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第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

Vol.189 講談師 神田松之丞
低迷する所にだって宝の山は見つけられる

Heroes File Vol.189
掲載日:2018/9/7

神田松之丞さんの写真1

2007年に、一般の人たちにはなじみの薄い講談の世界へ飛び込んだ神田松之丞さん。
現在、二ツ目でありながら独演会チケットは即日完売。高座はもちろん、ラジオ番組などでも人気がうなぎ登り。まさに講談界の救世主であり、これからの講談界を牽引(けんいん)していく存在なのは間違いなさそう。
そんな松之丞さんは、そもそもなぜ講談師を志したのか。講談師という仕事の魅力などと共に聞いてみた。

Profile

かんだ・まつのじょう/1983年東京都生まれ。2007年に三代目神田松鯉に入門。18年8月現在は二ツ目。TBSラジオ「神田松之丞 問わず語りの松之丞」(日曜午後11時から)のパーソナリティー。著書の最新刊『神田松之丞 講談入門』(河出書房新社)が発売中。

落語に比べ、なり手も聞き手も圧倒的に少ないのが講談。実際、落語家は約800人いるのに講談師の数はその約10分の1と言われている。そんな低迷が続く講談界にあって新風を巻き起こしているのが松之丞さんだ。二ツ目にして独演会のチケットは即日完売。2018年8月1日出版の『神田松之丞 講談入門』も、発売から1週間で重版が掛かるほどの好調ぶりである。

「講談は知識が深まるほどに楽しめる演芸です。なのにこれまで入門書がほとんどなかった。お客さんが徐々に増えている今こそ、こういう本が必要だと思って出しました。講談復興の大きな一歩になると確信しています」

松之丞さんが講談を知ったのは高校生の時。ラジオがきっかけで落語が好きになり、立川談志さんに心酔して「談志師匠が好きなものを吸収したい」と講談や浪曲なども聞き始めた。

幾つかある演芸から講談を選んだのは「人間の奥深さ、人生の奥行きを描いている講談が自分は一番好きだなと感じたから」。そう思わせてくれたのは談志さんの「らくだ」という落語だった。「滑稽さや悲しさといった人間の本質を見事に表現していて、かつてないほど感動しました。同時に、これは落語というよりも講談的だなと。そう気づけたのは大学時代、ほぼ毎日、落語や講談、浪曲、漫才、歌舞伎などの舞台芸を見られるだけ見ていたからです」

神田松之丞さんの写真2

気になることは徹底的に追求し分析する。講談も現状を分析すると、講談師が常連向けにやっているので初心者は相当通わないと楽しめないと分かってきた。しかしそこに「宝の山」を見たという。「すごく面白いのに気づかれていない。それは人にちゃんと伝わるようにやっている講談師が少ないからだと生意気にも思ってしまったんです。だったら自分が講談師になり、面白さを広めようと決意しました」

大学卒業後、神田松鯉さんに入門し、前座からスタート。修業期間は寄席の雑用などもしなければならないが、「これが本当に苦手で、ダメ前座でした。幸いうちの師匠が前座のうちにネタをたくさん覚えなさいという人だったので、自分はそちらに力を注がせていただきました」。またこの期間は、業界を俯瞰(ふかん)で見つめ、今の講談界に足りているもの、いないものを常に考え、それに対して自分が戦略的にできることは何かと思いを巡らせていたともいう。

その机上の空論を一気に爆発させたのが二ツ目昇進後。「こうしたらもっと講談を面白がってくれるはずと、ずっと温めてきたことをようやく高座で実践できました」。そのかいあって、周りの評価はガラリと変わった。

成長するためのコツは、何か一つでも変えること

神田松之丞さんの写真3

庶民の会話のやりとりで笑いを誘うのが落語。それに対して講談は、史実に基づいた軍記や武勇伝などの物語を独特のリズムで読む演芸だ。そこに笑いはほとんどない。ゆえに堅いイメージがあるが、松之丞さんはマクラで笑わせ、本編では時に激しく時に張り詰めた緊張感を漂わせながら物語の世界へ観客を誘う。

その緩急ある高座に魅了され、講談への認識をあらためる人も多い。心掛けているのは、観客に予備知識がなくても楽しめるようにすること。「とにかくお客さんを置いていかない。難しい言葉も、くどくならない程度に説明します」

そんな松之丞さんは、実は講談に出会うまでは何をやってもうまくいかなかったそうだ。「ずっと臆病で、何にも挑戦してこなかった。何がやりたいかも分からず、このまま人生を終えるのかなと思っていました」。それが講談を知って入門を決めてからは、心の持ちようが大きく変わった。「まず、どんなに恥をかいてもいいから前を向いて進んでいこうと思うようになりました。特に二ツ目の今は良質の恥をかける時期。縮こまっていてはもったいない」

うまくなるコツは、変えること。同じことをずっとやっていると、滑らかに話せるようにはなるけれど成長がない。どこか一カ所でいいからセリフを増やしたり、間を変えたりと試すことで成長できると信じている。

この世界へ飛び込んで11年。広く名が知られるようになった。高座にとどまらず、仕事の幅は広がってCDやDVDを出したり、ラジオやテレビなどの仕事にも精力的に取り組んだりしている。自分のためというよりも、講談界を元気にするためということのほうが大きい。

「18年8月に出版した『神田松之丞 講談入門』もその一環です。この本を読んで講談師を志す人が出てきてほしい」。実際、松之丞さんの講談をきっかけに後輩が3人できたそうだ。「彼らにもかっこつけるのではなく、松之丞はいっぱい恥をかきながらも懸命に挑戦しているな、生きているなって、いい背中を見せられるよう精進していきたいです」

講談師は長期的に取り組める仕事だという。年齢を重ねるほど芸が磨かれ、人間性も豊かになっていくのがいいもんだと実感している。「30代、40代、50代でどうなっていたいかを計画し、行動できる。そうやって死ぬまで目標を持ち、芸を磨き続けられるのが何よりも魅力。もっともっと後進を育てていきたいですね」

圧倒的な熱量で高座に臨み、プロデューサー的視点と行動力で講談界全体を見据える。それが松之丞さんを奮い立たせる源だ。

ヒーローへの3つの質問

神田松之丞さんの写真4

現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

講談師以外は考えられないですね。例えば、のどを悪くして講談ができなくなったら日本にいないんじゃないですかね。ほかの講談師や落語家の仲間たちが出世していく姿を見るのに耐えられなくなって。

人生に影響を与えた本は何ですか?

有竹修二さんの『講談・伝統の話芸』です。昔の講談師の話芸がいかに素晴らしかったかが書いてあって、当時の匂いすら感じられる名著。今の時代に講談の全盛期が再び迎えられたら楽しいだろうなとか、講釈場を復活させたいなとかさまざまな思いが湧き上がってくる、自分の気持ちを奮い立たせてくれる一冊です。

あなたの「勝負●●」は何ですか?

落語家のように、講談師も二ツ目に昇進すると自分の手拭いを作ります。僕も自分の手拭いがあるのですが、親離れができていないところがあって、大事な高座の時には必ず師匠の手拭いを懐に入れています。「守ってください」と祈る気持ちで。

Infomation

最新刊『神田松之丞 講談入門』絶賛発売中!

落語に比べ、圧倒的に少なかったのが講談の入門書。そんななか、徐々に講談の人気が高まりつつある状況を受け、満を持して神田松之丞さんが講談の入門書を出版した。講談の基本をQ&Aスタイルで伝える章から始まり、自身の持ちネタの演目解説、人間国宝・一龍斎貞水さんとの対談など、講談の魅力を存分に詰め込んだ珠玉の一冊。「入門書と言いながら、中上級者の方にも楽しんでいただける内容になっています。講談の知識が深まっていくと共に、どんどん講談もそしてこの本も面白く感じられていくはず。ライブと本の両輪で講談を楽しんでくれる人が増えたらいいなと思っています」
出版元:河出書房新社
定価:1,750円(税別)
発売日:2018年8月1日

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