退職手続きの流れややるべきこととは? 退職後の対応についても解説
更新日:2024年07月05日
記事まとめ(要約)
- 退職の意思はまず直属の上司へ伝える。一般的には1~3カ月前が多い
- 引き継ぎ完了の期日は、退職の3日前までに設定するのがおすすめ
- 取引先へ退職のあいさつを行うのは、退職日の2~3週間前が一般的
- 退職届の提出、備品返却、書類の受け取りなど、事務的な手続きが多数ある
退職前後は、引き継ぎやあいさつ、事務的な手続きなど、やることが多く発生します。初めて退職する場合は流れも分からないですし、退職経験がある人も企業ごとの規則や慣習で同じようには進められないこともあります。退職日が迫ってから慌ててしまわないよう、計画を立てて取り組む必要があるでしょう。
この記事では、退職の流れや退職後にやることなど、退職の手続きについて知っておきたい情報や押さえておきたいポイントを詳しく解説します。
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退職手続きの流れ
ここでは一般的な退職の流れ・スケジュールについて紹介します。退職手続きや引き継ぎ業務に追われ、周囲に迷惑を掛けたり、自分が大変になったりしてしまわないよう、退職までの流れを把握して計画的に進めましょう。
1 退職の意思表示(1~3カ月前)
退職の意思はまず直属の上司へ伝えましょう。一般的には、1~3カ月前に伝えるケースが多いです。民法上は正社員のように期間の定めのない雇用契約の場合、2週間前までに退職の意思を伝えればOKとされていますが、就業規則に定めがある場合はその期限に従うことが大前提です。
急な退職は後任者の手配や業務の引き継ぎなどが間に合わない可能性が高く、円満退社が遠のく恐れもあります。周囲への負担などに配慮して、退職希望日から余裕を持って退職の意思を伝えましょう。
2 退職願を提出(退職の1カ月前)
退職願を出さなくても法的には問題ありませんが、就業規則などで提出が定められている場合もあります。上司に退職願が必要かどうかを確認してみましょう。
ただし、会社都合による退職の場合は提出しないことがほとんどですが、会社によっては提出を求められることがあります。その場合は「一身上の都合」とせず、「部門縮小のため」「退職勧奨に伴い」など、退職の理由を具体的に書くようにしましょう。「一身上の都合」と書いてしまうと自己都合の退職と扱われてしまい、失業給付の支給が遅くなるなどの不利益が発生する場合があります。
退職までの流れを考慮すると、退職願は1カ月前には提出したいところですが、民法上では希望日の2週間前までに告知をすれば問題なく退職できます。遅くても2週間前までには必ず伝えましょう。
3 業務の引き継ぎ
業務の引き継ぎは、退職日(最終出社日)から逆算してスケジュールを立てましょう。この時、引き継ぎ完了の期日は退職の3日前までに設定するのがおすすめです。
区切りが良いところまでは自分が担当し、中途半端なまま引き継ぐのは避けましょう。持ち越しになりそうな案件は、これまでの経緯やこれからの予定を伝えます。後任者がいる場合は業務を教えながら引き継ぐのが基本ですが、引き継ぎ資料にまとめるとよりスムーズです。
4 取引先へあいさつ
社外の取引先へ退職のあいさつを行うのは、退職日の2~3週間前が一般的です。しかし、慣例で退職日まで口外無用となっている企業もあります。上司に確認を取ってから行動してください。
あいさつは直接会ってできればベストですが、さまざまな事情で難しい場合はメールによる連絡でも大丈夫です。一斉送信ではなく個別に送ると、「わざわざあいさつをしてくれた」と良い印象を残せるかもしれません。
5 有休の消化や整理・整頓、返却物の確認
有休が残っている場合は、すべての日数が消化できるまで給与を得ながら休みを取ることができます。その場合は、引き継ぎや取引先へのあいさつのスケジュールをうまく調整しましょう。
また、デスク周りの整理整頓、返却物の確認なども行います。返却物についての詳しい解説は後述します。
6 退職(最終出社)当日
退職当日になれば、業務はほとんど片付いているでしょう。この日は事務的な手続きやあいさつが中心となります。会社から支給された備品の返却や書類の受け取りなどを行い、タイミングを見てメールや対面でのあいさつを済ませます。
7 公的な手続きを行う
退職後は、健康保険・年金・税金に関する公的な手続きを行います。詳細は後述しますので、手続きの漏れが生じないように該当項目をチェックしておきましょう。
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退職時に会社に提出・返却するもの
退職が決まると、退職届の提出、備品返却、書類の受け取りなど、事務的な手続きが多数発生します。やるべきことを事前にしっかり把握しておきましょう。
退職届
退職届は、退職の意思確定の証明として提出するものです。口頭での意思表示でも法的には問題ありませんが、就業規則に定めがある場合は規則に従って提出しましょう。
会社指定のフォーマットがあればそれを使い、特になければ自分で用意します。下記記事からテンプレートをダウンロードすることもできます。
退職願と同じく、会社都合退職の場合の提出は不要ですが、会社に提出を求められたら退職理由を明確に記載するなど、注意が必要です。
会社から支給されたもの
会社から支給されているものはすべて返却します。代表的な備品は以下のとおりです。
- 健康保険被保険者証
- 会社支給の備品
- 社員証、社章、名刺
- 制服、作業着
- 携帯電話、パソコン、モニター
会社から貸与されたもの、社員であることを証明するもの、社費で購入したものは、名刺1枚やペン1本であっても返します。
健康保険被保険者証は最終出社日ではなく、退職日まで使用できます。退職日の翌日以降は使用できないため、郵送などで速やかに会社へ返却しましょう。扶養家族がいる場合は、家族の分の健康保険被保険者証も返却します。
転職時の健康保険証の切り替え手続きの方法は、こちらの記事でご覧いただけます。
業務資料やマニュアル
機密情報が確認できる書類やデバイスは確実に返却を行います。どこの会社も情報の取り扱いに神経をとがらせているため、うっかり持ち帰るとあらぬ疑いをかけられるかもしれません。最終出社日までに必ず返却しましょう。
また、各種データやID・パスワード類についても同様です。取り扱いは企業ごとに異なるため、確認のうえ、きちんと対応してください。
退職時に会社から受け取るもの
退職の際は、会社から受け取るものもたくさんあります。すべて重要なので、確実に受け取りましょう。
雇用保険被保険者証
雇用保険加入者であることを証明する書類です。初めて転職する方は見たことも聞いたこともないかもしれませんが、それもそのはず。実務上では、雇用保険への加入は最初に就職した会社が加入手続きを行い、紛失しないように雇用保険被保険者証は会社が保管する事が多いからです。転職先に提出する書類なので、受け取り忘れがないよう注意しましょう。
年金手帳
厚生年金の加入者であることを証明する書類です。原則年金手帳は本人が保管するものですが、紛失防止のため会社が保管していることが多く、厚生年金に加入していて、手元にない時は、会社にあるかどうか確認しましょう。
源泉徴収票
源泉徴収票は、1年間の給与額と支払った税額が記載された書類で、退職から1カ月以内に交付されることが多いです。
税金は毎月の給与から引かれていますが、「今年の給与の総額はこれくらいだろう」と予測した数字に基づいて計算されています。年末に年間の給与額が確定したら再度計算をして、不足分の追加徴収や過払い分の返還を行い(年末調整)、最終的な金額が源泉徴収票に反映されます。
年内に転職する場合は、年間の給与額が確定していません。この場合は源泉徴収票を会社から受け取り、転職先に提出する必要があります。
新しい職場に年をまたいで入社する時は、自分で確定申告をします。この際にも源泉徴収票が必要なので、必ず保管しておきましょう。
離職票
基本手当(いわゆる失業給付金、失業手当)を申請する際、ハローワークに提出する書類です。退職後に失業手当を受け取りたい場合は、離職票の発行を退職前に会社へ申し出ておきましょう。発行には一定の期間を要するため、早めに準備をしておくと良いでしょう。
転職先が決まっている場合や失業手当を受給しない時は、発行してもらう必要はありません。
退職証明書
退職証明書は文字どおり退職したことを証明する書類で、転職先から求められることがあります。離職票は公的な書類のため発行に時間がかかりますが、退職証明書は会社が独自で発行するものであり、すぐに受け取ることができます。
急いで国民健康保険の加入手続きや失業保険の申請をしなければならない時は、離職票の到着を待たずに退職証明書を使用することもできます。
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退職後に行う公的な手続き
公的な手続きは、すぐに転職する人、転職は決まっているけれど入社まで期間が空く人、転職先が決まっていない人で、それぞれ異なります。自分がどれに当てはまるのかを把握し、準備を整えましょう。
健康保険
健康保険とは、会社員や公務員が加入している公的な保険です。退職すると健康保険を利用する権利も消失するので、手続きが必要です。
すぐに転職する人
退職時に健康保険証を返却し、健康保険資格喪失証明書を受け取ります。これを転職先に提出すれば、通常、1週間ほどで健康保険証を発行してくれます。
転職先が決まっていない人、入社まで期間が空く人
退職日の翌日から無保険となってしまうため、病気やけがをしたら全額自己負担となってしまいます。必ず公的な保険に加入するようにしましょう。
公的な健康保険に加入する方法
公的な保険に加入する方法は3つあります。
1. 任意継続被保険者制度を利用
退職後も会社の健康保険に最長2年まで継続して加入できる制度です。家族を扶養に入れることもできます。継続を希望する場合は、離職日の翌日から20日以内に加入していた協会けんぽや健康保険組合へ申請します。
2. 国民健康保険に加入
国民健康保険とは、各市区町村が運営する健康保険制度です。離職日の翌日から14日以内に住民票のある市区町村役場で手続きをします。この期間を過ぎても手続きはできますが、保険料は退職日の翌日にさかのぼって計算されます。
3. 家族の健康保険に扶養として加入
家族が健康保険の被保険者であり、自身の年収が130万円未満の場合、被扶養者として健康保険に加入できる可能性があります。実際に加入できるのか、家族が加入している健康保険組合、協会けんぽなどに確認が必要です。
雇用保険(失業保険)
雇用保険(失業保険)とは国の保険制度の一つです。
「1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがある」という条件で雇用されていた場合、基本的に全員が加入者となり、退職後に失業手当を受け取れる場合があります。
転職先が決まっている人
失業保険は、失業者が再就職するまでの期間を支援するものです。したがって転職先が決まっている場合は受給資格がなく、手続きも不要です。
転職先が決まっていない人
原則本人の住所地を管轄するハローワークに離職票などを持参のうえ、手続きをします。会社都合による退職の場合は7日間の待期期間の後に手当てが支給されますが、自己都合退職の場合は、更に2~3カ月間の給付制限期間を経て支給されます。
失業手当は、再就職の意思があり、行動をしている人に対して給付されるものです。就職をする意思がない人、ケガや病気、妊娠・出産などですぐに就職するのが困難な人などは対象外となります。
年金
公的年金には大きく分けて2種類あります。まず、20歳以上の国民が全員加入する国民年金。もう一つが、会社員や公務員が国民年金に加えて加入する厚生年金です。
すぐに転職する人
転職先に年金手帳を提出するだけで、手続きは会社が代行してくれます。退職日まで期間があっても、同月内の転職、例えば「10月10日に退職、10月20日に入社」などの場合も同様です。
転職先が決まっていない人、入社が退職日の翌月以降の人
退職すると会社員ではなくなるため、国民年金への切り替えが必要です。転職先が決まっていても、「10月10日に退職、12月1日に入社」など退職日と入社日が一月以上空く場合も同様です。
退職の翌日から14日以内に、年金手帳、離職票などを持参のうえ住民票がある市区町村役場で手続きをします。転職先が決まっていても、社会保険完備ではない場合は国民年金への切り替えが必要になります。
住民税
住民税は前年の1月1日から12月31日までの所得に対し、今年の6月から来年5月にかけて12回に分けて支払います。
失業中の人や年収が下がった人から「住民税の支払いがきつい」と言う声が上がることがありますが、前年度の所得を基準にしているからです。
住民税には、納付方法が2つあります。
普通徴収…… 年に4回、納税者が直接納める
特別徴収…… 毎月の給与から天引き(会社が納付を代行)
事業主には特別徴収が義務付けられているため、会社員であれば原則として全員が給与からの天引きで住民税を納めていることになります。
すぐに転職する人
退職する会社と転職先の会社間で特別徴収の継続手続きを行ってもらうことで、特別徴収(給与から天引き)を継続できます。退職する会社へ依頼することが難しい場合は、一時的に普通徴収に切り替えた後、転職先企業で特別徴収への切り替えを行いましょう。
転職先が決まっていない人、入社まで期間が空く人
退職する月により、手続きが異なります。
1月~5月に退職する場合
原則退職する月の給与から5月までの住民税が一括徴収されます。ただし給与と退職金の合計額が住民税の支払額を下回る場合は、普通徴収に切り替えられます。
6月~12月に退職する場合
特に手続きをしなくても、自動的に普通徴収に切り替わります。自治体から納税通知書が送られてくるので、金融機関やコンビニなどで納付すれば完了です。希望者は、退職月から翌年5月までの支払い分を一括で納めることも可能です。
所得税
所得税は給与額からさまざまな控除を引いた金額(課税所得)に対して課せられる税です。
年間の給与額を予測して毎月の給与から天引きされているため、金額が確定する12月に過不足を計算して返還や追加徴収をします(年末調整)。退職の時期によっては、確定申告を自分で行う必要があります。
すぐに転職する人
例えば6月末で退職して7月に入社するなど年内で転職する場合は、新しい勤務先に源泉徴収票を提出すれば、代わりに年末調整をしてくれます。
ただし11月下旬以降の入社だと、年内に手続きが終わらず年末調整に間に合わないことがあります。その場合は、自分で確定申告する必要があるため、手続きが間に合うか転職先に確認しましょう。
すぐに転職する場合も、「年収が2,000万円を超える」「副業の所得が年20万円を超える」などに当てはまる時は、確定申告が必要です。
転職先が決まっていない人、入社まで期間が空く人
転職先が決まっていない人や入社まで期間が空く人は、自分で確定申告を行う必要があります。基本的に1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に行います。詳しい期間や手続き方法については、国税庁のホームページなどで確認してください。
期限までに確定申告を行わないと、無申告加算税や延滞税などがかかるため、期限に注意して必ず申告しましょう。
退職する時に注意すべきこととは?
退職時にやるべきことは意外と多く、時間も限られています。退職直前や退職後に慌ててしまわないように注意が必要です。注意すべき点を3つまとめているので、ぜひ参考にしてください。
会社の就業規則を確認しておく
就業規則には、労働時間や給与に関する事柄だけでなく退職に関する規定も記載されています。企業独自のルールが定められていることもありますので、退職を決めたらまずは内容を確認しましょう。
明確なスケジュールを立てておく
就労規則を参考に、退職までのスケジュールを立てることが大切です。また、余裕があれば退職後のスケジュールについても、分かる範囲で立てておくとスムーズに動けるでしょう。引き継ぎやあいさつ回りなどは予定より時間がかかるケースもあるので、余裕を持って設定してください。
必要なものを洗い出し、チェックリストを作っておく
スケジュールと併せて、退職時や退職後に必要なもののチェックリストを作成します。タイミングごとに必要なものややるべきことがいくつも発生するので、時系列にまとめると分かりやすいでしょう。
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まとめ
退職の前後には、社内外での多くの手続きが発生します。初めて退職をする人は特に大変に感じるかもしれませんが、円満な退職をするためには必要なステップです。
また、退職後の手続きも、公的サービスを受け正しく納税するために大切なものです。一つひとつ計画的に、かつ確実に行うようにしましょう。
監修者
塚本 泰久
社会保険労務士
ツカモト労務管理事務所 代表
関西地区を中心に、地域に密着した親切丁寧な事務所を目指しています。会計事務所での経験から、企業の労務管理と財務状況とのバランスを重視した適切なアドバイスを行うことで、より良い企業の体制作りをサポートしています。
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