雇用契約書がないと違法?もらえない場合に起こりうるリスクやトラブルとは
更新日:2026年06月05日
監修者篠田 恭子
特定社会保険労務士/おひさま社会保険労務士事務所 代表
記事まとめ(要約)
- 雇用契約書の交付がなくても違法ではないが、労働条件が書面やメール等で通知されない場合は違法となる
- 労働条件は、雇用契約書や労働条件通知書、内定通知書などの書面で確認できる
- 内定受諾前に書面での労働条件通知を企業に依頼するなど、入社前に労働条件を確認できるよう動く必要がある
転職した際に企業から雇用契約書が交付されなかった場合「違法なのでは?」と心配になる人もいるのではないでしょうか。しかし、雇用契約書は必ず交付されるものではありません。
交付されなかった場合の対処法などを詳しくご紹介します。
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雇用契約書や労働条件通知書がもらえないのは違法?
内定・入社のタイミングで渡されることが多い雇用契約書や労働条件通知書。もし、雇用契約書や労働条件通知書が渡されなかった場合、どう対応すれば良いのでしょうか?
そもそも雇用契約書とは何か、労働条件通知書とは何かなど、詳しく知りたい人は以下の記事もチェックしてください。
雇用契約書がもらえなくても違法にはならない
雇用契約書とは、労働者が労働を提供し、雇用主が対価として賃金を払うことについて、双方が合意した内容を記載する契約書です。
ただし、労働契約は書面の取り交わしがなくても、合意があれば成立します。そのため、雇用契約書が交付されなかったとしても違法になるわけではありません。しかし、実務上は後のトラブル防止のため、契約書を取り交わすことが一般的です。
労働条件は労働条件通知書などの書面等で明示される必要がある
労働条件通知書とは、労働条件を明示するために、雇用主が労働者へ交付する書類として一般的に用いられるものです。
労働基準法第15条第1項および労働基準法施行規則第5条では、企業が労働者を採用する際、一定の労働条件を書面等で明示することが義務付けられています。
ただし、法律上求められているのは「労働条件の書面等による明示」であり、「労働条件通知書」という名称の書類を作成・交付すること自体が義務というわけではありません。
そのため、雇用契約書、労働契約書、採用通知書などの書類に必要事項が記載されるケースもあります。
一方で、必要な労働条件が書面等で適切に明示されていない場合は、労働基準法に違反する可能性があります。どのような形で労働条件を確認できるのかは、企業に確認しましょう。
雇用契約書と労働条件通知書の違いとは
雇用契約書も労働条件通知書も、労働条件を確認できますが、どう違うのでしょうか?
雇用契約書と労働条件通知書の大きな違いは「合意の有無」です。
雇用契約書は、労働条件などについて企業と社員が合意して署名や押印を行います。一方、労働条件通知書は、企業が社員に一方的に交付する書面です。
労働条件を確認し、雇用契約書により双方が合意したことを書面に残すと、認識のずれによるトラブルを防ぎやすくなります。また、実際にトラブルが発生した場合にも、合意内容を示す重要な証拠として役立ちます。
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雇用契約書や労働条件通知書をもらうタイミングは?
雇用契約書は、オファー面談時や入社日に交付されることが多いです。入社後、聞いていた労働条件と違うというトラブルを避けるために、入社前にしっかりと内容を確認しておきましょう。
また、労働条件通知書は内定や契約更新を受諾し、労働契約を締結するタイミングで渡すことと法律で定められています(労働基準法第15条)。
転職の場合、内定通知時に「内定承諾のお返事の前に、労働条件の確認のため、労働条件を書面でいただけないでしょうか?」などと確認するとスムーズです。
雇用契約書がもらえないと起こりうるリスクやトラブル
前述のとおり、企業には雇用契約書の交付義務はありません。ただし、雇用契約書がない場合、合意内容を後から確認しづらくなるなど、実務上のトラブルにつながる可能性があります。
ここでは、雇用契約書が交付されない場合に起こりうるリスクや注意点をご紹介します。
合意内容を証明しづらくなり、トラブルにつながる可能性がある
労働条件は、労働条件通知書などの書面等で明示される必要があります。一方、雇用契約書は、企業と労働者の間で合意した内容を確認するために取り交わされることが多い書類です。
労働契約は口頭でも成立しますが、雇用契約書がない場合、採用時にどのような説明や合意があったのかを後から確認しづらくなる可能性があります。認識のずれが生じた際、「言った」「言わない」のトラブルに発展するケースもあるでしょう。
後々の認識違いや紛争を防ぐためにも、雇用契約書を取り交わし、合意内容を確認できる状態にしておくことが重要です。
不安や不信感につながる可能性がある
雇用契約書が交付されないと、「本当にこの会社で問題なく働けるのだろうか」と不安を感じる方もいるでしょう。
そうしたなかで、雇用契約書がなく、合意内容を確認できる書面がない状態だと、企業に対する不信感につながる可能性があります。
結果として、企業と労働者の信頼関係を築きづらくなり、早期退職やトラブルにつながるケースもあります。
雇用契約書や労働条件通知書がもらえなかった場合はどうしたらいい?
雇用契約書や労働条件通知書がない場合には、トラブルやリスク軽減のために、以下のような対処をしておきましょう。
雇用契約書や労働条件通知書をもらえるよう雇用主に依頼する
まずは、雇用主に対して雇用契約書や労働条件通知書の交付をお願いすることが基本です。
単なる手続き漏れや事務的な遅れであるケースも多いため、丁寧に確認すれば、対応してもらえるでしょう。
労働条件通知書がもらえない場合は労働基準監督署に相談する
雇用主には雇用契約書の交付義務はありません。
ただし、労働条件は必ず書面などで明示しなければならないと、労働基準法第15条第1項に記載されています。
労働条件通知書を交付してもらえなかったり、労働条件を書面で通知してもらえない場合は、労働基準監督署に相談することを検討しましょう。労働基準監督署から企業に対して指導や是正勧告が行われることがあります。
労働基準監督署から指導が入った後も書面の通知がない場合、労働基準法第120条第1号により、企業に30万円以下の罰金が科せられるため、強制力があります。
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まとめ
雇用契約書は、雇用主と労働者の合意を示す重要な書類です。しかし、雇用契約書が交付されなかったとしても違法になるわけではありません。
雇用契約書を取り交わす際に、労働条件を文書として確認することで不利な労働条件での雇用契約を防ぐなど、トラブル防止につながります。
また、提示されていた条件と入社後の環境が異なる場合、雇用条件を書面として持っておけば、「言った」「言わない」の水掛け論を避けることもできます。
いざという時に自分を守るためにも、雇用契約書や労働条件通知書はできるだけ交付してもらうことをおすすめします。自分の労働環境を守るために、しっかりと企業に確認しましょう。
監修者
篠田 恭子(しのだ きょうこ)
特定社会保険労務士
おひさま社会保険労務士事務所 代表
1977年埼玉県川越市生まれ。システムエンジニアとして約10年勤務。仕事・子育てをしながら、2011年社会保険労務士試験に合格。2013年1月社会保険労務士事務所を開業。2014年4月特定社会保険労務士付記。2018年5月移転を機に事務所名を「おひさま社会保険労務士事務所」に変更。「働くすべての人が『楽しい』と思える職場づくりを応援します!」を経営理念に掲げ、地域の企業を元気にするために、日々活動している。
全国社会保険労務士会連合会、埼玉県社会保険労務士会、埼玉県社会保険労務士会 川越支部所属。
マイナビ転職 編集部
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