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情報をプラスする

いい仕事をするには、情報を上手に利用することが不可欠。職場で使える処世術、賢いオフィス・コミュニケーションや便利な言い回しをくまなく伝授！

一回り上の仕事をするために

問題が起こった時の対処法は、仕事のマニュアル本に書かれています。ところがビジネス・マニュアルに、どうやればもっといい仕事ができるかという質問に対する答えを見つけるのは、案外難しいかもしれません。

その理由はいくつかあります。まず、「いい仕事」の内容が人によって非常に異なっていることが考えられます。更に、仕事に特効薬や万能薬なんて存在しない可能性もあります。そして、もしかしたら回答があまりにも当たり前すぎる、ということも……。

もっとも、当たり前の回答でも、私たちが気づかないことはたくさんあります。そんな一つが「情報」を上手に利用する方法です。

小さな情報を発信する

集団の中で仕事をする時には、相手により多くの情報を与えることができる人が、一歩抜きんでます。ですから、普段から情報収集を心掛けましょう。直接仕事関係のないように見える情報でも、広い意味での分析に役に立つし、雑談から新たな企画につながることもあるのです。

情報は、集めるものであると同時に、自分から発信するものでもあります。そして、それが小規模で断片的なものであってもかまわないのです。例えば、仕事の進展を尋ねられた時、「今、やっています」ではなく、「今日の4時ぐらいにはできあがります」と少し情報をプラスすれば、相手もほかの仕事との調整がやりやすくなるでしょう。

同じように、忙しい上司に話をする時は、「○○の件で、5分時間をください」と具体的に。打ち合わせを招集する時には、「案件はAとB。所要時間は30分の予定」と情報を少し加えるだけで、あなたの状況判断力が評価されるでしょう。

情報は出し惜しみしない

かつては、情報を持っている人が社内でも強い立場に立っていました。最近は、インターネットと電子メールの発達で、情報が行き渡るスピードが速くなっていますし、会社によっては、社長や会長と直接メールのやりとりも可能です。

こういった世の中では、情報は出し惜しみしている間に古くなってしまいます。ですから、どんどん同僚と共有しましょう。そして、自分が情報を公開すれば、相手も必ずそれに情報をプラスしてくれます。

例えば、会議の席では「○○問題、困っています。どうしましょうか？」「何かいい案ないですか？」と丸投げ質問をせずに、「自分はこんなふうにしたら解決できると考えているのですが、どう思われますか？」とか、「実は前に似たような事例があって、それが参考になると思うのですが……」と、自分の知っている範囲の情報を提供してはどうでしょうか。

情報が正解を導き出す呼び水のような役割を果たしてくれることもあるのです。

情報収集ツールとしてのネットに注意

インターネットが普及して、情報収集は昔に比べてグンと楽になりました。ネットで新聞・雑誌記事を読むこともできるようになったし、図書館のカタログにもつながっています。

反面、ネットには危険もあります。まず、ネットに書かれていることはすべてが事実ではありません。新聞や通信社、研究組織のサイトに書かれている内容は信用できるとしても、匿名のブログやそれをコピーしたような内容やデータを無制限に信用しないこと。企画書などに使う場合は、データの出典を確かめてからにしましょう。

「いい仕事」は、普通の仕事の延長線上に存在しています。そこに届くかどうかは、ほんの少しの努力次第ではないでしょうか。

その他の仕事に役立つコミュニケーション能力

PROFILE

朽木ゆり子（くちきゆりこ）

東京生まれ。国際基督教大学卒、同大学院修士課程修了後、ニューヨークのコロンビア大学大学院で学ぶ。帰国後、フリーランスのライター・編集者を経て雑誌エスクァイアの副編集長に。94年、家族と共にニューヨークに移住。著作にはアート関係のノンフィクション『盗まれたフェルメール』（新潮社）『パルテノン・スキャンダル』（新潮社）など。そのほか『はたらく女性のための英会話レスキューブック』（集英社）では、仕事を助ける英語コミュニケーションを解説した。

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