履歴書の本人希望欄は何を書けばいい?基本ルールや注意点
更新日:2024年11月15日
この記事で分かること
- 本人希望欄とは、転職において「どうしても譲れない条件」を記載する項目
- 希望職種や勤務条件、健康面の不安を伝えたい場合に記載する
- 記載内容は簡潔にまとめる
- 特にない場合は、「貴社の規定に従います」と記載する
履歴書を作成するなかで、本人希望欄の書き方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本人希望欄は、自分の希望を自由に書く欄ではありません。誤った書き方のまま企業に提出してしまうと、ネガティブな印象を与え、「不採用」につながる可能性があります。
履歴書の本人希望欄の基本ルールや書き方、例文、書かないほうが良い内容について解説します。
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履歴書の本人希望欄の書き方
履歴書の本人希望欄には、「特に給料・職種・勤務時間・勤務地・その他についての希望などがあれば記入」などと記載されていることが多く、自由に記載して良い項目と思っている方もいるでしょう。
しかし、採用担当者によっては、本人希望欄に書かれている内容を「入社の絶対条件」と捉えることがあります。
例えば、「希望年収600万円」と書いた場合、記載されている年収が応募者の絶対条件と思われる可能性があります。
この時、求人情報に掲載している想定年収が500万円だった場合、「この人は条件にマッチしていない」と判断されかねません。
履歴書の本人希望欄は、希望する職種や勤務条件に関する共有事項など、選考の段階で伝えておきたいことを記載する項目と理解しておきましょう。
自分の都合や理想を書いていると思われないよう、内容や書き方への配慮が必要です。
履歴書の本人希望欄を記入する際の基本ルール
履歴書の本人希望欄を書く前に、基本ルールとして以下3つのポイントを押さえることが大切です。
- 特に希望がない場合は「貴社の規定に従います」と記載する
- 譲れない条件のみを記載する
- 内容を簡潔にまとめる
3つのポイントを理解したうえで、正しく本人希望欄を記載しましょう。
特に希望がない場合は「貴社の規定に従います」と記載する
履歴書の本人希望欄で伝えたい希望がない場合は、「貴社の規定に従います」と記載するのが基本です。
本人希望欄に具体的な内容を記載しなくても、選考のステップにおいて面接官や人事担当者などと交渉する機会はあります。
記載する内容がない場合には、ひとまず「貴社の規定に従います」と書いておくと良いでしょう。
譲れない条件のみを記載する
履歴書の本人希望欄は、譲れない条件を企業に伝えたいときに記載します。
例えば、応募企業が複数の職種を募集している際に、希望職種を記入する場合が該当します。
また、家庭の事情で勤務地や勤務時間の条件がある場合や、健康上の理由で配慮してほしい事柄を共有する際に、本人希望欄を利用するのも良いでしょう。
ただし、絶対に譲れないからと待遇面の希望を書くのは原則としてNGです。
待遇面しか興味がないと受け取られた場合や、企業側の条件と合わなかった場合に、選考でマイナスな印象を与える可能性があります。
記載内容は簡潔にまとめる
履歴書の本人希望欄を書く際には、できるだけシンプルな内容を心掛けましょう。
希望を詳しく伝えたいからと細かく書きすぎると、内容が正確に伝わらなかったり、要望が多く面倒な人と思われたりする可能性があります。
「△△のため、〇〇を希望します」といったように、理由と希望をシンプルに伝えるのがポイントです。
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履歴書の本人希望欄に書いて良いこと【例文付き】
履歴書における本人希望欄の書き方(例文)を以下4つのシチュエーションで解説します。
- 希望する職種がある場合
- 勤務地や勤務時間などの条件がある場合
- 健康面の不安を伝えたい場合
- 転職活動に関する内容を記載する場合
良い例文と悪い例文をそれぞれ紹介していますので、書き方の参考にしてみてください。
希望する職種がある場合
応募企業で複数の職種を募集している場合は、履歴書の本人希望欄に希望職種を記載しましょう。
希望職種を記載する際の例文は、以下のとおりです。
【良い例】
- これまで培った営業経験を生かしたいため、営業職を希望します。
- 経理職を希望します。
募集要項に記載されている職種名のとおりに記載し、必要に応じて希望する理由を添えましょう。
希望職種を伝えたい時に、以下の書き方はNGです。
【悪い例】
- (募集要項で営業事務を募集している場合)営業アシスタントを希望します。
- (販売職の募集の場合)将来はMD(マーチャンダイジング)を希望します。
- 営業職以外を希望します。
募集要項とは異なる職種名を記載していると、募集要項を確認していない人と思われるリスクがあります。必ず募集要項に記載の職種名を書きましょう。
また、将来就きたい職種は、本来志望動機に記載するべき内容です。本人希望欄には記載せず、志望動機欄で将来のビジョンとしてアピールしましょう。
「営業職以外を希望します」などと就きたくない職種を記載すると、ネガティブな印象を与えてしまいます。
勤務地や勤務時間などの条件がある場合
やむを得ない事情がある場合は、本人希望欄に勤務地や勤務時間などの条件を記載しましょう。
勤務条件の希望を伝える際の例文は、以下のとおりです。
【良い例】
- 家族の介護のため、入社当初は○○(地名・エリア)を勤務地とさせていただけると幸いです。現在入居施設を探していて、6カ月以内に入居予定です。その後はどちらの勤務地でも支障はございません。
- 子どもの送り迎えのため、△曜日は○時に退勤させていただきたいと考えております。業務の都合で難しい場合は、家族の協力を得ることが可能です。
- 採用いただけましたら、速やかに転居を考えています。
家族の介護や子どもの送り迎えなど、具体的な理由を述べたうえで「○○を勤務地にしたい」「○時までに退勤したい」といった希望を伝えることが大切です。
時刻や曜日、場所などの希望条件は明確に書くことで、採用担当者との認識のズレを防ぎやすくなります。
希望を一方的に伝えるだけではなく、仕事への意欲も伝えることがポイントです。現状を改善するために努力していることを伝えると、前向きな印象を与えられます。
ただし、勤務条件の希望を伝える際、以下のような例文は避けましょう。
【悪い例】
- 居住地から近いため、○○(エリア)への配属を希望します。
- 家庭と両立するために、9~17時までの勤務を希望します。
- 勤務場所はどこでも良いですが、○○を希望します。
「居住地から近くが良い」「家庭と両立したい」などの希望は、やむを得ない事情とは言い切れません。
「勤務場所はどこでも良いですが、○○を希望します」といった書き方は、文脈前後で矛盾しているため、採用担当者からの印象が悪くなります。
健康面の不安を伝えたい場合
健康上の不安がある場合は、業務への影響を考慮して、本人希望欄であらかじめ共有しておくと良いでしょう。健康面への不安に配慮してもらいやすくなります。
健康面の不安を伝える際の例文は、以下のとおりです。
【良い例】
- 通常業務に支障はありませんが、先月転倒し腰を痛めたため、週2回治療のため定時に帰社させていただけますと幸いです(治療期間は3カ月程度です)。
- 業務に支障はありませんが、定期健診のため、3カ月に一度平日に半休をいただけますと幸いです。
健康面の不安や配慮してもらいたいことを具体的に記載するのがポイントです。業務に支障がない事実を添えると、採用担当者の不安を解消しやすくなります。
なお、面接で説明することもできるため、業務に支障を与えないのであれば、あえて履歴書に記載する必要はありません。
以下のような例文を記載すると、採用担当者に対して良くない印象を与える可能性があります。
【悪い例】
- 持病の治療で通院が必要なため、診察日に休暇をいただきます。
- 持病の○○が悪化したときは、お休みをいただくかもしれません。
本人希望欄はあくまで希望を伝える欄であるため、「診察日に休暇をいただきます」といった確定的な表現は避けましょう。
また、持病による影響を伝える際、ネガティブな内容だけだと業務への支障を不安視される可能性があります。可能な範囲で、仕事への影響がない事実を伝えましょう。
転職活動に関する内容を記載する場合
在職中の場合は、応募企業からの電話に対応できない時間帯や、入社可能日などを伝えておくと、コミュニケーションがスムーズに進みます。
転職活動に関する内容を記載する際の例文は、以下のとおりです。
【良い例】
- 現在就業中であるため、9時から18時まで電話に出られない可能性があります。
- 留守番電話もしくはメールでご連絡いただけましたら、確認次第ご連絡いたします。
- 現在就業中のため、メールでのご連絡か、17時以降にお電話いただけますと幸いです。
- 退職日が○年○月○日のため、△年△月△日以降就業可能です
時間帯などは予想や見込みではなく、確定したものを記載しましょう。
就業可能日を記載する場合は、原則として退職日の翌日にします。
以下の内容はNGです。
【悪い例】
- (応募企業の営業時間が9~18時だった場合)在職中のため、電話連絡は20時以降にお願いいたします
- 在職中のため電話に出られませんので、電話連絡はお断りします。
- 家族に内密で転職活動を行っていますので、電話連絡は19時までにお願いします。
営業時間外の時間帯を指定すると、採用担当者に「非常識」という印象を与えてしまうかもしれません。
どうしても時間帯を指定する必要がある場合は、希望ではなくあくまで対応をお願いする姿勢を見せましょう。
すぐに電話に出られない事実は、特別な理由がない場合を除き、あえて伝える必要はありません。家族に内密で転職活動をしていることも、わざわざ記載しないほうが良いでしょう。
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履歴書の本人希望欄に書かないほうが良い内容
履歴書の本人希望欄に以下3つの内容を記載すると、採用担当者に悪い印象を与えることがあります。
- 志望動機や自己PR
- 給料や待遇面に関する条件
- 「特になし」「特にありません」などの記載
上記3つの内容を書かないようにしつつ、希望が正しく伝わるように本人希望欄を記載しましょう。
志望動機や自己PR
履歴書の本人希望欄は、ほかの項目に比べると自由に記載できる欄ですが、志望動機や自己アピールを記載するのはNGです。
本人希望欄に志望動機や自己PRを書いてしまうと、ルールやマナーに沿って書けない人と思われるリスクがあります。
志望動機欄に志望動機などが書ききれない、そもそも履歴書に記載欄がない場合は、職務経歴書に記載しましょう。
給料や待遇面に関する条件
上述したように給料や待遇面に関する条件があるとしても、本人希望欄への記載は避けましょう。
軽い気持ちで希望する給与額を記載すると、条件面のこだわりが強い人だと採用担当者に受け取られるかもしれません。
企業側が想定していた金額とマッチしない場合は、選考に悪い影響を与える可能性もあります。
もし給与額に合ったスキルや強みを保有していたとしても、具体的な金額は書きません。
待遇については、面接や内定後にすり合わせる機会があります。給料や待遇面に関する条件は、本人希望欄に記載せず直接伝えましょう。
希望年収の伝え方は以下の記事で解説しているため、合わせて参考にしてください。
「特になし」「特にありません」などの記載
希望する職種や勤務地などがなく、本人希望欄に記載する内容がない場合でも、「特になし」「特にありません」といった記載は避けましょう。
採用担当者の見方にもよりますが、雑な印象を与える場合があります。
だからといって、本人希望欄を空欄のままにするのもNGです。記入漏れと捉えられて、書類不備のまま提出してきたと思われる可能性があるからです。
本人希望欄の書き方で悪印象を与えないためにも、記載する内容がない場合は「貴社の規定に従います」と記入しておきましょう。
履歴書の本人希望欄を正しく記載しよう
履歴書の本人希望欄に書かれている内容は、採用担当者から「入社の絶対条件」と捉えられる傾向があるため、慎重に記載しましょう。
企業にあらかじめ伝えておきたい希望職種や勤務時間・勤務地、健康面の不安などを記入するのが一般的です。
記載する内容がない場合は、「特になし」といった表現や空欄ではなく、「貴社の規定に従います」と記載するのが基本ルールです。
本人希望欄がどのように捉えられるかを理解したうえで、選考に悪影響を与えないように、正しい書き方を徹底しましょう。
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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本人希望欄の書き方に悩んだら
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