配偶者控除・配偶者特別控除とは? 年収に応じていくら控除されるか解説
更新日:2024年12月18日
記事まとめ(要約)
- 配偶者控除とは、控除対象となる配偶者がいる場合、税の負担が軽減される制度
- 控除対象となるには、年間の合計所得金額が48万円以下などの要件がある
- ただし、納税者の合計所得金額が1,000万円以下なら、控除が受けられる場合あり→配偶者特別控除
- 配偶者の年収がすべて給与所得の場合、配偶者控除を適用するための上限額=年収103万円の壁
「配偶者控除」「配偶者特別控除」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。見聞きしたことはあって「税金の軽減に関わりそう」くらいは分かっていても、対象となるための条件や控除額、どのように申告するかまで調べて理解するのはなかなか難しいかもしれませんよね。
配偶者控除と配偶者特別控除は、一定の条件に該当する配偶者を扶養する場合に適用できる税制上の優遇措置です。この2つの控除制度の違いや、それぞれ控除対象となるための条件、年収によっていくらまでの控除が受けられるかについて解説します。
「配偶者控除」とは? 控除対象になるための配偶者の要件、所得の上限や控除金額など
配偶者控除とは、納税者に控除対象となる配偶者がいる場合に、一定金額の所得控除が受けられ、所得税や住民税の負担が軽減される制度です。
控除される金額は、納税者の合計所得金額および控除対象配偶者の年齢や所得状況により異なります。詳細な要件や控除金額について以下で説明します。
控除対象となるための「配偶者の要件」とは
配偶者控除を受けるための一つ目の条件は、納税者本人に「控除対象配偶者」がいることです。配偶者が控除対象者として認められるためには、その年の12月31日時点において、満たすべき以下4つの要件があります。
- 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は、給与収入が103万円以下)。
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
参照元:国税庁「配偶者控除とは」
また控除対象配偶者のうち、その年12月31日時点における年齢が70歳以上の場合には「老人控除対象配偶者」と呼ばれます。
配偶者控除を受けるための納税者の所得の上限と、所得に応じた控除額
配偶者控除を受けるためには、配偶者が上述の4つの要件すべてを満たすことに加えて、納税者本人にも所得の上限が設定されています。
納税者が控除を受けるための合計所得金額の上限は、1,000万円以下に定められています。配偶者の年間の合計所得金額の上限は、48万円以下である必要があります。
原則的に、合計所得金額が少ないほど控除金額が高くなり、所得税額が軽減されるように設定されています。納税者の合計所得金額と控除対象配偶者の年齢により、控除金額は以下のように異なります。
控除を受ける 納税者本人 の合計所得金額 | 一般の 控除対象配偶者 の控除額 | 老人 控除対象配偶者 の控除額 |
---|---|---|
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超 950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超 1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
参照元:国税庁「配偶者控除とは」
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「配偶者特別控除」とは? 控除対象になるための要件や年収に応じた控除金額
配偶者控除を受けるための条件として、配偶者の合計所得金額は48万円以下と定められています。
ただし配偶者の合計所得金額が48万円を超えていても、納税者の合計所得金額が1,000万円以下であれば、控除が受けられる場合があります。この場合適用されるのが「配偶者特別控除」で、配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合に控除を受けることが可能です。
配偶者特別控除を受けるための要件
配偶者特別控除を受ける場合には、必ず以下の要件をすべて満たしている必要があります。
- 控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
- 配偶者が、次の要件のすべてに当てはまること。
a)民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
b)控除を受ける人と生計を一にしていること。
c)その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払いを受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
d)年間の合計所得金額が48万円超133万円以下であること。 - 配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと。
参照元:国税庁「配偶者特別控除とは」
納税者自身の合計所得金額が1,000万円以下という点について、具体的に給与収入のみであると仮定した場合、1,195万円以下(1,000万円+給与所得控除195万円)が実際の上限となります。
配偶者特別控除で受けられる所得ごとの控除額とは?
配偶者特別控除で受けられる控除額は、納税者、配偶者の合計所得金額に応じて異なります。具体的な金額は、以下の表から確認してください。
控除を受ける納税者本人の合計所得金額 | ||||
---|---|---|---|---|
900万円以下 | 900万円超 950万円以下 | 950万円超 1,000万円以下 | ||
配偶者の 合計所得金額 | 48万円超 95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超 100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 | |
100万円超 105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 | |
105万円超 110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 | |
110万円超 115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 | |
115万円超 120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 | |
120万円超 125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 | |
125万円超 130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 | |
130万円超 133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
参照元:国税庁「配偶者特別控除とは」
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所得の上限、控除金額や年収の壁…… 配偶者控除と配偶者特別控除の違いを整理
配偶者控除と配偶者特別控除それぞれについて、それぞれの条件や控除金額を見てきました。ここからは、2つの控除制度の具体的な違いを整理していきます。
また、控除制度について「年収の壁」といった言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。2つの控除制度の条件や控除金額に関わってくる「年収の壁」がいくつか存在するので、併せて説明します。
配偶者控除と配偶者特別控除の違いは2つ
配偶者控除と配偶者特別控除の条件などを整理すると、この2つの控除制度の違いは以下の2点にまとめることができます。
1. 配偶者の所得に関わる要件
- 配偶者控除の場合:配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下
- 配偶者特別控除の場合:配偶者の年間の合計所得金額が48万円超133万円以下
2. 受けることができる控除額
- 配偶者控除の控除額:最小13万円〜最大38万円(老人控除対象配偶者の場合は48万円)まで
- 配偶者特別控除の控除額:最小1万円〜最大38万円まで
「年収103万円の壁」とは?
「年収103万円の壁」は、配偶者の年収がすべて給与所得だった場合、配偶者控除を適用するための年収の上限金額となります。
給与収入から差し引く給与所得控除額は、給与収入が162万5,000円までの場合、一律で55万円と定められています。そのため配偶者の年収が103万円以下であれば、55万円分の給与所得控除を差し引き、給与所得は「103万円−55万円=48万円」となります。
給与所得控除を差し引いた後の給与所得が控除対象配偶者の条件である「年間の所得上限48万円以下」を満たすため、配偶者控除を受けることができる、というわけです。
また繰り返しになりますが、配偶者が「年収103万円の壁(年間所得上限48万円以下)」を超えた場合でも、合計所得金額が133万円以下の場合には、配偶者特別控除を適用することができます。
「年収150万円の壁」とは?
「年収150万円の壁」とは、配偶者特別控除における控除金額に関わる壁です。
配偶者特別控除における、最大の控除額は38万円です。年収150万円を超えると、この最大控除額を受けることができなくなるため、「壁」と呼ばれています。
最大控除額を受けるためには、配偶者の年間の合計所得が95万円以下である必要があります。年収が150万円以下であれば、給与所得控除の55万円を差し引くと、給与所得が95万円以内に収まるため、最大の控除金額38万円が適用されるのです。
「年収201万円の壁」とは?
「年収201万円の壁」とは、配偶者特別控除が受けられるかどうかのボーダーラインを示しています。
配偶者特別控除を受けるには、配偶者の年間の合計所得金額が48万円超133万円以下である必要があります。つまり、給与所得控除を差し引いた後の給与所得が133万円以下に収まるための上限が、年収201万円(正確には201.6万円)というわけです。
年収201万円で発生する給与所得控除は、68万3,000円(201万円×30%+8万円)「201万円−68万3,000円=132万7,000円」となり、133万円以内に収まる計算となります。
扶養控除とは? 配偶者控除・配偶者特別控除との違い
配偶者控除・配偶者特別控除とは別に、扶養控除という所得控除が存在しています。どちらも納税者にとっては自らの扶養家族に関連する控除の仕組みですが、対象や条件が異なります。
扶養控除の対象は、配偶者以外の親族
扶養控除は、所得税・住民税などの納税者が扶養している配偶者以外の親族(親や子どもなど)に関する所得控除です。控除の対象者のことを「控除対象扶養親族」と呼び、以下5つの条件をすべて満たす必要があります。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)。
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
- 控除を受ける年の12月31日現在の年齢が16歳以上であること。
参照元:国税庁「扶養控除」
配偶者控除・配偶者特別控除は、その名前のとおり配偶者のみが対象となるため、この点が主な違いと言えます。
控除対象扶養親族の人数や年齢によって所得税・住民税から差し引かれる額が変わるため、扶養家族の状況に応じて控除額が増減します。一般的には、養う家族の人数が多いほど、控除金額が増え、税負担が軽くなります。
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配偶者控除・配偶者特別控除は、年末調整か確定申告で手続きを
配偶者控除あるいは配偶者特別控除を受けるためには、年末調整か確定申告で手続きする必要があります。
会社員の場合は、年末調整で手続きを
給与の支払いを受けている会社員の場合、一般的には毎年年末調整の手続きが必要です。年末調整とは、雇用主である企業側と従業員との間で、給与から源泉徴収される所得税・住民税などを精算するための手続きです。
年末調整書類の一つである「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に必要事項を記入し、勤め先の企業へ提出しましょう。
個人事業主は、確定申告で手続きを
個人事業主の場合などで、年末調整を行わない場合には、確定申告手続きを行います。確定申告とは一定の条件を満たす個人が、年間の課税所得を計算し、所得税の納税を行うための手続きです。
確定申告書は、国税庁のウェブサイトから入手することができます。配偶者の源泉徴収票を確認し、申告書の「所得控除」欄の該当箇所に記入します。この際、配偶者の源泉徴収票の添付は不要です。
過去の確定申告で配偶者控除の適用を忘れてしまったり、誤りがあったりした場合には、5年分までさかのぼり、訂正することが可能です。この際に必要な「更正の請求書」も国税庁のウェブサイトから入手可能です。税制改正によって手続きや書類の様式が変更されている場合もあるため、正しいフォーマットを使うようにしましょう。
【まとめ】自分も配偶者控除・配偶者特別控除の対象になるか、いま一度確認を
納税者および配偶者の所得状況によって、配偶者控除や配偶者特別控除の対象になることを説明しました。所得控除を受ければ税負担を軽くすることができるので、正しく活用したいですよね。
通常は共働きであっても、子育てなどによる時短勤務で収入が減ることもあり得ます。そういった場合、自分あるいは配偶者が一時的に扶養に入ることで「控除対象配偶者」となる可能性もあります。産休・育休中に受けられる出産手当金や育児休業給付金などは非課税のため所得にはならず、「控除対象配偶者」の適用条件には影響しない、ということも知っておくと良いでしょう。
自身の所得状況や該当条件をいま一度確認し、該当する場合には忘れずに適用してくださいね。
※税法にまつわる記述などは、2023年9月現在の税制に基づいています。税制改正などで、随時変更となる可能性があります。
監修者
服部 大
税理士・中小企業診断士
服部大税理士事務所
2020年2月、30歳で名古屋市内にて税理士事務所を開業。
平均年齢が60歳を超える税理士業界内で数少ない若手税理士として、同年代の経営者やフリーランス、副業に取り組む方々の良き相談相手となれるよう日々奮闘。
単発の税務相談や執筆活動も承っており、「分かりにくい税金の世界」を分かりやすく伝えられる専門家を志しています。
マイナビ転職 編集部
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