在宅勤務手当とは? 相場・事例と、実際にテレワークでかかる費用は? 転職活動で確認するポイント
更新日:2024年07月12日
監修者加治 直樹
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定社会保険労務士
記事まとめ(要約)
- 在宅勤務手当とは、在宅勤務の準備や環境継続にかかる費用の補助を目的とした手当
- 実際に在宅勤務にかかる費用は1カ月6,678~8,326円程度
- 在宅勤務可能=在宅勤務手当が出るわけではない
- 在宅勤務手当がある場合、通勤手当の支給が通常時と異なる場合がある
在宅勤務手当とは、在宅勤務の準備や環境継続にかかる費用の負担軽減・補助を目的として、企業から支払われる手当です。
この記事では、在宅勤務手当がある企業で働きたい、転職したいと考えている人に向けて、在宅勤務手当とはどのようなものなのか、その相場や支給方法も含めて解説します。
併せて、実際の転職活動で注意するポイントも紹介します。
在宅勤務手当とは?
在宅勤務手当とは、従業員が在宅勤務に取り組むうえでかかる費用の負担軽減のため、企業から従業員に支払われるものです。
在宅勤務はかねて、働き方改革を推進する手段の一つとして存在していました。現在では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、国としても在宅勤務の実施を一層推進する流れとなっています。
在宅勤務により、企業はオフィス賃料や交通費などのコスト削減ができるため、活用する事例が多くなっていますが、在宅勤務手当を支給するかどうかは企業によって異なります。
法的にも、雇用主に在宅勤務手当の支給義務はないため、支給の有無は各企業の判断に任されている状況です。
ただし、セキュリティを考慮した通信環境を整える費用や、勤務時間を自宅で過ごすことによる光熱費の増加など、在宅勤務に伴って新たに従業員の負担が発生することは事実です。
この状況を鑑みて、「在宅勤務手当」やそれに類する名称で、一定の手当を支給する企業が出てきました。
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在宅勤務手当の相場とは?
在宅勤務手当として支給される手当の額は、企業によって異なります。
1日に換算して数百円を勤務日数分のみ支給する企業もあれば、月額数千円などと決めて支給する企業もあるのです。
実際の支給事例をいくつか挙げてみましょう。
日額支給事例(1日当たり)
- 大手自動車メーカー:250円
- 大手通信企業:200円
- デジタルコンテンツ配信企業:500円
月額支給事例(月額)
- 大手通信会社:4,000円
- 大手ITベンダ:5,000円
先述のとおり、企業には在宅勤務手当の支給義務が課せられているわけではないため、支給される場合の金額も各企業の判断となります。
上記の支給額は相場というより、あくまでも一部の支給事例として参考にしてください。
実際に在宅勤務にかかる費用
在宅勤務にかかる費用は、業務内容や求められるセキュリティ環境によっても異なりますが、ここでは最低限必要な費用として、ノートパソコン・空調・照明の利用にかかる電気代と、インターネット接続にかかる通信費を考えてみましょう。
例として、完全在宅勤務で、会社から支給されたノートパソコンで業務に取り組むケースを想定します。
1日8時間で週5日勤務、1カ月に換算して20日勤務で計算すると、1カ月にかかる費用は6,678~8,326円です。
項目 | 消費電力目安 | 1カ月当たりの費用目安 |
---|---|---|
ノートパソコン | 20~50W | 86.4~216円 |
空調 | 560~680W | 2,419.2~2,937.6円 |
照明(LED) | 40W | 172.8円 |
インターネット回線代 | - | 4,000~5,000円 |
月額合計(小数点以下切り捨て) | 6,678~8,326円 |
1kWhあたり27円(税込み)で算出
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会「電力料金の目安単価の改定に関する件(平成26年4月28日)」の電力料金目安単価を参考にして計算
また、上に挙げた費用以外にも、セキュリティソフトの導入にかかる費用や、Web会議用のマイク・カメラの費用、デスクやチェアといった仕事環境の整備にかかる費用なども、新しく在宅勤務を始める際に発生する可能性があります。
在宅勤務手当には2つの支給方法がある
在宅勤務手当の支給方法には「現金支給」と「現物支給」の2パターンが存在します。それぞれの方法について見ていきましょう。
現金支給
毎月の給与に上乗せして、在宅勤務手当の名目で現金が支給されます。後述する現物支給よりも、現金支給のほうが一般的です。
現物支給
在宅勤務の支援として、現金ではなく「物」が支給される方法です。
例えば、仕事で使うためのパソコンを会社名義でレンタルしてもらったり、自宅の通信環境を整えるためのモバイルWi-Fiルーターを支給されたりするケースが、現物支給に当たります。
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在宅勤務手当は課税されるケース・されないケースがある
在宅勤務手当を会社から受け取る場合、手当に対して課税されるケースとされないケースがあります。
ここでは、どのような場合に課税・非課税となるのかを見ていきましょう。
在宅勤務手当が課税されるケース
在宅勤務手当として企業から一律で現金を支給された場合、その収入は課税対象です。この場合の在宅勤務手当は、実費の精算というより、用途を定めずに使えるお金として給与と同様の性格を持つため、課税対象と見なされます。
在宅勤務手当が課税されないケース
在宅勤務を行ううえで実際に発生した費用を従業員が立て替え、後日実費分を会社に請求し、その精算として現金を受け取る場合、その収入には課税されません。
例えば、パソコンのセキュリティソフト、作業用のデスク・チェア、Web会議用のカメラ・マイクなどをいったん従業員が購入し、領収書などを会社に提出して実費を精算する場合がこれに当たります。
また、会社が所有する事務用品などを貸与してもらう場合も、課税対象にはなりません。ただし、これらの物品の所有権が企業から従業員に移転される場合は「現物給与」として扱われるため、課税対象となります。
在宅勤務手当が支給される会社に転職したい場合の注意点
在宅勤務手当が支給される会社に転職をしようと考えている人に向けて、注意点を紹介します。転職後に「こんなはずではなかった」とならないように、事前に確認しておきましょう。
在宅勤務可能=在宅勤務手当が出るわけではない
在宅勤務手当は、在宅勤務に伴って従業員の費用負担に不公平が発生しないよう、各企業の判断で支給されるものです。企業に法律上の支払い義務はないため、在宅勤務で必ず手当が支給されるわけではありません。
転職活動をする際は、求人票に在宅勤務手当の支給が記載されているかどうか確認しておきましょう。
在宅勤務手当がある場合、通勤手当の支給が通常時と異なる場合がある
これまで通勤手当の支給を受けていた人が、在宅勤務手当が出る会社に転職をする場合には、通勤手当の扱いが変わる可能性があります。
在宅勤務手当がある会社の通勤手当の支給については、以下の2パターンが一般的です。
(1)毎月の通勤手当(定期券代)の代わりに、出社日の通勤代のみが支給される
(2)通勤手当が完全に廃止され、代わりに毎月定額の在宅勤務手当として支給される
(1)のケースで実費請求のかたちを取る場合、その通勤代は、出社が必要な時だけ都度支給される経費の精算と見なされるため、課税されません。
(2)のケースでは、定額支給される在宅勤務手当が給与所得の一部と見なされるため、課税対象になります。課税される分、手取り額が減る可能性があるので注意が必要です。
在宅勤務手当の詳細が気になる場合、面接などで事前に確認しよう
求人票に在宅勤務手当についての詳しい記載がない場合、面接などの選考段階で確認が必要です。
上記で説明したように、在宅勤務手当の支給の有無、支給される場合の金額、通勤手当の有無など、さまざまな点が企業によって異なるため、事前に確かめておきましょう。
ただし、面接で在宅勤務手当について確認する場合には、志望動機が雇用条件だけだと捉えられないように尋ねる必要があります。
なぜなら企業にメリットをもたらすよりも、自分がメリットを受けたい自分中心の人、というマイナスの印象を与えかねないためです。
面接の場では、志望動機や仕事への意気込みなどをしっかりアピールしたうえで、最後に福利厚生の確認として、在宅勤務手当の有無や金額について質問しましょう。
在宅勤務手当について尋ねる時の例
「仕事内容や業務環境に関して詳しくご説明いただき、ありがとうございました。ご期待以上の成果が上げられるよう、全力で努力いたします。大変恐れ入りますが、在宅勤務制度や在宅勤務手当など、福利厚生の面についてあらかじめ確認させていただいてもよろしいでしょうか」
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まとめ
在宅勤務手当とは、在宅勤務にかかる費用の負担軽減のため、企業から現金や現物で支給される手当です。
法律上、企業には在宅勤務手当の支払い義務はないため、在宅勤務手当の有無や金額、支給方法は企業によって異なります。
在宅勤務手当が支給される会社に転職をしようと考えている場合は、支給の有無や内容をあらかじめ確認しておきましょう。通勤手当との兼ね合いまで確認しておくと、更に安心です。
面接で在宅勤務手当について尋ねる際は、志望動機や仕事への意気込みをしっかり伝えたうえで、最後に福利厚生の確認として質問をすると、好印象につながりやすいでしょう。事前の確認を徹底し、ぜひ希望条件を満たす会社を見つけてください。
監修者
加治 直樹
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定社会保険労務士
銀行に20年以上勤務し、融資および営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士および特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。
現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能で、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。
マイナビ転職 編集部
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