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ベンチャー企業とは?定義・スタートアップ企業との違い・メリット・デメリットを解説

更新日:2025年09月16日

ベンチャー企業とは?定義・スタートアップ企業との違い・メリット・デメリットを解説
伊藤 ゆかこ

監修者伊藤 ゆかこ

キャリアコンサルタント/oriiro career代表

記事まとめ(要約)

  • ベンチャー企業の正式な定義は存在しない
  • 最先端の技術、ビジネスモデルを武器にした会社経営を目指していることが多い
  • スタートアップとも似ているが、まったく同一のものではない
  • ベンチャーで働くメリットは裁量が大きい、挑戦できる、経営層と距離が近いなど

ベンチャー企業は新しいことに挑戦できるとわくわくさせるイメージがありますが、実態について求人票では分からない部分も多くあります。

ベンチャー企業への転職を検討する場合、「実際裁量はどのくらい持てるんだろう」「待遇面や収入面は本当に良くない?」「自分は向いているのか」などと心配になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ベンチャー企業への転職を検討している方に向けて、ベンチャー企業の定義やベンチャー企業に転職する前に知っておきたいポイントについて解説します。

目次

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    ベンチャー企業とは? 定義や特徴について簡単に解説

    ベンチャー企業ってどんな企業?

    前提として、「ベンチャー企業」の正式な定義は存在しません。

    英語ではベンチャー(Venture)が「冒険・投機」という意味がありますが、日本で使われているベンチャー企業とは「独自の技術やビジネスモデルを武器に新しいサービスや製品で社会課題の解決に取り組む会社」を指します。

    また、一般的に大企業と比べるとベンチャー企業の規模は小さく、小規模から中規模であることが多いです。

    ベンチャー企業とスタートアップ企業の違い

    スタートアップ企業とは、革新的な技術やアイデアを取り入れながら、新しいビジネスモデルを開発する企業のことです。新しいビジネスモデルを探求するという意味ではベンチャー企業とも似ており、スタートアップ企業をベンチャー企業の一部と考える場合もあります。

    スタートアップ企業では、IPO(新規株式公開)やM&A(企業の合併・買収)などの出口戦略を持って短期間(2~3年)での目標達成を掲げるケースが多いです。事業展開のスピード感や成長速度にフォーカスして、短期間での急成長を目指すことが特徴です。一方のベンチャー企業は、中長期的に目標達成を目指すスタイルといえます。

    なお、ベンチャー企業もスタートアップ企業も、従業員数や設立年数について明確な定義はありません。

    中小企業は会社の規模によって決められている

    中小企業とは、企業の規模で分類する方法で、下記中小企業庁が定める規定内の企業を意味します。

    業種中小企業者
    (下記のいずれかを満たすこと)
    小規模企業者
    資本金の額
    または
    出資の総額
    常時使用する
    従業員の数
    常時使用する
    従業員の数
    製造業、
    建設業、
    運輸業
    その他
    3億円以下300人以下20人以下
    卸売業1億円以下100人以下5人以下
    小売業5,000万円以下50人以下5人以下
    サービス業5,000万円以下100人以下5人以下
    (※1)
    • 中小企業関連立法においては、政令により以下を中小企業とする場合があります

      ・ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金3億円以下 または 従業員900人以下
      ・旅館業は、資本金5,000万円以下 または 従業員200人以下
      ・ソフトウエア業・情報処理サービス業は、資本金3億円以下 または 従業員300人以下

    1. 商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律(小規模事業者支援法)、中小企業信用保険法、小規模企業共済法の3法においては、宿泊業及び娯楽業を営む従業員20人以下の事業者を小規模企業としています。

    参考:中小企業・小規模企業者の定義|中小企業庁(2025年7月)

    このように、「中小企業」は企業規模による分類であり、「ベンチャー企業」とは異なる意味です。

    ただし、新しいビジネスモデルを開拓するベンチャー企業は、設立したばかりで企業規模が小さい傾向にあります。そのため、企業規模で区別する際に、中小企業として分類されるケースも多々あるでしょう。

    つまり、「中小企業=ベンチャー企業」ではないものの、企業規模によっては「中小企業とみなされるベンチャー企業」は存在するということです。

    なお、大企業に成長したベンチャー企業を「メガベンチャー」と呼ぶこともあります。

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    転職する前に知っておきたい! ベンチャー企業で働くメリット・デメリット

    ベンチャー企業でメモを取る男女のイメージ画像

    ベンチャー企業に転職したいと思っていても、実際に働いたことがなければその実態をイメージすることは難しいでしょう。「残業が多い?」「大企業と比べて福利厚生はどうなの?」「どのような働き方になるの?」と不安になる方もいるのではないでしょうか。

    転職活動を本格的に進める前に、ベンチャー企業のメリットやデメリットについて把握しておきましょう。

    メリット1:1人当たりの裁量が大きい

    大企業は複数人でのプロジェクトが多いため、業務が細分化されていて、プロジェクトの一部分のみを担うケースが多いです。

    一方のベンチャー企業では、そもそも少人数での立ち上げで、採用リソースが足りないことが多々あります。そのため、1つのプロジェクトを少人数、もしくは1人で担当する形が多いです。

    転職したばかりの時期であっても、今までの実務経験で培ったスキル次第で、大きなプロジェクトを任される可能性もあるでしょう。「自主的にチャレンジをしたい」「裁量が大きいほうが動きやすい」という方は、少人数のベンチャー企業で活躍しやすいかもしれません。

    メリット2:常に新しいことに挑戦できる

    ベンチャー企業は、他社がやらない・チャレンジしていない分野に挑戦する企業であるため、新しいことに積極的に挑戦できる環境が整っています。

    「常に新しいことに挑戦したい」「自分なりに工夫しながら仕事に取り組みたい」という方は、保守的な企業よりもベンチャー企業のほうが実現できる可能性が高いでしょう。

    メリット3:経営層との距離が近い

    従業員数の少ないベンチャー企業では、経営層とも必然的に距離が近くなります。大企業では、「社長の隣で新入社員が働く」というケースは比較的少なめですが、ベンチャー企業では珍しくありません。

    仕事の悩みを相談したり、自分の考えを直接社長や役員に伝えたりすることも、ベンチャー企業であれば実現しやすいでしょう。

    経営層の働き方を間近で見ながら、知識や経験をじかに吸収していくことも可能です。経営層との距離が近い分、「会社の成長に直接関わっている」という意識も持ちやすくなるかもしれません。

    メリット4:自分の成果や実力により昇進や昇給も期待できる

    ベンチャー企業は、従業員が出した成果に応じて、給与や昇進を決める傾向にあります。年功序列の会社と違って、成果次第では、入社後の早い段階から出世できる可能性があります。自分が頑張って成果を出すほど、給与アップ・好待遇につながるでしょう。

    自分の努力の積み重ねが給与として数値に表れること、重要なポジションを与えられることは、成果主義を好む人にとって魅力的な要素です。「自分の頑張りを評価してほしい」「昇進や昇給のために努力したい」という方は、成果重視のベンチャー企業のほうがモチベーションを保ちやすいでしょう。

    デメリット1:教育制度が充実していない場合がある

    ベンチャー企業といっても、企業によってその規模はさまざまです。

    小規模なベンチャー企業は、大企業と比べると、どうしても人的リソースが少なくなります。そのため、ゼロから新人を教育する仕組みや研修制度が整備されていない可能性もあるのです。

    もちろん、「小規模なベンチャー企業=教育制度が充実していない」とは限りません。また、メガベンチャーともいわれる大企業と同じ規模に成長したベンチャー企業は、大企業と変わらず、教育制度が充実しているところもあります。企業によって社員教育についてのスタンスは異なるので、あくまで傾向として理解しておきましょう。

    デメリット2:企業に比べて収入が低くなりやすい

    ベンチャー企業の多くは、設立して間もなく、成長中の企業が多いです。そのため創業期はまだ会社の収益が安定しておらず、利益がそれほど出ていないケースもあるかもしれません。

    もちろん、ベンチャー企業であっても、これから急成長して経営が安定する可能性はあります。しかし、企業の成長を目指す段階では、必然的に社員への給与も少なくなりがちです。仮に現在の待遇が期待ほどではなくとも、自社株を決められた金額で購入できる権利を付与するストックオプションやインセンティブが用意されている会社もあります。

    また、自分の力で会社を成長させ、将来の利益につなげていくやりがいが得られやすい環境であるともいえます。会社を選ぶ際にはそういった部分にも目を向けると選択肢が広がるでしょう。

    ベンチャー企業に向いている人

    ベンチャー企業で働いている男女のイメージ画像

    ベンチャー企業での働き方は、大企業と異なる点が多々あります。ベンチャー企業のメリット・デメリットと併せて、「自分にとって働きやすい企業であるか」「モチベーションを維持できるか」という点にも注目して、転職を検討しましょう。

    ここでは、ベンチャー企業で働くことが向いている人の特徴について説明します。

    幅広く経験を積んで成長したい人

    先述のように、ベンチャー企業は少数精鋭で運営しているところが多く、大企業と比較すると人材リソースを割けない傾向にあります。そのため、1人が1つの業務に専念する形ではなく、さまざまな業務に携わるマルチな活躍が求められるでしょう。

    多くの業務に携わるということは、その分より幅広い経験を積むことができるという意味です。ベンチャー企業で働くことによって、マルチタスクをこなす能力・自分で考えて行動する能力・臨機応変に対応する能力などが身に付きます。

    「いろいろな経験を積んで急成長したい」「変化のなかで積極的にスキルを習得したい」という方は、ベンチャー企業に向いているでしょう。

    不確かな状況でも積極的に動ける人

    ベンチャー企業の特徴の一つとして、「新しいビジネスモデルを開拓する人の集まり」である点が挙げられます。そのため、過去に誰も取り組んだことがないようなビジネスを、自分たちが主導権を握って進めていくケースもあるでしょう。

    新しいビジネスモデルを開拓するということで、それなりのリスクやプレッシャーも覚悟しなくてはなりません。「今後どのようなトラブルが起こるのか」「どのようなリスクがあるのか」という点が明確に読めないなかで、手探り状態で前へと進んでいくわけです。過去の事例を参考にできないことも多いため、多少のリスクを覚悟しながら積極的にチャレンジしていく必要があります。

    しかし、自分たちでゼロから作り上げた新しいビジネスが成功した時には、苦労した分だけ大きな喜びを感じられるでしょう。

    リスクがあったり、不確かな状況で新しいことへの取り組みに喜びを感じられる人、新規開拓を楽しんでやれる人は、ベンチャー企業に向いているといえます。

    将来的に独立・開業を検討している人

    ベンチャー企業の場合は、経営層である社長や役員の近くで働けるケースも多くあります。そのため、トラブルが起こった際にどのように対処するのかなど、経営者のビジネスに対する姿勢を間近で見られます。

    このことは、将来的に独立・開業を検討している人にとって、貴重な機会といえるでしょう。ベンチャー企業で働きながら経営者層の考え方に触れることで、数多くの学びを得られるはずです。

    「自分で会社を立ち上げたい」「将来的に経営者として活躍したい」という方にとって、ベンチャー企業での学びはその後の大きな糧となるでしょう。

    自分から成長し学ぶ意欲がある人

    大企業などと比べると、少人数のベンチャー企業は、教育制度や研修制度が整備されていない傾向にあります。そのため、教えてもらうのを待つのではなく、自分から学びの機会を積極的に見つけていく必要があるでしょう。

    教育制度や研修制度が十分ではない場合でも、自分たちがやろうとしているビジネスに関する本を読んだり、セミナーや意見交流会などの場に足を運んだりすることはできます。

    ベンチャー企業は、上司や先輩の仕事を隣で見ながら自分なりに成長していける人、成長するために何をすれば良いのか自発的に考えて行動できる人に向いているでしょう。

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    ベンチャー企業に向いていない人

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    ベンチャー企業で自分の力を存分に発揮できる人もいれば、その逆の人もいます。そもそも自分はベンチャー企業での働き方が合っているのか、転職を検討する前にしっかりと考えておきましょう。

    ベンチャー企業で働くことが向いていない人の特徴は、以下のとおりです。

    働きながらじっくりスキルアップしたい人

    大企業・中小企業などと比べると、ベンチャー企業では今まで培ってきた経験や知識を即戦力として最大限に活用しながら、自主的にスキルアップしていくことが求められます。

    また、ベンチャー企業ではそもそもマニュアルがないことも多く、手探り状態で仕事のやり方を模索していくことになります。

    そのため、「充実した研修を受けながらスキルアップを目指したい」「マニュアルを見ながら着実に仕事をこなしたい」という方には、あまり向いていないでしょう。

    福利厚生や給与などに安定を求める人

    「ベンチャー企業は安定しない」といわれることもありますが、必ずしも福利厚生や給与が悪いというわけではありません。一部のベンチャー企業では、大企業や中小企業の平均よりも魅力的な福利厚生を備えているところもあります。

    ただし、企業の安定性という意味では、どうしても大企業と比較すると不安な点があるでしょう。新しいビジネスが成功して急成長する可能性もありますが、その逆ももちろんあります。

    そのため、福利厚生や給与面を重視する人、将来的な急成長よりも安定性を求める人には、ベンチャー企業は向いていないでしょう。

    自分から積極的に動くことが苦手な人

    ベンチャー企業は大企業などと比較すると、人材が豊富ではないケースがあります。少人数でそれぞれがマルチタスクをこなしていて、新入社員に対して細かく指示する余裕がないこともあるでしょう。

    そのため、「自分から積極的に動くのは苦手」という人には、ベンチャー企業は向いていないかもしれません。

    また、ベンチャー企業の多くは、新しいビジネスを生み出すことにチャレンジしています。そのため、従業員のそれぞれが自発的に動いていかなければ、競合に追い抜かれてしまう可能性もあります。会社からの指示を待って行動するのではなく、自分から積極的にビジネスに向き合う姿勢が強く求められます。

    「今取り組んでいるビジネスに何が必要なのか」「どうすれば商品やサービスをより多くの人に知ってもらえるのか」など、自発的に考えて行動することが求められるでしょう。

    ベンチャー企業は危ない? ベンチャー企業への転職で失敗しないためには

    ッケーサインしている女性のイメージ画像

    ベンチャー企業への転職を候補に入れようとした時、「ベンチャー企業は危ないのでは?」と一抹の不安を感じる方も少なくないでしょう。ベンチャー企業の特徴を理解しておけば、「こんなはずじゃなかった……」という失敗も防げるでしょう。

    ここでは、ベンチャー企業への転職を検討している方に向けて、気を付けておきたいポイントを説明します。

    検討するベンチャー企業の規模を確認し、前職とのギャップを把握しておく

    そもそもベンチャー企業の規模によって、業務分担のやり方・事業方針の変化の度合い・社内教育・研修・福利厚生の充実度などは異なります。そのため、できるだけ事前に情報収集をして、自分の希望条件とどれだけ合致しているかをチェックするようにしてください。

    自分の働きたいイメージと実際の働き方に大きなギャップがあれば、長期にわたって働くのは難しくなります。業界や職種のイメージだけで判断するのではなく、前職と検討中のベンチャー企業との違いを理解しておくことが大事です。

    転職先のベンチャー企業でどのような働き方ができるのか、前職とどのような点で違うかなどを把握することで、転職後のミスマッチを避けられるでしょう。

    給与や福利厚生など待遇面を事前確認

    ベンチャー企業は専任の採用担当者を抱えていないケースがあります。そのため、給与や福利厚生に関する説明が不足している可能性があります。

    あやふやな点を残したまま入社をしてしまうと「話が違う!」「こんなはずじゃなかった」となるケースも起こり得るかもしれません。待遇面などについて気になるところがあれば、面接時に直接確認して、あやふやな点を残さないようにしましょう。

    将来のキャリアを明確にしておく

    ベンチャー企業で働きたいなら、単に新しいことに挑戦してみたいなどと漠然としたイメージで転職を決めるのではなく、将来のキャリアを見据えて転職活動を行うようにしてください。

    特に、「なぜベンチャー企業で働きたいのか」「ベンチャー企業でどのように活躍したいのか」「どのようにキャリアを積んでいきたいのか」を明確にしておくことが大切です。自分の理想を明らかにすることで、その後の方向性にもブレが少なくなります。

    「転職後の収入が予想よりも少なかった」「想定していた働き方とギャップがあった」という場合でも、将来のキャリアがはっきりと見えていれば、次に進むべき道にも迷いが生じにくいでしょう。たとえ転職そのものに満足できなかったとしても、その経験を次のステップに生かすことができるでしょう。

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    ベンチャー企業に好印象を与える志望動機例文

    ここでは、ベンチャー企業に応募する際に履歴書に記載する志望動機の例文をご紹介します。自分らしい魅力を伝える参考例として活用してください。

    なお、下記の例文は履歴書の記載用のため「貴社」を使用しています。面接など口頭の際は「御社」と言い換えてください。

    変化を楽しみたい

    <例文>

    私は、日々変化する環境に柔軟に対応しながら、自らも成長していきたいと考えています。

    貴社のようにスピード感を持って挑戦を重ねるベンチャー企業であれば、常に新しい課題や刺激に出会えると感じました。

    変化を前向きに捉え、自分の強みに変えていける環境で、チームの一員として貢献したいと思い、志望いたしました。

    <ポイント>

    「変化を楽しみたい」気持ちは、成長意欲や柔軟性とセットで伝えるのが効果的。

    企業の変化スピードに共感し、自分の強みに転換できる姿勢を明確にしましょう。

    裁量の大きさに魅力を感じている

    <例文>

    私は、自ら考え行動することにやりがいを感じるタイプです。

    そのため、一人ひとりの裁量が大きく、若手でも積極的に挑戦できる貴社の環境に大きな魅力を感じました。

    責任ある仕事を通じて成長し、成果でチームに貢献したいと考えています。

    早くに責任ある仕事に取り組むことで、視座を高めて貴社でチームを牽引できる存在となり、貴社の成長に貢献したいと考え志望いたしました。

    <ポイント>

    裁量の大きさに魅力を感じた理由を具体的に伝えましょう。

    「自ら考え行動したい」「責任ある仕事をしたい」といった主体性と、裁量を与えてくれる企業への貢献意識を絡めるのが効果的です。

    企業のビジョンや課題への共感

    <例文>

    貴社が掲げる「情報格差や機会格差をテクノロジーで是正する」というビジョンに強く共感しております。

    これまで〇〇業界でマーケティング業務に従事し、情報の偏在が顧客の選択肢や行動に大きく影響する場面を数多く見てきました。

    その経験から、情報アクセスの不均衡を解消することが、個人や社会の可能性を広げる鍵であると確信しています。

    貴社のように、一人ひとりが主体的に選べる社会の実現を目指す企業で、ユーザー視点を大切にしながら、事業拡大と価値創造に貢献していきたいと考え、志望いたしました。

    <ポイント>

    企業の掲げる社会的ビジョンに対して、自分がなぜ当事者意識を持てるのかを語ることが重要です。

    新卒であれば体験談、転職であれば職務経験や業務を通じた実感と結びつけることで、ビジョンとの接点がより説得力を持ちます。

    スピード感のある成長環境に惹かれている

    <例文>

    私は、自らの意思で動き、試行錯誤を重ねながら成長できる環境に身を置きたいと考えています。

    貴社のように、意思決定が早く、トライ&エラーを歓迎する文化がある企業では、若手でも裁量を持って挑戦し続けられると感じました。

    現職では承認者の数が多く、新しい施策も承認に時間がかかってチャンスを逃す場面にも遭遇しました。

    貴社ではスピード感を持って積極的にチャレンジすることで、更に事業の成長を加速させたいと考え、志望いたしました。

    <ポイント>

    「スピード感」は抽象的なので、自分がそれを体感した経験や、そこにやりがいを感じた理由を添えましょう。成長意欲とのセットで語るのが効果的です。

    チームでの挑戦やゼロからの価値創出に意欲

    <例文>

    私は、チームで議論を重ねながらゼロから価値を生み出していくプロセスに大きなやりがいを感じてきました。

    前職では、新規サービスの立ち上げプロジェクトに参画し、課題設定から企画、実行までを部門横断のメンバーと共に推進しました。

    限られたリソースの中で試行錯誤を重ねながら成果を形にした経験から、挑戦的な環境こそ自分の力を発揮できる場だと実感しています。

    貴社のように少数精鋭でスピード感を持ち、新しい価値を生み出す企業で、未知の挑戦をチームと共に乗り越え、事業成長に貢献していきたいと考え、志望いたしました。

    <ポイント>

    「ゼロからの価値創出」は抽象的に聞こえがちなので、新規事業・サービスの立ち上げ、プロジェクト推進など具体的な業務経験を示すと説得力が高まります。チームでの協働経験と、困難に挑戦する姿勢をセットで語ることで、即戦力としての意欲を伝えやすくなります。

    起業や事業責任者を目指している

    <例文>

    将来的には、自ら事業を立ち上げ、社会に新たな価値を提供できる人材になりたいと考えています。

    そのために、まずは貴社のように若手にも責任あるポジションを任せ、事業づくりの全体に関われる環境で経験を積みたいと思いました。

    前職では、新規事業の立ち上げに携わり、集客施策の企画やサービス改善を主導しました。

    その過程で、事業を「つくる」視点や全体像を学び、自らの成長とチームの成果を両立させることができました。

    今後はその経験を活かしつつ、貴社の成長に貢献しながら事業責任者としての力を磨いていきたいと考え、志望いたしました。

    <ポイント>

    「起業志向」は企業によってはリスクと受け止められるため、「まずは企業で貢献し、事業づくりを学ぶ」という姿勢を前面に出すことが重要です。

    新規事業・サービス企画や改善に関わった実績を示すことで、即戦力性と学習意欲の両立をアピールできます。

    まとめ

    上記で述べたようにベンチャー企業は自分の成長が期待できる面もあれば、不安な面もあります。それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、転職活動を進めることが大切です。

    実際のところ「大企業だから安心」「ベンチャー企業は危険」というわけではありません。各企業によって待遇面や成長の度合いは異なりますので、「理想に近い企業はどこか」を見つけるには、入念なリサーチが重要です。

    ベンチャー企業には、大企業とは異なる魅力もたくさんあります。自分がベンチャー企業に向いているのかを判断したうえで、納得のできる転職先を探しましょう。

    監修者

    伊藤 ゆかこ

    伊藤 ゆかこ

    キャリアコンサルタント
    oriiro career代表

    大学院で心理学研究に従事後、新卒では技術者派遣のコーディネーターとして、スタッフの登録面談や求人紹介などを担当。その後事務職を経て、2018年に人材紹介業に転身し、複数社で第二新卒から50代の役員クラスまで幅広い世代の転職支援並びに企業の採用支援を行う。

    2024年に個人事業主としてoriiro careerを立ち上げ、20代〜50代まで幅広い年代の転職支援・キャリア相談を行うほか、大学での就職支援や仕事に関するノウハウをnoteで発信。また、ライターとしてHR領域のオウンドメディアの記事執筆も行う。

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