昇給の平均額・平均率は?企業規模・産業・年齢・男女別に解説
更新日:2025年07月02日
記事まとめ(要約)
- 昇給の平均額は企業の規模や産業によって大きく異なる
- 昇給を予定している企業は規模・産業にかかわらず非常に多い
- 昇給額を増やす方法は、資格取得、昇格、上司との交渉などがある
- 社風によっては昇給が難しいこともあり、その場合は転職もおすすめ
「給料がなかなか上がらない」「昇給額が少ないのではないか」と悩まれている方も多いでしょう。
企業の規模や産業などによって異なる昇給の平均額をご紹介します。「自分の昇給額が平均以下だ」と感じた場合に、今後の昇給額を増やす方法や、昇給以外で年収を増やす方法も詳しくご紹介します。
昇給の平均額・平均率はどれくらい?
企業規模や業界により、昇給額・昇給率は異なります。それぞれどのように変動しているか、厚生労働省の調査を抜粋します。
また、昇給とは異なりますが、男女別の賃金と令和元年~6年にかけての増減率も併せて紹介します。
企業規模別
昇給額・昇給率は、企業の規模により大きく異なります。
| 企業規模 | 昇給額 | 昇給率 |
|---|---|---|
| 5,000人以上 | 15,121円 | 4.8% |
| 1,000~4,999人 | 12,317円 | 4.1% |
| 300~999人 | 10,618円 | 3.8% |
| 100~299人 | 10,228円 | 3.7% |
出典:令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 2.賃金の改定額及び改定率|厚生労働省
昇給額・昇給率どちらも、企業規模が5,000人以上の企業が最も高く、15,121円、4.8%という結果となりました。
なお、定期昇給制度は昇給の種類の一つです。一般的には年に1~2回ほど、決まった時期に行われます。定期昇給とよく混同されるベースアップは、従業員全員の給与を一律の比率で昇給させる仕組みを指します。求人情報を確認する時にも役立つので、覚えておくと良いでしょう。
昇給について、詳しくは以下の記事も参考にしてください。
産業別
産業別の昇給額・昇給率は以下のとおりです。現職や転職先の産業でどれだけ昇給できるのか、目安にしてください。
| 産業別 | 昇給額 | 昇給率 |
|---|---|---|
| 鉱業、採石業、砂利採取業 | 14,616円 | 5.9% |
| 建設業 | 15,283円 | 4.3% |
| 製造業 | 13,262円 | 4.4% |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 14,619円 | 4.3% |
| 情報通信業 | 14,989円 | 4.3% |
| 運輸業、郵便業 | 9,030円 | 3.2% |
| 卸売業、小売業 | 11,922円 | 4.3% |
| 金融業、保険業 | 15,465円 | 4.6% |
| 不動産業、物品賃貸業 | 12,554円 | 4.0% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 14,772円 | 4.4% |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 9,654円 | 3.7% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 8,543円 | 3.2% |
| 教育、学習支援業 | 7,176円 | 2.7% |
| 医療、福祉 | 6,876円 | 2.5% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 7,353円 | 3.2% |
出典:令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 2.賃金の改定額及び改定率|厚生労働省
令和6年の昇給額を産業別にチェックすると、金融業、保険業の15,465円が最も高く、医療、福祉の6,876円が最も低い結果となりました。
昇給率が最も高かったのは、鉱業、採石業、砂利採取業の5.9%でした。
男女別
続いて、昇給とはまた異なりますが、参考までに男女別の平均賃金と増減率を紹介します。
| 年 | 男 | 女 | ||
|---|---|---|---|---|
| 賃金 | 対前年 増減率 |
賃金 | 対前年 増減率 |
|
| 令和6年 | 363,100円 | 3.5% | 275,300円 | 4.8% |
| 令和5年 | 350,900円 | 2.6% | 262,600円 | 1.4% |
| 令和4年 | 342,000円 | 1.4% | 258,900円 | 2.1% |
| 令和3年 | 337,200円 | -0.5% | 253,600円 | 0.7% |
| 令和2年 | 338,800円 | 0.8% | 251,800円 | 0.8% |
| 令和元年 | 338,000円 | 0.1% | 251,000円 | 1.4% |
出典:令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 1.一般労働者の賃金|厚生労働省
賃金は男女共に徐々に上昇しています。一方、男性の賃金を100とした場合、令和6年の女性の賃金は75.8%と、男女の平均賃金には差があることが分かりました。
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年代別の平均賃金・対前年増減率はどれくらい?
次に、年代別の平均賃金はどのように変化しているか、厚生労働省が発表した「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」のデータをチェックしてみましょう。
| 年代 | 賃金 | 対前年 増減率 |
|---|---|---|
| 20代前半 | 232,500円 | 3.5% |
| 20代後半 | 267,200円 | 3.4% |
| 30代前半 | 299,500円 | 4.7% |
| 30代後半 | 328,700円 | 4.4% |
| 40代前半 | 351,400円 | 3.7% |
| 40代後半 | 372,700円 | 4.8% |
| 50代前半 | 380,400円 | 2.5% |
| 50代後半 | 392,000円 | 4.1% |
令和6年、対前年増減率が最も高かったのは40代後半で4.8%、最も低かったのは50代前半で2.5%でした。
昇給を予定している企業はどれくらいある?
昇給を予定している企業の割合について、企業規模と産業別にチェックしてみましょう。転職すべきか現職で働き続けるかを検討する際の参考にしてください。
企業規模別
まずは企業規模別に、昇給を予定または昇給を実施した企業の割合から見ていきましょう。
| 企業規模 | 令和6年 | 令和5年 | 令和4年 |
|---|---|---|---|
| 5,000人以上 | 99.1% | 97.3% | 96.0% |
| 1,000~4,999人 | 93.5% | 93.3% | 91.9% |
| 300~999人 | 93.4% | 93.1% | 90.2% |
| 100~299人 | 90.2% | 87.4% | 83.7% |
出典:令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 1.賃金の改定の実施状況|厚生労働省
企業規模にかかわらず、全体として昇給を実施・実施予定の企業の割合が増加しています。特に企業規模が大きいほど、昇給を予定する企業の割合が高くなっていることが分かります。
産業別
産業別の、昇給を実施した、または予定している企業の割合は下記のとおりになります。
| 産業別 | 令和6年 | 令和5年 | 令和4年 |
|---|---|---|---|
| 鉱業、採石業、砂利採取業 | 100.0% | 90.9% | 86.6% |
| 建設業 | 99.7% | 99.7% | 95.4% |
| 製造業 | 98.7% | 97.4% | 94.8% |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 100.0% | 92.9% | 92.4% |
| 情報通信業 | 91.7% | 91.8% | 89.3% |
| 運輸業、郵便業 | 74.4% | 71.0% | 75.6% |
| 卸売業、小売業 | 91.1% | 89.2% | 83.3% |
| 金融業、保険業 | 95.1% | 91.0% | 92.9% |
| 不動産業、物品賃貸業 | 93.9% | 92.3% | 93.3% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 91.6% | 91.4% | 95.7% |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 82.2% | 77.4% | 71.1% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 76.2% | 79.4% | 67.8% |
| 教育、学習支援業 | 87.8% | 85.4% | 80.9% |
| 医療、福祉 | 100.0% | 85.6% | 95.2% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 85.6% | 86.9% | 79.4% |
-
出典:令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 1.賃金の改定の実施状況|厚生労働省
令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 1.賃金の改定の実施状況|厚生労働省
令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 1.賃金の改定の実施状況|厚生労働省
令和6年、「鉱業、採石業、砂利採取業」「電気・ガス・熱供給・水道業」「医療、福祉」は100.0%でした。逆に最も割合が低かったのは、運輸業、郵便業でした。
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年収が「上がった」人はどれくらいいる?
多くの企業が昇給を実施、または昇給を予定していますが、実際に年収が上がった人はどれくらいいるのでしょうか?
調査対象は、20~59歳の正社員。WEB調査で2022年9月30日(金)~10月2日(日)までに行ったアンケート調査結果を基にしています。
マイナビ転職の調査によると、5年前と比べて年収が「上がった」と回答した人は、全体の4割程度にとどまっていることが分かりました。
そのほか、正社員の賃金事情や賃金に対する意識の変化について、詳しい調査結果はこちらの記事をご覧ください。
また、年収そのものを上げるために、副業や投資を始める人も増えています。詳しくはこちらのページをご覧ください。
昇給額をアップさせるには?
昇給すると、残業代や退職金にもプラスの影響があります。そのため、できるだけ昇給額をアップさせたいと考える方も多いでしょう。そこで、昇給額をアップさせる4つの方法をご紹介します。
仕事に関連する資格やスキルを身に付ける
仕事に関係する資格やスキルを身に付けると、スキルアップの客観的な証明になります。会社にもよりますが、資格手当がつく企業も少なくありません。
また、資格手当がなくても昇給につながる場合があるので、仕事に関連する資格を一度チェックしてみましょう。
昇格を目指す
普段の仕事ぶりや成果につながる働きをアピールして昇格を目指す方法もあります。長い期間働き、継続的な成果を上げていけば、課長や部長などの役職に抜てきされ、基本給に役職手当がプラスされます。
企業によって金額は異なりますが、月10万円前後アップすることが多いようです。
上司に交渉する
上司に交渉することで昇給を目指すこともできます。交渉を成功させるためには、根拠を示すことが重要です。同業種・同世代の賃金の相場や自分の実績などが客観的に分かる根拠を用意しましょう。
また、交渉するタイミングも重要です。入社以降、まだ大きな貢献をしていないのに昇給の交渉をすると、上司の心証が悪くなり、かえって不利な立場になってしまいます。
まずは一定期間、会社に貢献する姿勢を示し、上司からの信頼を獲得しましょう。
転職する
企業によっては、貢献度が昇給という形で評価されないケースも少なくありません。その場合は転職するのもおすすめです。
同業種など現職のスキルや経験を生かして転職すれば、年収をアップさせることも決して難しいことではありません。
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まとめ
昇給は、企業の規模や産業、年齢や性別により大きく異なります。また、資格取得やスキルを磨くなど、昇給や年収を上げていくための努力は、継続してこそ実現するものです。
自分の年齢や能力に適した平均昇給額を知ることは重要です。そのうえで、どうすれば自分の職務やスキルに見合った給与を得られるのか、どうすれば給与アップを狙えそうか、自分に合った方法を試してみてください。
監修者
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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