可能なのですが、手間が段違いになります。

    ほかには、介護中も適用できる保険に入っていたけれど、結局ご両親がなくなるまでそのことに気づかなくて給付金を受け取れなかった、など。ある日急にご病気で倒れられてそのまま意識不明にということもあるので、きちんと話をできる間に準備しておくことはとても重要です」

    Mさん

    Mさん

    「実は、祖父母が亡くなった時に両親が大変な思いをしているのを見て、私もそう思いました。祖父母の資産状況も分からなければ、何をどう調べて良いかも分からず、本当に大変そうでした。それを見て、将来的に一人っ子の私にも起きうることだな、と感じてしまって。早めにいろいろと知っておきたい、と思ったんです」

    高山先生

    高山先生

    「『資産状況が分からない』というのはまさに、原点にして最大の課題と言えるでしょう。先ほど『親の介護は親のお金でやるのが基本』と話しました。当たり前ですが、分からないお金は『ない』のと同じ。

    また、ご両親の家計の状況次第では金銭的に利用できるサポートサービスの選択肢が限られてしまい、結局お子さんが持ち出しで支援することになったり、それすらも厳しいと自分で介護をするために離職しなくてはいけなくなったり、ということもあります」

    Mさん

    Mさん

    「それはそうですよね……! 私も、親の資産状況なんて考えたこともありませんでした」

    高山先生

    高山先生

    「だいたい皆さんそうなんです。特に、お金の話は家族の間柄であっても気まずい話題なので。しかも、早めに介護の話なんてするのは縁起が悪いと捉えられることもあります。ある調査では、子供が50代に入ってようやく、全体の半数くらいの人が親と資産状況や介護について会話ができるようになる、という結果が出ているそうです」

    Mさん

    Mさん

    「50代で半数。でもたしかに聞きづらくてずるずる……、となってしまいそうです。50代だと遅過ぎますよね?」

    高山先生

    高山先生

    「遅過ぎる、ということはありませんが、50代になると自分自身の老後についても考える年代になりますよね。自分の老後の準備をしながら親のことも同時並行で考える、というのは、精神的な負荷は高くなります。だからこそ、ご自身が若く、介護が差し迫っていないうちに、重くなり過ぎないようなトーンで聞いておくのがおすすめ。

    あくまでも目安ですが、生命保険文化センターの資料によると、介護期間の平均は約5年となっています。費用は、一時的な費用が平均74万円、月々の費用は平均8.3万円なので、1人当たり570万円程度かかります。ご夫婦でだいたい1,100万円ですね。このくらいの資金の余裕はあるのかどうかだけでも、聞けると良いですね」

    Mさん

    Mさん

    「そうですよね……。ちなみに、皆さんどうやって話を切り出しているんですか?」

    高山先生

    高山先生

    「特にご実家が遠方の方は、年末年始やお盆休みなど、帰省するタイミングだといろいろ話す時間がありますからその時にさらっと聞く、というのが比較的聞きやすいみたいです。あとは、『最近友達のお母さんが急に倒れちゃって大変だったみたいなんだけど、万が一そうなった時、うちはどうしたらいいかな?』というように、他人のことをフックに聞いてみるなどですね」

    Mさん

    Mさん

    「なるほど! そういう聞き方だったらまだ、聞きやすそうな気がします」

    高山先生

    高山先生

    何も分からないと不安に感じますが、エイヤと聞いてみれば、意外に親がきちんと備えていてあまり心配いらなさそうと楽になることもあります。資産状況と受け取る年金額がなんとなく分かれば、いざとなればこういう民間介護サービスも選択肢に入れられそうだな、と考えることもできます。

    併せて、ご両親が住んでいる自治体の介護制度についてもチェックしておくと安心です。帰省したついでに役所に寄ってみると、一式まとまったパンフレットのようなものをもらえたりもしますから。

    不安に思うことって、不安の正体が分からないからこそ不安だったりするんですよね。介護は子育てと違って『いつまで続くか分からない』という点があります。そして長いケースだと二十年以上にもわたります。ご自身の人生設計やマネープランにも関わってきますから、聞きづらいことではありますが、早めに一度話してみることが理想です」

    介護の備えの例

    「時代遅れ」になってない? 知っておきたい親の保険事情

    先ほどからも出てきているとおり、親の介護を視野に入れた際、無視できないのが親自身の資産。と同時に、保険事情についても把握しておいたほうが良い、と高山先生は続けます。保険内容が「時代遅れ」になってしまっていると、掛け金を払い続けたのに、いざという時に保険が下りない、ということもあるのだとか。

    高山先生

    高山先生

    「せっかくご両親と将来の話やお金の話をされるのであれば、保険についても聞いておけると良いですね」

    Mさん

    Mさん

    「保険、ですか? 私自身が詳しくないので、聞いても分かるかどうか……」

    高山先生

    高山先生

    「保険の内容自体まで、Mさんが詳しく見る必要はありませんよ。ただ、『契約した時のまま10年以上も更新してない』なんてことがないか、というだけでも確認しておく意味はあります」

    Mさん

    Mさん

    「長年更新していないと、どのようなデメリットがあるのでしょう?」

    高山先生

    高山先生

    「医療は時代によって変わります。以前は完治するまで入院という治療方針が多く、長期入院が一般的でした。ですから、ひと昔前の医療保険は、入院した場合、入院5日目からしか給付金を受け取れない、という保障内容がよくありました。ところが昨今、入院期間は2〜3日が一般的。がんであっても、早期であれば通院しながら治療をすることも多いんです。それに合わせて、最近の医療保険は、入院1日目から給付金が支給されたり、入院しなくても通院で給付金が出たりするプランも増えています。せっかく払い続けてきたのに、いざという時給付金を受け取れないのではもったいないですよね」

    Mさん

    Mさん

    「なるほど。契約した時のまま保険を放置している…… というのは十分にあり得そうですね。とはいえ、私自身も保険に入っていないですし、これまた切り出し方が難しそうですが」

    高山先生

    高山先生

    「もしご自身が入っていない場合は『私もそろそろ保険に入ろうと思うんだけど、お父さんたちはどんな保険に入ってるの?』と相談してみるのも手かもしれません。パンフレットなどを一緒に見ながら話すと、より具体的にご両親の状況を聞き出しやすいかもしれませんね。もしくは、ご両親が子どもの保険の契約をしているということもありますので、「私って保険入っているの?」と聞いてみて、それをきっかけにしてみるのもいいかもしれません。内容まで聞かなくても、契約しっぱなしでほったからしていないかどうか、更新しているかどうかだけでも、聞けると良いです」

    Mさん

    Mさん

    「保険についてもぜひ、次回実家に帰った際、併せて聞いてみます。本日は、明日からできるアクションから、長期目線でプランすべきことまでアドバイスいただき、非常に勉強になりました。ありがとうございました」

    介護はキャリアにも影響する? 収入低下や「介護離職」の可能性って?

    Mさんのように、将来的な親の介護について漠然とした不安を感じている人は、多いのではないでしょうか。ぜひご自身のケースでも考えてみてください。仮にご両親との年齢差が三十歳、介護開始が七十五歳とすると、自身は四十五歳から親の介護に関わることになります。

    この場合留意しておきたいのが、四十五歳という年齢は多くの人にとってまだまだ働き盛りであるということ。キャリア的には、役職に就いていたり重要な仕事を任されていたりする年齢でもあります。そのようななかで、通院の付き添いや在宅で見守りが必要になると、就業時間内に対応が必要になる場合も。

    高山先生によると、介護のために時短勤務を選択せざるを得ない人や、頻繁に休みを取らなくてはいけないという方もいるそう。そうなると収入は6割程度まで減る可能性もあるどころか、仕事と介護の両立が難しいために「介護離職」に至ることもあると言います。

    「介護が必要になった時に、今いる会社でどういった働き方が可能なのか、余裕があるうちに制度を調べてみることは非常に重要ですね。今の職場が給料や仕事内容がイマイチと思っていても、制度が整っているから長く働くには良い、となるかもしれません。

    逆に将来を見据えて、X年後には制度重視で転職を考えよう、在宅やリモートで働けるポジションを得るためにスキルアップしていこう、とアクションしていくのも方法の一つ。今は企業側も優秀な人材を獲得して長く勤めてもらうために、育休産休だけではなく介護においても手厚い制度を整えているところが増えてきています」

    自分自身で貯蓄をしたり保険に入ったりすることも大事ですが、会社員であるなら、せっかく福利厚生を受けられる立場。仕事と介護を両立していくために、自分が勤める企業のサポート体制や制度を活用しない手はありません。転職を検討する際には、転職先企業の仕事内容や勤務地、給与という分かりやすい部分だけでなく、制度面もしっかり確認するようにしたいですね。

    【まとめ】不安やモヤモヤをすっきりさせて、自分らしく生きるために。人生設計を立てみよう!

    理想とする人生や生き方は、人それぞれ。そして人生には、不安や疑問、モヤモヤが付きものだったりします。だからこそ、「自分は今どの段階にいて、どういう人生を歩んでいきたいか。その目標のために、次にすべきことは何か」を見える化し、明確にしていくことは非常に重要です。

    この「見える化」のプロセスこそ、人生設計です。

    Mさんのようにフリーランスを目指す人にとっては、スキルアップや独立のためのマネープランを軸に組み立てていくことができるでしょう。一方、もっとキャリアップをしたい、あるいは、出産・育児や介護などのライフステージに合わせた働き方をしたい、という人にとっては、転職を一つのアクションプランに組み込むことが有効かもしれません。この記事を参考に、ぜひ皆さんも、人生設計を作ってみてはいかがでしょう。

    もちろん、年齢やライフステージによっても欲しいものや目指す道は変わっていきます。一度描いた人生設計は常に見直し、修正をしながら「今の自分」に合ったプランに更新していってくださいね。そうすることで、皆さん一人ひとりが自分らしい生き方を実現できるはず!

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    監修者
    高山 一恵

    高山 一恵

    ファイナンシャル・プランナー/株式会社Money&You 取締役

    CFP®、FP技能検定1級の資格を持つ。マネーに関する講演活動、執筆活動、相談業務などを行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を発信。「はじめてのNISA&iDeCo」(成美堂出版)など、マネー関係の著書・監修は数十冊に及ぶ。

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