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第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

Vol.259 作家 結城真一郎
誰かにできたのなら自分にもやれるはず

Heroes File Vol.259
掲載日:2022/12/2

結城真一郎さんの写真1

自作の短編小説集『#真相をお話しします』が、発売前に海外翻訳が決定し、発売後はわずか20日間で発行部数6万部を突破するなど大ブレーク中のミステリー作家、結城真一郎さん。
すでに人気作家の地位を獲得しつつも、一方で民間企業の会社員として働いている。そこには結城さんならではの仕事観がある。兼業へのこだわり、人生の選択基準など、その思いを伺った。

Profile

ゆうき・しんいちろう/1991年神奈川県生まれ。東京大学法学部卒業。『名もなき星の哀歌』で第5回新潮ミステリー大賞を受賞し、2019年デビュー。他の著書に『プロジェクト・インソムニア』『救国ゲーム』。最新刊は22年6月発売の『#真相をお話しします』(新潮社)。

日本の文壇で、ミステリー界の新星として注目を集めている結城さん。最新作『#真相をお話しします』は発売わずか20日間で発行部数6万部を突破し、以降も増刷を重ねて2022年10月時点で累計12万5千部を超えているという。

ユーチューバーやマッチングアプリ、リモート飲み会など、現代ならではのテーマにミステリーを織り交ぜた短編小説5編を収録。どの作品も、ちりばめられた伏線に微妙な違和感を覚えながら読み進めていくと、不意を突くどんでん返しが待ち受けている。それ故、かつてない読み味と評価も高い。

「昔は存在しないけれど今は身近で生活の延長線上にあるものを主軸に据えることで、誰も踏み込んでいない新たな領域のミステリーになると確信して書きました。収録作はどれも、信じていた日常が崩れ去るような物語。読後、物事の見え方がちょっと変わったと感じるような体験をしてもらえたらと思っています」

開成中学・高校から東京大学法学部へ進学。そのまま法曹界か官僚の道を選んでもおかしくない学歴を持ちながらも、「世間がイメージするレールに乗ると、おぼろげながら先が見えてしまう。ずっとそこから外れる生き方がしたいと考えていました」と語る。

結城真一郎さんの写真2

作家を志したきっかけは、中3の卒業文集に掲載した、小説『バトル・ロワイアル』のパロディー作。「所属していたサッカー部の実在する同級生たちが、高校進学の権利一枠を争って校舎内で殺し合いをするという内容です」

いざ書き始めたらすっかりのめり込んで、原稿用紙600枚ほどの大作になった。「書くことも楽しかったのですが、それ以上にうれしかったのは反響の大きさ。同級生はもちろん保護者の方々も読んでくれ、熱い感想まで寄せてくれた。それが大きな自信につながり、いつか作家になろうと心に決めました」

本腰を入れて小説を書き始めたのは大学4年の時だ。同じ学部の辻堂ゆめさんが「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞し、作家デビューしたことが引き金となった。それまで漠然と「作家になる」と考えつつも何も行動を起こしていなかった結城さんは、完全に鼻っ柱をへし折られ、「いったい自分は何をやっていたんだ」と打ちのめされたという。

「彼女のおかげで一念発起することができました。同級生にやり遂げた人がいるんだから、自分にもできないことではないと。そう思えたことが励みになりました」。以後、コツコツと書き続け、数年後の18年に新潮ミステリー大賞を受賞。そして翌年、念願の作家デビューを果たしたのである。

人生の大きな選択は後悔の総量で決める

結城真一郎さんの写真3

21年、日本推理作家協会賞(短編部門)を平成生まれの作家で初めて受賞し、22年は3冊目の長編作品が本格ミステリ大賞(小説部門)の候補作に選出されるなど、ミステリー作家として着実に実績を重ねている結城さん。実は会社員でもある。

学生時代に執筆を開始して「20代で作家デビュー」を目標に掲げた一方、作家になっても会社員は続けると決めていたという。

「金銭的なこともありますが、社会へ出て働くことでしか出会えない人たちがいるし、経験できないことがあります。もし専業作家になっていたら、摂取できる情報量や経験値が圧倒的に減ってしまう。それは創作活動を続ける僕にとってマイナスになると思ったのです」

例えば新著『#真相をお話しします』に出てくる、家庭教師の仲介会社でアルバイトをする大学生もリモート飲み会のことも、実体験が元になっている。

「会社の仕事がうまくいかず落ち込んだり叱られたりすることも日々人並みに経験しています。原稿の締め切りが重なって会社との両立が大変な時も正直あります。でも、それらすべてがいつか小説に生かせると思っているので、精神的なストレスは少ないですね」

そして小説を書く原動力。それは、誰かを面白がらせたいという一心に尽きると話す。

「小さい頃から人を笑わせるのが好きで、幼稚園児の頃、先生に『吉本興業へ行きなさい』と言われたほど(笑)。それと創作も好きだったんです。この二つの思いを同時に実現できるのが小説を書くこと。どうしたら読者に驚いてもらえるかと、悪ガキ気分で小説のアイデアを練っている瞬間が至福のひとときなんです。僕は明確に読み手を意識し、その人たちが喜んでくれることを目指して書いています。読み手がいなければ書かないと思います」

結城さんは何かにチャレンジする際、「人にどう思われるか」とか「どうせダメだろう」とかといったように、自分の可能性を制限するような線引きをしないようにしているという。「体面や世間体など関係なく、純粋に自分がしたいことをやるのだから」

また、後悔したくないという思いが強いので、人生の岐路で選択しなければならない時は後悔の総量で決めるそうだ。「その道を選んだことで何が得られるかよりも、選ばないことで何を失うか。機会損失に着目して判断することが多いです」

22年現在31歳。東野圭吾さんや伊坂幸太郎さんたちのような、知名度のある国民的な作家を目指している。決して遠い夢ではなさそうだ。

ヒーローへの3つの質問

結城真一郎さんの写真4

現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

就職先は小説を書くことを念頭に若いうちから色々な経験ができそうかという軸で選んだので、それがなければ別の会社で働いていたかもしれません。あるいは、子どもの頃、吉本興業へ行けと言われたことがあったので、本気でお笑いの道へ進んでいた可能性もありますね。

人生に影響を与えた本は何ですか?

『バトル・ロワイアル』(高見広春著)です。中3の時、この小説の設定を借りて、サッカー部のメンバーが高校へ進学するための権利獲得を懸けて戦い殺し合うという小説を書き、それをきっかけに小説家を志したので。影響を受けた本はたくさんありますが、これは別格です。

あなたの「勝負●●」は何ですか?

エナジードリンク。かなり大事な局面を書く時は、必ず傍らに「モンスターエナジー」のボトル缶を置いて飲みながら書いています。シャキッとするというのもありますが、これを飲んだらすごく筆が乗ったという過去の経験が大きいですね。

Infomation

短編小説集『#真相をお話しします』が発売中!

結城真一郎さんの短編小説集『#真相をお話しします』(新潮社/1,705円〈税込み〉)が、2022年6月末に発売された。その発売前に海外翻訳が決定し、数々の著名人から絶賛のコメントが寄せられるなど異例づくし。更に、発売直後から「予想のさらに上を行く結末!」「この真相は絶対に見破れない」「恐ろしいのに爽快」など次々に口コミも寄せられた。この本は、ユーチューバーやマッチングアプリ、精子提供、リモート飲み会など現代的なテーマにミステリーを織り交ぜた短編5編によって構成されている。「例えば迷惑系ユーチューバー。視聴回数を稼ぐため、迷惑行為や下手したら犯罪行為に及ぶこともしている。ほんの10年前には考えられなかったこと。なに馬鹿なことをやっているんだと思いつつも、興味を持ち、怖いもの見たさで見てしまう自分がいる。そういった、現代の新しい技術や価値観がもたらしたものの中で生じる“日常のゆがみ”や“新たな動機”に着目して書いたものばかりです」と結城さん。いずれも身近なものがテーマなので、ふだんミステリー小説を読まないという人でもスッと物語に入り込めるはずだ。

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