同業他社・競合に転職してもいい?メリットや注意点、競業避止義務について解説
掲載日:2024年03月19日
記事まとめ(要約)
- 同業他社・競合への転職に違法性はない
- 一定期間、競合他社への転職を禁止する競業避止義務を設ける企業があるので注意が必要
- 同業他社への転職は、前職の機密情報などを流さず、モラルのある行動を心掛けよう
同業他社や競合他社へ転職する人は少なくありません。しかし、いざ転職しようと考えた際に、同業他社や競合他社に転職しても良いのか迷う方も多いようです。
この記事では、同業他社・競合に転職をしてもいいのか、同業他社・競合に転職するメリットやデメリット、転職を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
同業他社・競合に転職してもいい?
同業他社や競合他社への転職は基本的には問題ありません。ただ、注意しなければいけないケースもあります。
法律的には転職できる
法律上では、同業他社や競合他社への転職は禁止されていないため、転職することに問題はありません。
また、日本国憲法第22条1項では「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と記載されており、労働者には「職業選択の自由」が認められています。
出典:e-Gov法令検索「日本国憲法第22条1項」
競業避止義務に注意が必要
「競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)」が課されている場合、退職後一定期間内に競合他社へ転職すると損害賠償請求されてしまう可能性がありますので注意が必要です。
会社の利益を守るために競業避止義務を課している企業は少なくありません。
これには、会社のノウハウや経験、人脈などがライバル会社へ流れてしまうと、大きな損害になるため、情報の流出を防ぐ目的があります。
競業避止義務については次項で詳しく解説します。
競業避止義務とは?
競業避止義務とは、従業員や取引先といった個人や組織に対して、企業の不利益となる競業行為を禁ずるものです。
例えば、転職する際、一定期間競業する別の会社へ転職を禁止することや、競業する会社を自分で立ち上げ元同僚などを引き抜いたりする行為を指します。
競業避止義務は、主に就業規則に記載されているか、入社時や退職する際に「◯年間は同業他社・競合他社に転職しない」といった誓約書への署名を求められることがあります。
競業避止義務が存続する期間は企業が定めますが、6カ月~2年を設定するケースが多いようです。3年以上の場合は不当に労働者の権利を制限したと見なされるため、過去の判例では認められないケースもあります。
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同業他社へ転職するメリット
同業他社へ転職するメリットは多く、実際、多くの人が同業他社へ転職しています。主なメリットを4つご紹介します。
即戦力として活躍できる
前職での経験を生かせるため、即戦力としてすぐ活躍できるというメリットがあります。
特に中途採用の場合は即戦力であることが求められるケースが多く、すぐ成果を上げて評価してもらえるように、前職での経験を生かせる同業他社を選ぶ人が多いようです。
年収アップをかなえやすい
すぐに生かせる経験やスキルがある転職者は、転職市場では需要が高く、収入アップをかなえやすい傾向にあります。
特に、会社に大きな利益をもたらすスキルや資格を持っていたり、転職先でも活躍が期待できそうな実務経験があったりする場合、大幅な年収アップを期待することも可能です。交渉次第では収入だけでなく待遇の改善も期待できます。
一方、前職でしか生かせないような経験やスキルのみの場合は、同業他社へ転職しても大幅な年収アップは望めないかもしれません。
同業他社に転職を考えている場合、その企業が求めている経験やスキルは何か、自身の持つ経験やスキルを生かすことは可能なのか、把握しておくことが大事です。
未経験の職種や業種よりも採用される可能性が高い
転職は、基本的に短期間で戦力になる人材を求めることが多いので、業界・職種未経験の応募者よりも経験者を募集する傾向にあります。
また、業界特有の知識やスキル、実績は高く評価され、ほかの応募者と差別化が図れることもあり、未経験者よりも採用される可能性は高いです。
業界の雰囲気や業務内容を知っていることから、「仕事が合わない」という理由により短期間で退職するリスクが低いという点も評価されるポイントです。
キャリアアップしやすい
キャリアアップがしやすいという点もメリットの一つです。前職での経験を生かし、より難しい業務に挑戦することができることで、成長につながります。
また、同じ業界の場合、キャリアアップの流れが似ているため、キャリアプランを立てやすいでしょう。それにより、スピーディなキャリアアップを目指すことができます。
同業他社へ転職するデメリット
同業他社へ転職することにはデメリットもあります。ここでは、2つのデメリットとその対処法についてご紹介します。
異職種の場合は年収アップにはならないことも
同じ業界でも異職種へ転職する場合は一般的に未経験扱いとなるため、年収アップにつながらない可能性もあります。
ただし、異職種であっても、前職での経験やスキルで生かせるものがあれば、面接時にアピールすることで活躍できる人材と判断してもらえ、年収アップにつなげられるかもしれません。
そのために、職種が異なっても業界知識を持っていることや、これまでの人脈が生かせるなど、具体的に採用するメリットを企業に伝える必要があります。現在までの経験やスキルの棚卸しを行い、どう生かせるのか明確にしておきましょう。
期待値の高さからプレッシャーを感じることも
同業での経験があると即戦力としての期待値が高まりますが、そのことにプレッシャーを感じてしまう方も少なくありません。
その場合、最初から大きな目標を掲げるのではなく、まずは小さな目標を立てて成功体験を積み上げたり、頼れる上司や先輩を探してみたりしてください。
小さな目標から成功体験を積み重ねることで、自信につなげられプレッシャーを良い刺激と感じられるようになれます。
また、相談できる上司や先輩がいれば、プレッシャーを感じて不安になった際に気持ちを吐き出してみると良いでしょう。話すことで楽になる場合もありますし、上司や先輩の経験談やアドバイスをもらえることで、プレッシャーが和らぐかもしれません。
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同業他社への転職を成功させるには?
同業他社に転職する際、より成功確率を上げるために押さえておきたいポイントを4つご紹介します。
転職理由をしっかり考えておく
面接ではどうして同業へ転職するのか質問されることがあります。そのため、なぜ転職する必要があるのか、しっかりとした転職理由を準備しておきましょう。
同業他社への転職理由は、「前職がうまくいかなかったのでは?」など、採用担当者が気にする部分です。
例えばより実績を評価する企業で能力を発揮したい、より仕事の幅を広げたい、スキルを高めたい、職位を高めたいなど、前職では実現することが難しく、応募企業だからこそ実現できる理由を転職理由として考えてみてください。
企業分析を徹底的に行う
企業分析は徹底的に行ってください。同業他社への転職は、異業種やまったく異なる業界への転職よりもハードルが低いと感じる方もいると思います。
しかし、同業だからこそ業界内での応募先企業のポジションや企業の特色、強みなどを深く理解することが求められます。
企業分析を行い、前職や現職との違いが明確になれば、採用担当者が納得する退職理由や志望動機をまとめられるようになります。
そのうえで、自身の強みや経験を応募先企業で、どのように生かし活躍できるのかをアピールしましょう。
面接時は前職のネガティブな話は避ける
面接では、できるだけ前職のネガティブな話は避けるようにしてください。
同じ業界への転職となるため、面接官が前職の社員とつながりがあったり知り合いだったりする可能性もあります。その際にネガティブな話ばかりすると、面接官に悪い印象を与えたり、今後の仕事がしづらくなる可能性もあります。
また、ネガティブな理由を告げてしまうと、同じ理由で辞めるのではないかと思われる可能性もあります。
同業他社への転職で、「スキルが生かせない」、「キャリアアップができなかった」などのネガティブな理由をダイレクトに伝えてしまうと、前職の批判と受け取られるだけでなく、職務能力が劣っているのではといった懸念を持たれる可能性があります。
「スキルが生かせない」は、「仕事の領域を広げたい」など、かなえたいことの実現に置き換えるといいでしょう。
置き換え例も参考にしてください。
- これまで国内の食材の営業を行ってきたが、輸入食材まで取り扱い領域を広げたい
- 現職は分業制の経理だが、経理だけでなく、財務、経営企画といった仕事がしたい
- 企業規模が大きくないため国内のみのビジネスだったが、語学力を生かして海外ビジネスにもチャレンジしたい
など
自分を大きく見せすぎない
面接の際に、話を盛って自分を大きく見せすぎないようにすることも重要になります。
同業への転職となるため、面接官はその業界や職種に対して精通している可能性が高いです。
そのため、自分を大きく見せすぎたり、アピールしすぎたりすると、すぐに事実と違うと気づかれてしまいます。
たとえ、話を信じてもらえて採用されたとしても、自分を大きく見せたが故に入社後にプレッシャーを感じてしまったりミスマッチが生じてしまったりします。
同業他社に転職する際の注意点
そのほか、同業他社へ転職する際に注意しておきたいポイントを解説します。
円満退職を心掛ける
同業他社へ転職する際は、前職を円満に退職することが重要です。
転職後に前職の関係者と顔を合わせる可能性は少なくありません。トラブルを起こして辞めた場合、転職後に前職の関係者から退職の経緯が伝わり、転職先での業務に支障が出てしまうこともあります。
トラブルを未然に防ぐためにも、引き継ぎはしっかり行う、取引先には誠意のある退職のあいさつをするなど、円満退職になるよう心掛けてください。
モラルある行動を心掛ける
転職をした後も前職に対してモラルのある行動を心掛けましょう。前職の機密情報や顧客情報を漏らさないことはもちろん、前職の問題点や悪評を流さないなど、常識的な行動を取るようにしてください。
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Q&A同業他社への転職で気になる質問
最後に、同業他社への転職に関して気になる質問とその回答をご紹介します。
Q. 競業避止義務を守らなかった場合、どのような処罰がありますか?
競業避止義務を守らなかった場合、損害賠償請求される可能性があります。
ただし、競業他社へ転職しただけですぐに競業避止義務違反になるわけではありません。下記のような行為を起こす場合、競業避止義務と認められることが多いようです。
- 前職のノウハウや知識を活用した
- 顧客情報を持ち出した
- 前職の技術を漏えいした
出典:経済産業省「競業避止義務契約の有効性について」
例えば、量販店で知識やノウハウ、経験を有し店長をしていた人物が競合他社へ就労し、そのノウハウを活用した結果、競業避止義務と判断された判例もあります。
損害賠償額はケースによって金額が異なり、100万円を超える損害賠償を請求されたこともあるようです。
Q. 同業他社に転職する場合、今の職場に転職先について知らせるべきですか?
トラブルを避けるためにも、現職の人には転職先を伝えないようにしましょう。
同業他社へ転職することが分かった途端、無理な引き留めや退職交渉が難しくなるなど、トラブルに発展しかねません。
転職活動中は「まだ決まっていません。決まりましたらお伝えします」と回答しましょう。内定が出た後もしつこく聞かれた場合は、「個人的なことですので」などと濁すのがおすすめです。
Q. 退職時に競業避止義務が書かれている誓約書に署名をしなくてもいいですか?
退職時に競業避止義務が書かれた誓約書へ署名捺印を求められた場合、必ず応じなければいけないわけではありません。
会社側が「署名しないと退職を認めない」といった場合も、退職届を提出していれば、退職日もしくは提出から2週間後には退職できます。
ただ、断ってしまうと悪い印象を持たれ、円満退職が遠のいてしまうかもしれません。同じ業界で働いていると、転職先にも悪いうわさが流れてしまう可能性もあるので注意が必要です。
Q. 同業他社に転職する人に対して、採用担当者や前職の上司はどういうイメージを持ちますか? 裏切り者だと思われるでしょうか。
同業他社への転職について、採用担当者は、仕事の領域を広げたい、キャリアアップしたいなど、転職理由が自社で実現可能など納得できる理由であり、これまでの経験が生かせると判断すれば、短期間で戦力になる人材として評価するでしょう。
ただし、前職の競業避止義務に問題がなくても、機密情報を安易に口外する応募者であれば、コンプライアンスに問題があり、自社に入社しても同様の問題が起きると考え、採用をちゅうちょします。同業他社だからこそ、モラルや守秘義務が守れる人材かどうかを厳しく見極めています。
前職の上司からすると、同業他社へ転職されることで、情報が漏えいする可能性や顧客が奪われるなどの実害が懸念されれば、裏切り者だと捉える可能性があります。
しかし情報漏えいの心配がなく引き継ぎをきちんと行い円満退職をすれば、転職でステップアップするのが当たり前の時代ですから、前職の上司はあまり気にしないでしょう。
まとめ
労働者には職業選択の自由が保証されており、同業他社への転職は法律上何の問題もありません。
しかし、競業他社への一定期間の転職や起業を禁止する「競業避止義務」に違反した場合は、損害賠償を支払わなければいけないこともあります。そうしたリスクも理解したうえで同業他社・競合への転職を検討しましょう。
監修者
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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