何回までOK? 転職回数が多くても「内定」を勝ち取る方法
一般的に、転職回数が多いことは転職に不利と言われています。しかし4回、5回…… と転職を繰り返している場合、本当に希望の転職をかなえる方法はないのでしょうか?
人事担当者の生の声とキャリアコンサルタントのアドバイスを踏まえ、職務経歴書と面接の対策をして、転職回数が多くても内定を勝ち取りましょう!

まずはじめに「転職回数の数え方」は?
転職回数を聞かれた場合、一般的には(正社員として)在籍した企業数マイナス1(いち)が転職回数となります。一般的にはアルバイトや派遣での勤務については「転職回数」としてカウントしないことが多いです。
転職は何回までならいいのか?
「何回か」は企業や採用担当者によってことなります。業種や職種によっても傾向は多少異なるようです。
下記では企業の採用担当者が「転職回数が多い」と感じる回数について回答していますので、参考にしてみてくださいね。
人事担当者は転職回数の多い求職者をどう見ている?
GMOインターネット株式会社
退職理由についてきちんと説明できればマイナス評価にはなりません。
- Q
- 「転職回数が多い」と感じる回数と転職回数が多い人のイメージは?
- A
- 20代は3回、30代は5回以上で多いと感じます。営業系やエンジニア系の職種で、転職回数の多い方が応募されるケースがあります。年齢によりますが、それぞれの就業期間が長い場合は「さまざまな業務経験を積んでいるな」、短い場合は「腰を落ち着けて仕事に取り組む意識がないのかな」と感じます。
しかし、面接で退職理由について質問するので、きちんと説明していただければ、マイナスに評価することはありません。 - Q
- 転職回数が多くても、「この人は欲しい!」と魅力を感じる人はどんな人? 実際に採用された人の決め手は?
- A
- それぞれの職歴での経験、得たスキルや学んだことを認識し、自身の言葉でアピールできる人。環境適応力の高さや、メンバー・上司・クライアントとのコミュニケーションが円滑にできることも重要になってきます。自分が「できること」を認識し、「やりたいこと」を具体的にイメージできている人に魅力を感じ、実際に採用したケースがあります。
- Q
- 短期間に職を変えている場合、判定に響きますか? そのような人を採用したことはありますか?
- A
- 3カ月未満や半年で職を変えた場合は特別な理由があると思います。面接でその辺りを本音でお話しいただき確認します。実際、職務に必要なスキルが身に付いており、退職理由や今後のキャリアプラン、ライフプランを語れることに加え、応募者の考え方と会社や部署の考え方がマッチしていたことが理由で採用に至った事例があります。

グループ人事本部
橋本祐造さん
マスコミで営業企画、人材紹介会社で採用担当の問題解決を図る、リクルーティングディレクターを経て現職に転職。
日本マクドナルド株式会社
先入観を抱かないようにしています。大切なのは明確な目的意識。
- Q
- 「転職回数が多い」と感じる回数と転職回数が多い人のイメージは?
- A
- 20代は3回、30代は3〜4回で「転職回数が多い」という印象を持ちます。しかし、書類選考の段階では、先入観を極力抱かないようにしています。最も確認したい大切な点は、転職に臨む姿勢。「なぜ転職したのか?」という理由はもちろん、ブランク期間があった人には、「その間は何をしていたか」について、詳しく確認するようにしています。
- Q
- 転職回数が多くても、「この人は欲しい!」と魅力を感じる人はどんな人? 実際に採用された人の決め手は?
- A
- 例えば、「起業のためのビジネスノウハウを学ぶためにマクドナルドを利用しよう」というような目的意識が明確で、面接の時にもしっかりアピールできる人に魅力を感じます。過去に転職回数が多い求職者を採用した決め手は、「ほかの会社での経験を通じて学んだことを糧にできている」ことを確認でき、「それを当社でどう生かせるか」を伝えられたかどうかです。
- Q
- 短期間に職を変えている場合、判定に響きますか? そのような人を採用したことはありますか?
- A
- 最低1年は一つの会社で頑張ってほしいと思いますが、当社の場合は、転職回数だけで判断することはしません。「どう考えて離職し、これからどうしたいのか」を面接で詳しく確認させていただきます。最近では、新卒で入社した会社を1年未満で辞めた応募者を採用しました。合否の分かれ目は、やはり自分なりの目的意識がしっかりしていることです。

人事本部フィールドスタッフィング部 チーフ
一瀬竜彦さん
新卒でメーカーへ入社し、3年間勤務。多くの会社を研究した末、実力主義が浸透している社風に魅力を感じ現職に転職。
キャリアコンサルタントが明かす、「転職回数が多くても採用されるコツ」とは?
転職回数の多い人は今こそチャンス!
ここ数年、転職市場は活気づいてきています。かつては中途採用を行わなかった企業がキャリア採用を始めるなど、転職希望者には、目標の企業に自分のキャリアやスキルをアピールするチャンスが訪れています。
では、転職回数が多いほどキャリアとして評価されるのでしょうか? 残念ながら答えは“NO”です。一般的には、非常に特殊な技術を持っているなど、ずば抜けた能力がない限り、回数の多い転職は採用に不利になりやすい傾向にあります。とはいえ、転職回数が多いだけで書類さえ見てもらえないといったケースはほとんどなくなってきています。
そこで大事なことは、“いかに自分のキャリアやスキルに興味を持ってもらえるか”であり、それをアピールするための書類や面接の対策を万全にすることでしょう。
採用されるための要素探しをしましょう
そもそも転職回数が多いと不利なのはなぜでしょう? 転職の理由はさまざまでも、企業からは「我慢が足りない人」「仕事を覚えてもまたすぐに辞めてしまうのでは」「常に人間関係に問題があるのでは」と先入観を持たれてしまうからです。
では、転職回数が多くても採用されるためのコツはあるのでしょうか?
まずは、自分の市場価値を客観的に分析し、持っているスキルを洗い出しましょう。そして、“応募している仕事に必要なスキルがある” “コミュニケーション能力が優れている” “転職の理由が明確である”ことをアピールすることが重要です。加えて今度こそ腰を据えて仕事をするという決意をみせることが大切です。
どうしてもスキルや経験が乏しい場合は、人材を必要としている業界や人材が流動的な物流・運輸業界、転職回数にさほどこだわらないIT業界や外資系企業が狙い目です。このように時代の流れをキャッチし、転職しやすい業界に応募するのも一つの選択です。そこで「これ」といえるスキルを身に付けると今後に生かせるはずです。

ハナマルキャリアコンサルタント
細田咲江さん
早稲田大学卒業後、流通会社で12年間、主に人事部に従事。1994年に上田晶美さんとともにハナマルキャリアコンサルタントを設立。現在は、埼玉女子短期大学にて准教授としてキャリアに関わる授業を展開。また、高校生や大学生の就職、社会人の転職、主婦向けの再就職に関する講演・執筆など幅広く活躍中。近著では、転職の最新ノウハウを満載した「転職 書類」「転職 面接」(すばる舎発行)が話題になっている。
転職回数が多い場合に必ずやっておくべきこととは?
人事担当者の視点とキャリアコンサルタントのアドバイスから、転職成功への秘訣(ひけつ)を知ることができました。それでは、具体的にどうしたら内定を勝ち取ることができるのでしょうか? 読まれる職務経歴書の書き方と面接での注意点をチェックしましょう!
転職回数が多い場合の職務経歴書はこう書く!
企業の人事担当者が読む職務経歴書は最も重要な書類となります。転職回数が多いという職歴をカバーしながら、経験とスキルをうまくアピールできるかが鍵となります。
A4用紙1、2枚にまとめる
転職回数が多いと書くことも多くなりがちですが、読まれなければ意味がありません。要点を整理し、視覚的にも読みやすさに配慮して体裁を整え、A4用紙1、2枚にまとめます。
仕事で工夫した点や実績を具体的に書く
振り返りを行い、努力していたことや成果・実績を数字やエピソードなどをまじえて書きます。「転職が多いが見どころがある」「面接で実際会って聞いてみたい」と引き付ける部分をつくりましょう。
キャリアに一貫性があることを強調する
それぞれのキャリアに共通する「仕事の姿勢」を洗い出し、転職回数は多くても、一貫性を持って仕事と向き合ってきたことをアピールします。
転職でステップアップしてきたことをアピールする
仕事の量や方向性、担当や役職の変遷などを記入し、転職をするなかで確実にスキルアップしてきたことを伝えましょう。
「貢献できること」「やりたいこと」を伝える
企業側は、あなたが入社することでどんなメリットが生まれるのかを知りたいはずです。多くの会社を経験してきたからこそ「今貢献できること」「これからやりたいこと」を記入し、自分の価値を明らかにしましょう。
転職が多い理由を聞かれたら…… 面接の注意点
面接では、転職回数が多い理由について聞かれると思っていいでしょう。
個々の事情を述べると言い訳に聞こえてしまうので、まずは「これで最後の転職にしたい。腰を据えて長い期間、御社に貢献したい」と決意を語ることで、仕事に対する姿勢や熱意をアピールできます。
「介護のため、やむを得ず離職した」ことや、「最初の労働条件と大きく違っていた」という理由は説明しても差し支えありません。どんな環境でも発生しやすい人間関係の問題は転職の理由に適していません。
「なぜ同じ会社でジョブチェンジしなかったのか?」「これまで仕事をしてきたなかでの強みは何か?」などの、想定される質問に対して念入りな準備をしておきましょう。
転職回数が多くても転職に成功した女性にインタビューしました!
未経験職種へのキャリアチェンジというハードルを乗り越えて、転職を経験するごとにステップアップを実現してきた女性の転職成功法とは?
未経験職種への転職の現実
転職活動で最も苦労した時期は、1社目を離職した後でした。未経験職種への転職だったので、面接に行っても「4年以上も販売職をしてなぜ突然人事を希望するの?」と相手にされず、離職期間が約1年続いたのです。
周りの人に「人事にかかわる仕事をしたい」といつも話していたことで声が掛かり、知人の紹介でやっと2社目の会社に入社。初めて人材にかかわる仕事に就きました。しかし、“人事としての経験がない27歳”という年齢に焦りを感じ、約1年で2度目の離職。面接では、「なぜ同じ会社の中でキャリアチェンジをしなかったの?」という質問が多く、異動ができない契約だった旨を説明していました。
そして、経験がない分、熱意は人の2倍も3倍もあるのだとアピールした効果もあり、1カ月後にようやく人事部配属としての採用を勝ち取りました。この会社では1年間の勤務でしたが、幅広く人事の仕事を経験できました。しかし、人事の役割がもっと大きい会社でキャリアを積みたいと思い、仕事をしながら転職活動をしました。この時は、転職理由についての圧迫面接も多々ありましたが、「最後の転職にして長く働きたい」と決意を語り、乗り越えました。
現在は外資系のメーカーに勤務し、採用、研修、給与、福利厚生を担当する人事として幅広い経験を積むことができています。これまで積んできたキャリアを無駄なく生かせており、自分が仕事する場所はここなのだと実感できています。紆余曲折して苦労もありましたが、決してやりたいことをあきらめなかった私の転職歴に誇りを持っています。
弱点をカバーするために
本来強みになるはずの長期間積んだ経験は、キャリアチェンジのための転職活動では足を引っ張るものとなり、面接では転職回数について問われるよりも、キャリアの浅さを指摘されました。
その弱点を補うために、応募する会社の企業理念を徹底研究し、理念に沿う書類を作成しました。また、職務経歴書は相手が読みやすいよう、短くまとめる工夫をしました。
自己PRでは、自分の性格を端的に現した3枚の写真に解説を付け、自分についての“パンフレット”として提出したことがあります。この自己PRのインパクトはとても強かったらしく、経験が浅くても内定を勝ち取ることができました。
転職回数が多い人の場合、不利な点ばかりが目立ってしまいがちですが、「柔軟に対応できる能力」や「多くの現場を見たことで視野が広い」という、転職を重ねたからこそのヒューマンスキルを持ち合わせていると思います。ですから、それらのスキルをアピールして、やりたい仕事をあきらめず内定を勝ち取ってください!

中野恵美子さん(仮名)
大学卒業後、大手百貨店に就職。人事部への異動を希望しつつ4年4カ月販売職として勤務。会社の事情により異動が認められなくなったため、人事職に的を絞った転職を決意。紆余曲折の末3回目の転職で理想の内定を勝ち取った。
・転職回数 計3回(内定数/応募数)
2社目(1社/10社)
3社目(1社/6社)
4社目(1社/10社)
・利用媒体 転職サイト、転職エージェント
希望の転職をかなえるためには、「なぜ転職したいのか」「その理由を解消する方法はないのか」「絶対譲れないものは何か」を掘り下げることが重要です。転職回数が多い場合は特に入念な振り返りが必要です。自分なりの仕事観を明確にし、経験とスキルを“自信を持って”アピールしましょう!
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