キャリアパスとは? 意味や転職において重要視したほうがいい理由を解説
更新日:2024年07月08日


記事まとめ(要約)
- キャリアパスとは、仕事における道筋を意味する。キャリアプランなどと混同しやすい
- 例:○○部でAの経験を3年間、Bの経験を2年間積み、△△資格を取得後、□□に昇格する
- キャリアパスを重要視すべき理由は、意欲的に働ける、将来の計画を立てやすいなど
- キャリアプランは将来の理想像にたどり着くための、仕事においての計画
- キャリアパスとキャリアプランのギャップは見直す必要あり
上司との面談や人事評価などの場面で「キャリアパス」という言葉を見聞きしたものの、意味や具体的な内容が分からないという人もいらっしゃるでしょう。
「キャリアパス」とは、英語の「Career(職歴)」と「Path(道)」を組み合わせた言葉で、“仕事における道筋”を意味します。転職活動においては、応募先企業が示すキャリアパスを把握することが、理想的なキャリアの実現に不可欠です。
そこで今回は、キャリアパスの概要や、混同されやすいキャリアプラン・キャリアデザインなどとの違い、転職においてキャリアパスを重視すべき理由、注意点などを解説していきます。
キャリアパスとは?
キャリアパスとは、企業内において目指す役職・地位・役割を見定めた時に、たどるべきポイントやクリアすべき基準、身に付けるべきスキルや経験などを示したものです。例えば、「○○部でAという経験を3年間、Bという経験を2年間積み、△△資格を取得後、□□に昇格する」といった道筋です。
キャリアパスは、主に企業が従業員に対して提示するものです。キャリアパスが提示されることで、従業員は自らの将来設計が立てやすくなり、努力の方向性が明確化され、モチベーションの維持に効果を発揮します。
なお、キャリアパスと混同されやすい言葉として、以下の4つが挙げられます。それぞれの意味を正しく理解しておきましょう。
キャリアプランとの違い
キャリアプランとは、キャリアデザインでイメージした将来の理想像にたどり着くための、仕事においての計画を意味する言葉です。特定の企業内におけるキャリアの道筋だけでなく、転職や起業など、幅広い選択肢を含みます。
計画には、必要な経験やスキル、資格などのリサーチや分析が必要になります。例えば、今の会社に生涯勤める予定の人は、どのようなポジションで将来働きたいかをイメージし、達成するために必要な実績・スキルを分析して計画を立てるでしょう。
一方で転職や起業を視野に入れている人も、達成するために必要な行動を計画するはずです。この2つは、どちらもその人にとっての「キャリアプラン」と言えます。
キャリアデザインとの違い
キャリアデザインとは、仕事だけでなく結婚・出産・子育てや、転居・住宅の購入などすべてのライフイベントを含めた人生設計を立てることです。キャリアデザインを考える際は、就きたい仕事や働き方を考えるだけでなく、プライベートの理想も含め、自分自身についてより深掘りする必要があります。
人生設計であるキャリアデザインという大枠の中に、企業内でのキャリアの道筋であるキャリアパスが存在するイメージです。
キャリアビジョンとの違い
キャリアビジョンとは、将来的に仕事で達成したい目標や実現したい理想像を意味する言葉です。ただ、決して仕事に限ったものではなく、人生における価値観や生き方など、幅広い領域を含んだ「なりたい自分」の姿を指しています。
キャリアビジョンでは、今置かれている立場や状況、理想像が実現できる可能性があるかなどは考慮しません。対するキャリアパスは、キャリアビジョンを現実化する際に踏むべきステップを現実的に可視化したものとなります。
キャリアアップとの違い
キャリアアップとは、仕事に生かせるスキルを習得したり、経験を積み、能力を向上させることです。社内での役職が上がるだけでなく、転職によって収入が上がったり役職が上がったケースでも使用されます。
今よりも裁量が大きく責任が重い業務を任されたり、昇格し役職に就いたりなど、高い客観的評価を得ることが「キャリアアップの実現」です。
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企業がキャリアパスを重要視する理由
企業が成長拡大するうえで、キャリアパスは重要な役割を担います。企業がキャリアパスを重要視する理由としては、以下4つが考えられます。
人材のミスマッチを防げる
自社に適している人材を採用するためには、企業側が応募者を一方的に見極めるだけでなく、応募者自身も希望や適性を踏まえて企業・仕事選びができる状況を提供することも重要です。
キャリアパスを提示することは、応募者自らが企業に適応できるかを判断する材料になるため、人材のミスマッチを防ぐことにもなります。それにより短期の離職を防止する効果も期待できるため、企業はキャリアパスを重視しています。
効果的な人材育成・人員配置が行える
企業がキャリアパスを示すことで、従業員が目標を認識し、自らのキャリアプランとの相違がないかを確かめることができます。それにより企業は、従業員それぞれの目標やキャリアプランに合わせた教育や研修、人員配置を適切に行えるようになるため、より効果的な人材育成が期待できます。
従業員のモチベーションアップにつながる
終身雇用制度が当たり前ではなくなった近年、多くの働く人たちは「長く働いたからといって昇進できるとは限らない」と感じています。これは、転職を含めたキャリアアップ、キャリアチェンジを選択肢として持つ人が増えていることの表れとも言えるでしょう。
逆に企業としては、離職を防ぐため、従業員に目的意識を持たせ、モチベーションアップを促すことが重要です。キャリアパスの提示は、そのための効果的な手段の一つとされています。
人事評価の根拠にできる
企業活動の中でも人事評価はブラックボックス化しやすい要素であり、従業員が不平不満を抱きやすいポイントでもあります。
しかし、企業がキャリアパスを提示すれば、人事評価の基準や条件を定める道筋となります。従業員が今どのフェーズにいるのか、この先どのような経験やスキルを身に付けていく必要があるのかなど、従業員が自ら理解し納得できるため、評価に対する不満やトラブル防止になる可能性があります。
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転職においてキャリアパスを重要視したほうがいい理由
今後転職する場合においても、応募先企業のキャリアパスには注目すべきです。その理由についてあらかじめ理解しておきましょう。
自分に必要なスキルが分かる
キャリアパスを重視しながら転職活動を行うと、応募先企業に入社した際に自分がどんなスキルを習得すべきなのかが明確になります。
キャリアパスとは、企業が従業員に達成してほしいキャリアのポイントやたどってほしい道筋です。従業員視点で言い換えれば、自らの目標地点となります。目標がはっきりすれば、自分に必要なスキルも分かり、努力の方向性を適切に見定められるので、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
意欲的に働ける
人間には、それぞれに向き不向きがあります。そのため、自分の適性と異なる環境で働いていると、努力に見合った成果が得られず、徐々にモチベーションが失われていく状況が想定されます。
しかし、自分のキャリアプランと合致するキャリアパスを提示する企業を選べば、目的意識や手応えを感じながら意欲的に働けるでしょう。
将来の計画を立てやすくなる
キャリアパスは企業が従業員に求める経験やスキルから成り立っているため、従業員が自らの将来設計を立てるための有効な材料となります。
例えば、昇進・昇給に至るための要素が分かれば、今自分が持っているスキルと不足しているスキルを適切に理解し、昇進・昇給するために必要な行動を計画に落とし込めるはずです。
キャリアパスを提示された際に考えたいこと
企業のキャリアパスについて働く人が理解を深めようとする時、場合によってはネガティブな要素を生み出すリスクがあります。以下の3つの注意点を踏まえたうえでキャリアパスを考えましょう。
視野が狭くなる可能性がある
キャリアパスは、企業が従業員を理想的な人材へ成長させるための道筋であり、従業員にとって分かりやすい道しるべです。しかし、キャリアパスにとらわれ過ぎると視野が狭くなり、柔軟な思考や発想が制限され、自分の内に眠っている適性や将来の可能性を見過ごすリスクも考えられます。
業界の情報を収集したり、社外の人と接点を持ったりすることで、意識的に視野を広げる行動を取ることがおすすめです。
モチベーションが低下する可能性がある
多くの場合、キャリアパスとは、3年後、5年後と、数年後のキャリアを見据えた内容となっています。ただ、見据える目標地点が現在地から遠いほど、またレベルが高いものであるほど、手応えが感じにくく、モチベーションの低下を招く可能性があります。
そのため、キャリアパスの各ポイントに到達するまでの過程に意識を向けることも大切です。
まずは、今与えられた目の前の業務に真摯に取り組みましょう。目の前の業務を着実にこなすことなく数年後の大きな目標を達成することは難しいためです。
キャリアプランは定期的な見直しが大切
キャリアプランは、一度描けば完成するものでも、変更できないものでもありません。
日々さまざまな人と関わり経験やスキルを積む過程では、目標や思想、モチベーションが変化することもあります。その中でキャリアプランの修正が生じるのは、ごく当たり前のことです。
また、結婚・出産・子育て・引っ越しといったライフステージの変化によっても、仕事に求める要素は変化するでしょう。
1年に1回など定期的にキャリアプランを見直し、今の仕事が自分の理想に合致したものであるかを確認するようにしましょう。
キャリアプランの立て方については、以下のページを参考にしてください。
キャリアパスとキャリアプランのギャップに注意!

企業が提示するキャリアパスと自分が描くキャリアプランにギャップが生じると、仕事を長く続けることが難しくなる可能性が出てきます。そのため、現職においてはもちろんのこと、転職時にも、キャリアパスは注目したいポイントです。
たとえ転職で収入がダウンする場合でも、キャリアパスが明確で昇給や昇格が期待できれば、転職先の選択肢の一つとして魅力があります。初任給だけで判断せず、ある程度長期的な視点を持つことが大切です。
面接時にキャリアプランの質問を受けたら、それはキャリアパスを確認する絶好のチャンスです。応募先企業で実現したいキャリアプランについて説明しつつ、キャリアパスの内容を確認してみましょう。
ここからは、現職でのキャリアパスの確認方法や意義、キャリアパスとキャリアプランにギャップがある場合やキャリアパスが定義されていない場合の対処法について解説します。
働いている会社のキャリアパスを確認する方法
キャリアパスの確認は、現職がキャリアプランを実現できる環境であるかを判断するために欠かせません。現在所属する会社のキャリアパスが分からない場合は、確認するようにしましょう。確認先としては、直属の上司や人事担当者が適しています。面談があれば、その際に質問しても良いでしょう。
キャリアパスを提示された際は、「提示されたキャリアパスの中で、今の自分はどの位置にいるのか」「目標とするポジションに昇進するために、今の自分には何が足りないのか」という点を確認しましょう。これらを確認することで、得るべきスキルや知識を把握することができ、目標を立てやすくなります。
キャリアパスとキャリアプランにギャップがある場合は?
会社が提示するキャリアパスがしっくりこない場合は、ひとまず過去の振り返りをしてみましょう。今まで携わった業務でやりがいや面白さを感じた部分をピックアップし、「なぜそう感じたか」を深掘りしてみましょう。
例えば、営業職に就いていて「自分の提案をお客さまに褒めてもらったことが何よりもうれしい出来事だった」と感じる場合、本来は企画職に適性があるかもしれません。
深掘りした結果、このようなギャップを見つけたら、上司に相談してみましょう。相談すれば、案外スムーズに「○○を任せたい」と抜てきしてくれるかもしれませんし、「それをかなえるにはまず□□を身に付けよう」と実現のための提案をしてくれるかもしれません。
そうすれば、たとえ現状でキャリアパスとキャリアプランにギャップがあったとしても、ギャップを埋めていく手段が分かり、徐々に理想に近づくことができるでしょう。
会社にキャリアパスがない場合は?
会社にキャリアパスが設定されていない場合においても、前項と同じように、まずは過去の振り返りを行いましょう。キャリアパスがないからこそ、理想や目標を自力で言語化し、見定める必要があるためです。
振り返りの結果、目指したいポジションや携わりたい業務が見つかれば、上司に相談してみましょう。とにかく、自分の意思を上司に知ってもらうことが大切です。その結果、上司が尽力してくれて、キャリアプランの実現に近づく可能性もゼロではありません。
また、キャリアプランの実現のために目指したいポジションが埋まっている場合であれば、期限を決めて待つことも選択肢の一つとなります。現職での実現が難しいと分かれば、転職するという選択肢も生まれます。
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まとめ
企業が示すキャリアパスは企業が欲しい人材を確保・育成するためにも、従業員が自らのキャリアプランを実現するためにも重要な意味を持ちます。
キャリアパスとキャリアプランの不一致は、企業・従業員双方にとって望ましい結果を生まない可能性があります。転職活動の際には、企業に早めに確認をすると同時に、自身のキャリアプランを明確にしておきましょう。
また、目指すキャリアや望む働き方は変化することもあるため、定期的なキャリアプランの見直しも大切です。日々の経験によって変化していくものであることも忘れてはなりません。一つの考えに固執せず、常に広い視野を持ち、柔軟な思考を心掛けていきましょう。そのうえで現在勤めている会社のキャリアパスと自身のキャリアプランにギャップはないか、見直す習慣をつけると良いでしょう。
もし、今の環境で理想のキャリアの実現が難しいのであれば転職を視野に入れるのも一つの選択肢です。
監修者

谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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